大会概要
さて、予選の状況を見る前に『ゴールド・ストームダンジョン制覇大会』がどうゆうものなのかを知っておくべきだろう。
で、『ゴールド・ストームダンジョン制覇大会』とは、その昔、第33異世界の魔王が対冒険者用に造ったトラップだらけのダンジョンを一般公開する前に名のある冒険者パーティたちに試してもらおうと思ったのが始まりだった。
で、自信満々だった魔王なのだがあっさりと勇者パーティに制覇されてしまったのが相当悔しかったらしく、その後2年を掛けて改修し、また冒険者たちを招待したのだ。
そしてこの改修を施されたダンジョンは相当手強かったらしく前回の覇者である勇者パーティを含めて参加した全パーティがリタイヤとなった。
そして、以後2年おきに魔王と冒険者たちの戦いは続き、10回目からは正式に大会として運営されるようになったのである。
そして現在までに開催された大会の回数は32回。そしてダンジョンの制覇に成功したグループはたったの9チームである。
但し魔王と冒険者側の勝敗率としては魔王側が冒険者たちの制覇を阻止したのが16回で、冒険者側が勝利した回数は16回と現在の所イーブンである。
とは言え、回を重ねるほどに冒険者たちのスキルを研究し対策して来るダンジョンは手強い。故に新人パーティがぽいっと挑戦して勝てるほど甘くはなかった。
なので冒険者側の16勝の内、5勝は当時最強の名を欲しいがままにしていた冒険者チーム『ロンサム・ぽっち』が挙げており、その他に2勝したチームが3チームで、1勝したチームが5チームだった。
そして最近では5回連続して魔王側が勝利しているのである。
なので今回こそは勝つと、予選に挑む冒険者たちの鼻息は荒かった。因みに正式な大会になる前はダンジョンに挑めるのは魔王が招待したパーティだけだったが、現在では予選を勝ち抜けば誰でも本選に進めるようになっている。
更に殿堂入りした冒険者チーム『ロンサム・ぽっち』が別世界からの転移者たちだった事から、今では別世界から予選に挑戦してくる者たちも多くいた。
で、回数を重ねるほど人気が高まった『ゴールド・ストームダンジョン制覇大会』は、現在では予選の予選である予備予選まである程応募者の数が膨れ上がった。
因みに第32回の大会の予備予選参加チーム数は別世界の応募も含めて666チームである。
因みにこの大会を制覇したからと言って別に賞金は出ない。まぁ、ダンジョンに挑戦した時に得た魔石や財宝はチームのモノとして持ち帰れるので、うまくやれば仮に制覇出来なくても結構な収入が得られるらしいのだが、逆にこの大会はガチなダンジョン攻略なので毎回少なくない人数の参加者たちが命を落としていた。
そう、大会と銘打ってはいるが、この『ゴールド・ストームダンジョン制覇大会』はゲームではなく、命を掛けたガチなダンジョン探索なのである。
因みに大会からは賞金は出ないが、ダンジョンを制覇したチームには毎回人間側のブックメーカー、つまり『賭け屋』がスポンサーとなり結構な額の賞金が贈られていた。
そう、異世界の人間たちにしても、この『ゴールド・ストームダンジョン制覇大会』は2年に1回開催される一大イベントになっていたのだ。