当たりがでると、もう大変 ~炊事場の一幕~
アメリカザリガニは日本の生態系を狂わせるため、2023年6月に『条件付特定外来生物』に指定されました。
ペットで飼育するのはよいですが、野外に逃がすことが禁止されました。
ただしアメリカザリガニは駆除した方が生態系にはよいです。
『調理して食べる』というのも選択肢の一つかも。
しいな ここみ様主催『500文字小説企画』参加作品です。
「マズっ」
男性がそう言って口に入れたものを吐きそうになった。
周りにいる友人も嫌そうな顔でモグモグしている。
「エビに似てるけど……ザリガニってまずいな。なんとなく土をなめたみたいな味がするぞ」
彼らはキャンプ場の炊事場で、自分たちで捕まえたザリガニを茹でて試食していたのだ。
そんな彼らに他のグループの女性が声をかけた。
「すみませーん。そのザリガニ、15分以上は茹でましたか? でなければ吐いた方がいいですよ。寄生虫がいますから。呼吸困難や吐血、場合によっては失明します」
それをきいた男性達は慌てて、吐き出した。
女性のアドバイスで、彼らは吐いたものと残りのザリガニをキャンプ場の残飯回収ボックスに片づけた。
霧宮と名乗った女性は、ザリガニの調理法を男性達に伝えた。
「まず、ザリガニを生きたまま、きれいな水に入れておきます。最低でも6時間以上。途中で何度か水をかえます。茹でる前によく洗ってください。水に塩を少し入れるといいです。沸騰してからザリガニを入れ、15分以上は加熱してください」
話をきいて男性たちは『そこまでやるのか……』とぼやく。
「ザリガニはちゃん調理するとおいしいですよ。マヨネーズがおすすめです」