第十六話 ポトフとオーク肉の角煮
料理を作るというと、皆から嬉しそうな声が湧いた。
「またお肉?」
「いーや、今日はポトフだね」
ポトフと聞くとちょっと嫌そうな顔をするルル。
「野菜、嫌い」
「ダメだぞ、野菜嫌いは」
「むう」
皆にお風呂の使い方を説明して、入ってもらう。
ボディーソープとシャンプーとリンスも説明した。
カレイナとコビーさんに説明したから男性陣と女性陣の説明は不要だろう。
先に女性陣が入るようで、お風呂にお湯を溜めた後、女性陣の姦しい声が聞こえる。
「暖かいお湯なんて普通は入れないわ!」
「ルル様の全身は私が洗いますわ」
「ルルちゃんは何で、ユウキが好きなの~?」
何か俺も気になることを話しているが、おとなしくポトフを作ろう。
ポトフの材料はじゃがいもと人参とキャベツとベーコンだな。
じゃがいもは北海道産を購入した。
人参とキャベツとベーコンはいつも通り日本産だ。
じゃがいもの皮むきをしているとコボルト達がそわそわしながら、こちらに来た。
『僕達も手伝うワン!』
「そうか、じゃあ皮むきを一緒にしようか」
コボルト用にピーラーを貸してあげると案外器用に皮むきをしてくれる。
『ワン、ワ、ワン~♬』
何かを口ずさみながら上機嫌で野菜をカットしていた。
「じゃがいもは四頭分にして人参は乱切りにしてと」
コボルト達に聞いてみると簡単な道具くらいは使えるらしい。
コボルトの子供たちも含めた五頭と俺で野菜を準備し終わる。
ここで登場するのはコンソメだ。
すりおろしたショウガを入れるのも忘れない。
後はでかい鍋に水と野菜とベーコンをたくさん入れて、コンソメも多めに入れて煮込むだけ。
「簡単だろ?」
『すぐ終わったワン!』
後は炊飯器を用意して、無洗米を四号くらい炊こう。
米とポトフだとちょっと食べづらいから炊き込みご飯にしようかな。
ん~。そうだな、カニの炊き込みご飯にしよう。
簡単にパックで入っているカニの炊き込みご飯をママゾンで買う。
コメント欄は異世界で作ってほしいご飯を色々と言ってるな。
やっぱりラーメンでしょ!
いや、カレーだね。
ビーフシチューとかもいいかも。
後は……おかず用にオーク肉の角煮を用意しておくか。
オーク肉を五センチ角にコボルト達に切ってもらう。
ショウガは皮ごと薄切りにする。
圧力鍋にオーク肉。ショウガ、ネギの青い部分を入れて、水をかぶるくらいに加える。
蓋をして強火にかける。圧力がかかったら二十分くらい加圧して火を止める。
圧力が抜けるまでそのまま置いておく。
ここまで来るとオーク肉は白くなっていた。
ぬるま湯で洗って、ざるにあげて余分な水気を取る。
圧力鍋を綺麗にして、水、酒、みりん、砂糖、しょうゆを入れる。
蓋をして強火にかける。圧力がかかったら、弱火で十五分加圧して、火を止める。
圧が抜けるまでそのまま置いておく。
圧が抜けたら蓋を開けて、煮汁を肉にかけながら好みの味の濃さまで煮詰める。
この時にゆで卵も一緒に入れて煮詰めると時短になるぞ。
料理を作っている間に、女性陣が風呂から出てきた。
一時間半も入ってたのか? 随分と長風呂だな。
「ユウキ、お風呂最高!」
「古の賢者のつくった風呂もボディーなんちゃらとシャンプーとリンス―が本当に良かった」
ルルとカレイナは風呂上がりのまま俺に抱き着こうとするので、必死に止める。
めちゃくちゃいい匂いがするからな。おれの富士山が爆発してしまう。
「ちょっと待った! 髪と体を乾かしなさい」
「? どうやって?」
不思議がるルルとカレイナ。ここで俺は洗面台に連れていき、ドライヤーで髪とルルの毛並みを乾かすように言う。
ドライヤーをコンセントに繋ぎ、温風を出してやるとルルとカレイナとクリスさん達は一斉に驚く。
「すごいです! これが古の賢者の知恵!」
「違うよ。俺の元居た世界にはこういうのがあったの」
「それでもすごいわ~」
クリスとポリーさんは褒めてくれるが俺のスキルが凄いだけで俺が凄いわけじゃない。
