第十四話 神聖の森で拠点づくり
(U^ω^)わんわんお!
翌日は快晴だった。
森の中は空気が美味しい。
俺はインスタントコーヒーを入れて、一息つこうと思ったんだが。
「それ、私も飲みたい」
「私も飲んでみたいです」
「ルルはいい」
コビーさん達も欲しいそうなので、キャンプ用のカップを七人分出して、お湯を沸かす。
「このテントも寝袋も最高だったぜ」
「私たち、これ買いたいな」
コビーさん達が男性と女性に分けて、テントと寝袋を買いたいというので売ってあげることにした。俺はキャンプ用品は自由に出せるので、原価はかかっていない。
特別に大銀貨一枚で売ってあげた。売り上げは大銀貨七枚だ。
これでスパチャ代は百六十万円と金貨八十四枚と小銭だ。
お湯が沸いたので、砂糖も購入してインスタントコーヒーを入れる。
「すごい! 目がすっきりする」
「苦みと深いコクがちょうどよいです!」
「苦いの、嫌い」
「これは美味いが、ちと苦いな」
カレイナとクリスは美味しそうにコーヒーを飲む。
シャドウライガーは苦いのはきつそうだ。
砂糖を入れると美味しくなるという事で渡すとびっくりされる。
「砂糖なんて普通は手に入らないよ!」
「……苦いのもいいが、甘いのもいい」
「ルル様も甘い方なら飲めるのでは?」
「私は甘いの初めて飲んだ~!」
フレイさん、アーシアさん、キルリアさん、ポリーさんが口々に話す。
アーシアさんが話すの初めて聞いたな。
ルルはちょっと欲しそうにしていたので、俺のコーヒーに砂糖をめちゃくちゃ入れて渡してあげた。
ルルは猫舌なのでちびりちびりと飲んでいる。
「ルルは可愛いな」
あ、つい心の声が漏れてしまった。
ルルは尻尾をフリフリして、そっぽを向きながらも照れている。
「私は可愛くないですか?」
「私も」
何故かクリスとカレイナが張り合ってきた。
みんなそれぞれ可愛いところがあると言って褒めると、二人とも顔が赤くなる。
「ユウキは、後から女性に刺されないか心配だな」
「……」
コビーさんとアーシアさんは、何故か俺の方を見て頷いていた。
今日はこれから、拠点づくりだ。
シャドウライガーも興味深そうにこちらを見ている。
俺は以前見た、ブッシュクラフトで森の中に家を建てる動画を参考にしようと思ったのだ。
「まず土を平らにしないとな」
「ユウキ、私に任せて」
カレイナが何事か呟くと、土がうねり、広場になっている所の雑草や凹んだところが動き、平らになる。
コビーさん達はこんな魔法は見たことないと言っていた。
エルフ特有の魔法かな? 聞いてみるとそうらしい。
「じゃあ、木を切ってきてくれないかな? それを俺はスキルで加工するから」
今まで使っていなかったが、木や様々なものを加工できるスキルだ。
コビーさん達にキャンプ用の斧を持たせて、木を切り倒してもらう。
家を建てるところの線を引いて、簡易クラフトを使ってみる。
「なるほどな。某有名ゲームの作業台みたいなものができるんだ」
普通は家を建てる前に木を乾燥させる必要があるのだが、それも自動でやってくれるみたいだ。
俺は建てたい家の設計図を思い浮かべる。
リビングルームとキッチン、トイレ、風呂場があって、部屋はとりあえず五つくらいあればいいかな?
