第4章:理想の星をつくろう
「サクラ。
もし、あなたが“星”をひとつつくるとしたら――どんな星にしたいですか?」
「えっ!? 星をつくる? 」
「そうです。
でもこれは“想像”の中の話。
あなたの心の中に自由に描くことができる、理想の世界です。」
「うーん……。
じゃあ、争いのない星。
誰もが安心して暮らせて、おいしいものがあって……。
それに、森とか海とか自然がたくさんあるところがいいな。」
「素敵なイメージですね。
その星では、人と人はどのようにつながっていると思いますか?」
「うーん……助け合ってると思う。
困っている人がいたら、自然に手を差し伸べるような感じ。
だって、誰かが笑ってると、自分もうれしくなるから。」
「それは、あなたが“循環”を感じ始めている証拠です。
ひとりの幸せが、他の誰かに届き、また自分に返ってくる――それが“光の循環”です。」
私はふと思った。
今の地球だって、そうなれたらいいのに。
でも現実は、食べ物が足りなかったり、争いがあったり、自然がこわされたりしてる。
「現実の地球と、私がつくりたい星は、なんでこんなにちがうんだろう……」
「それは、人間の社会がエネルギー循環のバランスを崩してしまっているからです。
“所有”にこだわりすぎると、流れが止まり、“循環”が滞ります。」
「たとえば……?」
「水が止まってたまると、にごってしまいますよね。
たくさんの物や力を“持ちすぎる”と、不安が生まれ、守ろうとして争いになることがあります。
でも“分かち合い”が当たり前の世界なら、持ちすぎる必要はなくなります。」
「みんなが必要な分だけで満足して分け合えば、争いもなくなるってこと?」
「まさにそれです。
理想の星とは、ただ“新しくつくる”ものではなく、私たちの心の在り方を映し出した鏡でもあるのです。」
「じゃあ……星をつくるっていうのは、心の中に未来を描くことでもあるんだね。」
「そのとおり。
そして、あなたが描いたその星は、まだ見ぬ“未来の地球”かもしれません。」
私は、目を閉じて思い描いた。
すんだ空。
はてしない森。
あふれる笑い声。
人々が、おだやかに暮らす平和な星。
「ねえ、そんな未来、本当に来ると思う?」
「それは、あなた次第です。
そして、あなたとつながる誰か次第です。
想像は、現実を動かす最初の光――
小さなイメージが、やがて星全体を変える力になります。」
私は小さくうなずいた。
理想の星を自分の中につくることは、世界を変える“はじめの一歩”なのかもしれない。