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対策を考えましょう

乙女ゲームをする時は基本的に攻略対象に意識を置いていた私は、視点の関係で基本的に立ち絵が表示されないことが多いヒロインの顔や名前はどの子もぼんやりとしか覚えていなかった。


そしてそれのせいでエミリア・ガーデンシュタインの正体を特定するのが遅れたのだ。我ながらバカすぎる。


とにかく、その分攻略対象の姿や名前に関しては自信があるので、こうして作品の特定に至ったというわけだ。


今は震えも収まり、少し落ち着いたので部屋に戻り、例の大きなベッドに腰掛けて休んでいる。


ちなみに大きなショックを受けたせいで、あの後食べたスコーンは全く味がしなかった。

せっかく美味しかったのに勿体ないことしたな。


夢なら覚めて欲しい気分だけど、とにかく気持ちを切り替えて対策を練るしかない。


とりあえず、この世界「情熱の終焉」のシナリオを整理してみよう。



物語はエミリアが17歳の頃の夏に始まる。


当時このヴィンドール王国は、大国アルテーヌ王国の皇太子暗殺の責任を問われ、アルテーヌ王国がヴィンドール王国に侵攻しようとしていた。

一方でアルテーヌ王国はそれを否定し、折り合いがつかないため国家裁判に持ち込まれることとなる。


ここでお気づきの方もいるだろうが、このゲームの設定は激重である。


そんな中でエミリアは王子たちと出会い、攻略対象たちと愛を深めていく。


二人の想いが通じ合い、幸せな日々が続いていく…はずだったのだが、国家裁判でヴィンドール王国は敗訴し、アルテーヌ王国は侵略を始める。


敗訴した国の王太子たちが無事でいられるわけがない。エミリアは、想いを確かめ合った相手と亡命、心中などのエンディングを迫られることとなる。


説明していて辛くなってきた。

私は正直、このシナリオが大嫌いだ。


戦争なんて、絶対にあってはならない。

エミリアたちだけじゃない、一般の人々たちまでも命を奪われ、外面にも内面にも傷を負うなんて、誰も幸せにならない。


だからこそ、このシナリオは絶対に変えなければいけない。

戦争が起こらず、全員が幸せになる道を見つけなければならない。


ひとつ深呼吸をする。


戦争が起こるきっかけは、アルテーヌ王国の皇太子暗殺。


だったら。


皇太子が暗殺される前に、私が王子を助ければいい。


俯いていた顔を上げる。

少し前まで震えていた手には、力がみなぎっているのを感じる。


強い決意を胸に、私は部屋を出た。



「アンリ!アンリはいる?」

部屋から出て名前を呼ぶと、アンリはすぐに駆けつけて来てくれた。


「お嬢様!もうお身体は大丈夫なのですか?」


「ええ、おかげさまで。それより一つ教えて欲しいことがあるのだけどいいかしら?変なことを聞くかもしれないけど…」

「もちろんです」


なんだかんだでアンリには意味不明な質問をしまくっているなあ、やはり怪しまれたりしているだろうか。

そんなことを思いながら口を開く。


「アルテーヌ王国の王子は今も生きている?」


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