実家の一軒家を思い浮かべる。
窓はどうしような。ガラスは簡易クラフトで作り方がわからない。
何となく、水場の砂を手に取ってみると、新たな選択肢が浮かんできた。
砂からガラスも生成できるらしい。
これなら一軒家を作れそうだな。
俺は切ってもらった木材をアイテムボックスに収納し、簡易クラフトの設計図通りに木材をクラフトで切ったり組み合わせたりしていく。
この家は釘はなるべく使わないことにしている。
日本家屋でいう、木どうしを組み合わせて作る感じのイメージだ。
「ふむ、わらわも手伝おうかの」
「私も切る」
「ルルもやる!」
この三人は仲がいいのか、同じ行動をしたがるな。
でもルル、短剣じゃ大木は切れないぞ。
俺も手伝い、斧をカンカンと木にめり込ませる。
小気味良い、音が森の中に響く。
途中、コボルトという魔物が三頭出てきた。
「皆、ちょっとだけ俺に試させてくれ」
コボルト達が唸り声をあげる中、俺はまず鑑定をする。
コボルト:犬が二本足で歩く、魔物。子供を食わせるために、エサを探してここまで来た。シャドウライガーに食われてもいいと思うほどの覚悟。
なるほど、おなかが空いてるんだな。家族もいるだろうし、何とかしてあげたい。
「コボルト達よ。まず話を聞いてくれ」
『人間が僕達の言葉を話してるワン⁉』
コボルト達は驚いて、武器を下ろした。
「君たち、戦う前に聞きたい。俺たちに勝てると思っているのか?」
『勝てない。でも、肉、無いと死んじゃう。やるしかないワン』
スラとライムの時は声を発しなかったけど、コボルトはわんわんと泣いて喋っているようだ。
俺もわんわんと声を発しているらしい。
ルルは何故かにゃんにゃんと鳴いている。張り合わなくてもいいんだよ。
「俺たちの仕事を手伝ったら、住む所と肉をあげよう」
『それは本当かワン⁉ 嘘だったら承知しないワン』
「俺たちにはシャドウライガーもついてるんだぞ。シャドウライガーも協力してくれているのは嘘じゃないって事だろ?」
シャドウライガーは聞いていたようで、コボルト達に諭す。
「この者は古の賢者だぞ。恭順すれば、酷い目に合わん。家族を連れてこい」
『確かにそうだワン。わかった、家族は後三人いるワン』
コボルト達は、伏せのポーズをして、従う意思を見せた。
「流石、古の賢者」
「ユウキ、かっこいい!」
「本当に魔物と話せるんですね」
カレイナ、ルル、クリスが驚きながらもほめてくれる。
コボルト達は森の中に行ってからしばらくして、子供たちを連れてきた。
何かに襲われていたのか、土だらけだ。
俺は生活魔法のクリーンを掛けてあげる。
毛並みが綺麗になったコボルトは白い毛並みでとてもかわいい。
「魔物とは言え、こんなにかわいいと抱き枕にしたいな」
「魔物と戦う時に罪悪感が出そうですわ」
「本当にコボルトなのかな~」
フレイさん、キルリアさん、ポリーさんは可愛いものに目がないようだ。
まず、犬用のビーフジャーキーを買ってあげると尻尾をフリフリして喜んでいる。
何故か、ルルも対抗して、尻尾を絡ませながら上目遣いをしてくる。
皆も欲しがるので休憩にして、ビーフジャーキーをあげるとても美味しそうにしていた。この世界の干し肉はほとんど味がないらしい。
だからこんなに美味い干し肉は初めてだと言っていた。
休憩を挟んで、拠点用の木材と、壁用の粘土と砂を集めることにした。
粘土と砂は水場の下をアイテムボックスに指定して、集めることで解決した。
水と生きものは吸わない仕様なので大丈夫だ。
そんなこんなで材料が集まった。もう夕暮れだ。
早く、家を建てよう。
俺は頭の中で実家の一軒家を思い浮かべ、一言唱える。
「クラフト!」
すると空中に材料が浮かび上がり、トントントンと小気味良い音を立てながら組みあがっていく。
「すごい! 魔法みたい!」
ルルがぴょんぴょんして飛び上がっている。
一軒家は完成した見た目はクリーム色のちょい洋風の家だ。
皆は驚いて言葉も出ていない。
コボルト達はわんわんと鳴いて騒がしいな!
家に入ってみるか!




