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三題噺もどき3

地元ニュース

作者: 狐彪

三題噺もどき―ごひゃくにじゅうきゅう。

 


 テレビをつけると、アナウンサーが立っていた。


 中継をしているのか、マイクを片手に歩きながら色々と話している。

 地元の話題を中心に伝えてくれる番組で、近場に住んでいても知らなかったスポットだったり、カフェだったりを知ることができて、案外見ていてい面白い。

 ネタに事故とか討論とかの現場を見るニュースよりは、心の安寧を保ったまま見て居られる。……討論系の番組はほんとに苦手だ。

「……」

 今日はどうやら、水族館に来ているらしい。

 入館料が年々上がっている上に、家族全員の休みが合うことがなくなっていたので、ここ数年ほど行っていない。風の噂で改修工事か何かをしているみたいな話は聞いていたけど……それが終わって、新しいコーナーができたとかだろうか。

「……」

 ぼうっと眺めていると、見慣れた水槽が画面に映る。

 あまり大きな工事はしていないんだろう、館内はたいして変わっていない印象を受ける。行ってみないと分かんない事ではあるけれど。

 それぞれのコーナーを軽く説明しながらさらに奥へと進んでいく。

「……」

 目的の新しい展示は、よく言う写真映えを意識したようなライティングが施されていた。

 大きな丸い水槽が一つ。そのほかは、小さな水槽がいくつか並んでいるだけに見えるが。

 どれも、光の色が違っていたりして、まぁ、中にいる生き物も相まって写真映えはよくするだろうなという感じだ。

「……」

 ふわふわと、水の中の流れにあわせて一定方向に流れるだけ。

 見た目は可愛いし、私も好きなんだけど、あれでいて食べるのは同種のモノだったりするから生き物は不思議だなぁと思う。

 ―クラゲの浮かぶその水槽は、紫っぽい色の光がさしていた。

「……」

 写真を撮るのが好きだったりするので、よく映えるクラゲは鑑賞するものとしては、割りと好きな方なんだが……これを海で見ると途端に嫌いになってしまう。

 幼い頃、よく海に連れられていたのだが、浜辺に打ちあがっているのを見た瞬間、私は海に入るのをやめていた。サメとか少し現実味のないものより、よっぽど身近にあって嫌いだった。ぶよぶよとしたその体が、気持ち悪いと思ったこともある。

「……」

 なんというか……自己中もいいところだなとは思うんだけど。

 人なんてみんなそんなもんだろうとも思いはする。水族館も動物園もペットショップも、全部人間のエゴで飼いならして、鑑賞して可愛い可愛いと言っているだけで。

 それらが自然で見せる捕食とか凶暴性とか見た瞬間に、嫌煙する人はするだろう。熊とかいい例な気がする。キャラクター化までしてさんざ可愛いと言うくせに、自然に生きている彼らが人の住む町に降りてくれば凶暴だから危ないだの排除するだの……自己中というと言葉が強いかもしれないが、動物からしたらそうでしかない気がする。

「……」

 人だから仕方ないのかもしれないけれど。

 それが強く出るか弱く出るかの問題で、大抵の人間は自己中だと勝手に想っている。もちろん私もそれなりに自己中だと思ってる。程度がどれくらいかは自分では測れないけど。

「……」

 しかし、顕著にそれが現れる人といると、他人を信用できなくなるからよくない。

 過去にそういう経験をしてしまったものだから、私は他人に対しての信用はマイナスから始まっている。そのうち人への関心がなくなって、人との関りを避けたくなる。

「……」

 何かが気に食わなくて勝手に突き放して、それを数度繰り返されてみればわかると思う。それなりに信用を置いていても、どうせ、そうして突き放されると思わざるを得ない。人なんて、助けてなんて言ったって助けてくれるわけもないのだから、自分で抱えるしかなくなる。そのうち、抱えることに限界が来て、自分が壊れるのだ。

「……」

「……」

「……」

 ……何で、こんなこと考えているんだろうな。

 水族館のニュースを見ていただけなのに。

 疲れるだけの思考に時間を費やすのは、よくない癖なのかなこれ。

 治したくても治せそうにないんだけど。









 お題:助けて・クラゲ・人

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