使い方を説明した後、俺は料理に戻る。
と言ってもポトフはもう柔らかいし、オーク肉の角煮もいい感じだ。
カニの炊き込みご飯も炊きあがりそうだ。
火を止めて、少し冷ましている間に男性陣と一緒に風呂に入る。
「こんな、贅沢覚えちまったら、バルクの街に帰れねえ」
「……」
コビーさんの言葉にアーシアさんは頷きながら、俺を見る。
「コビーさん達の家も用意しますよ?」
「うう、そう言われると欲しいな。頼めるか?」
「良いですよ」
コビーさん達の家も作ることが決まった。
明日はコビーさん達の家を建てて、後は野菜を育てる準備をしないとな。
風呂から上がって、ドライヤーで髪を乾かして机に向かうとコボルト達が料理を並べてくれていた。
「コボルト達、ありがとな」
『これも仕事だワン!』
皆で机に向かう。
「それでは、いただきます!」
『?』
皆が俺の言葉に固まった。
「あ、これは俺の国では食前に必ず、言う言葉なんだ。料理を作ってくれた人や命の恵みに感謝するって意味だな」
「分かった。料理を作ってくれたユウキとコボルト達に感謝する」
『いただきます!』
ルルの言葉にみんなが合わせて、ご飯を食べる。
俺はまず、カニの炊き込みご飯から食べる。
ん~! カニの身は少ししかないけど、炊き込みご飯の出汁と合ってて美味い!
「ユウキ! ポトフ? 美味しい!」
カレイナがフォークとスプーンでポトフを味わっていた。
ルルも恐る恐るキャベツにフォークを突き刺して、口に入れる。
「⁉ 野菜が甘い! スープが美味しい!」
「そうだろう? 俺の世界の野菜は美味いんだぜ」
コビーさん達は、オーク肉の角煮を食べて顔がほころんでいた。
「こんなに美味いオーク肉の煮込みは初めて食べたぜ」
「オーク肉がとろける……」
「ゆで卵も煮汁が染み込んでて美味しい!」
卵も俺の世界では生で食べれるというと、驚かれる。
「そもそも卵がなかなか手に入らないんだよな」
「バジリスクの卵は結構手に入れる難易度が高いしな」」
「鶏はいないのか?」
俺は配信の画面で調べた鶏をスマホに移し替えて見せるが、皆はスマホにくぎ付けだった。
「すげえ! こんな小さい機械にこの動物が入っているのか⁉」
「すごい、中で動いてる」
「これは、スマホって言って、特定の映像を映し出しているんだ」
ここまで言って、配信画面を人に見せられないのは不便だなと思う。
いやコメント欄は見せられるのだが、配信画面は見せられないんだ。
『どうにかなりませんかね。マリア様』
『しょうがないですね』
頭の中にマリア様の声が響いて、ファンファーレが鳴る。
『異世界配信機能が付きました!』
お、新しいスキルだ。
なんと異世界人向けに俺の配信が映るようになったらしい。
スマホ無しで俺の配信を知っている人には配信が見れるとのこと。
あ、皆がびっくりして固まってる。
「なんだ。俺たちが視界に映ってる?」
「私の顔が見えるわ!」
コビーさんとフレイさんが顔をぽかんと開けた映像が映ってるんだろうな。
皆が固まっているうちに俺はカニの炊き込みご飯をお代わりしに行こうと思ったのだが。
カニの炊き込みご飯、まだまだいっぱいあるぞ~。
だが俺の視界が配信されているので、皆はすぐに気づく。
「ユウキ! ずるい!」
「私もお代わりですわ!」
「ユウキ、後で正座ですね」
ルルとキルリアさんが抗議をして、クリスが何故か、説教をしようとしている。
俺は悪くない!
この異世界配信スキルのせいで、商業ギルドの禿とチンピラたちを成敗したときに画面を見ていた人たちは突然視界に画面が現れたことに驚いていたという。
そして、ここに向かっていた聖女エメリアにも画面が現れて、美味しそうな料理を見ておなかをすかせていた。
「これは生き地獄ですわ!」
聖女エメリアの泣き叫ぶ声が宿中に聞こえたとか聞こえなかったとか。
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