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第四十八話 イカない俺が悪いって

 ごちゃごちゃとしてしまい、スッキリとした別れにはならなかったが、村の皆に手を振られて、どうにかこうにか村から出立する。


「「「フクさ~ん!」」」

「ほら、呼んでるぞ」

「……うん、ばいば~い!」


 フクだけが呼ばれているのが気に食わない訳ではないが、素直になれない自分に腹が立つ。


『小さいわね~アソコはお情けで少し大きめにしてあげたってのに……』

「うるさい!」

『でも、実際に「なんで俺の名は」って思っているんでしょ』

「……」

『ほら、やっぱり!』

「……いいから、放っておいてくれよ」

『いやよ!』

「はぁ?」

『だって、シンの黒歴史の編纂担当としては、その時の心情も含めて記録しておきたいのよ。では、改めて「ねえ、今どんな気持ち?」ってね』

「うるさい! いいから、次の候補地はどうするんだよ」

『もう、面白くないわね……そんなに焦らなくても当分はず~っとこのままよ。はい、どう? これで満足?』

「……何もないのか?」

『そうね。このままのペースで一週間くらいかしら』

「なんとかならないのか?」

『なんとかって?』

「だからさ、何かビュ~ンって感じのとかさ」

『ないわよ』

「そんなこと言わないでさ。ホントはあるんでしょ。ほら、出してよ!」

『……あんた、バカでしょ』

「へ?」

『もう、自分の設定を忘れたの? ハァ~コイツは……』

「……設定?」

『そう、設定。分かる? ほら、忘れているのなら、自分のステータスを確認してみなさいよ』

「あ~」


 アリスに言われステータスを改めて確認すると、そこには『魔法創造』『スキル創造』の二つが異様なほどに輝いていた。


「そういや、あったな……」

『あったなじゃないでしょ。折角、こういう便利なのを用意されているのに』

「いや、でも……」

『分かったのなら、自分でなんとかしなさい! 分かった?』

「はい……すみません」


 アリスに言われて、改めて今何が必要かを考えてみる。


「取り敢えず、ビュ~ンって行けるのが理想だけど……」

「兄ちゃん、そんなに急がなくてもいいじゃん」

「フク、そうは言うけどな。こんなのが一週間も続くんだぞ。ヒマ過ぎるだぞ」

「そう? 俺は好きだよ。こんなにのんびりしたの」

「シン、いいじゃないの。私も好きよ」

「そう? 私はシンの意見に賛成かも」

「「「ユキ!」」」

『え?』


 サクッと行きたいのが俺とミラ、ゆっくり進みたいのはフクとアンナの二つに分かれたので、最後の一票はどちらなのかとユキに迫るが、ユキは『ゆっくりで』と答えた。


「おいおい、ユキ。そりゃないだろ」

『いや、馬車を牽いている私からすれば、このままのペースがいいのだが……』

「いや、ユキだってたまには思いっ切り走りたいんじゃないのか?」

『いや、そうは思わない。そういうのは、フクと一緒にしているからな』

「そうだよ、兄ちゃん」

「お前ら、いつの間に……俺に黙ってそんなこと」

「……なんかゴメン」

『あら、一緒に走りたかったの?』

「そうじゃないけどさ……でもよ、俺達は家族だろ」

『あら、嬉しい。でも、シンはいつも忙しそうだったしね』

「え?」

「『え?』」


 ユキが言った『俺が忙しそうだったから』に引っ掛かりを覚える。俺は忙しいというよりは、どちらかと言えばヒマだった。だけど、ユキは忙しそうだったと言う。


「どういうことだ?」

「どういうこと?」

『え? ヒマだったの?』

「ヒマだよ。ものスッゴくヒマでした」

『え、でも……』

「ん?」

「「あ!」」


 俺がフクやユキと話している内容に齟齬があることに気付き、どうしてそうなったのかと考えているとユキが何かを言いたげにアンナとミラの方をちらりと見る。すると二人が思い当たることがあるのか、少しバツが悪そうな顔をする。


「アンナ、ミラ」

「シン、違うのよ」

「そう! ね、聞いて」

「ま、今さら聞いてもしょうがないと思うけど……聞かせて貰おうか」

「「うん、あのね……」」


 アンナ達が聞いてと言うので、聞かせて貰ったが……正直言って、聞かなきゃ良かったってのが、正直な感想だ。


「ごめんなさい……」

「ゴメンね」

「いいよ。でもさ、ちょっと俺のことを買い被りすぎだよ」

「そうかな?」

「そうだよ。だって、俺だぞ」

「「シン……」」


 何故だか二人からちょっと可哀想な目で見られてしまうが、ホントのことだからしょうがない……と、思っていたがアリスが俺の頭の中でバカにしたように『ギャハハ』と笑っている。


「何が可笑しいんだよ!」

『だって、ちょっと前に話してあげたのもう忘れたの?』

「何かあったか?」

『だから! あんたに気があってもあの二人に邪魔されてあんたに近付けなかったって言ったでしょ』

「あ!」


 アリスに言われ、そういえばと思い出すが、今から村に戻ることは出来ない。そんな俺にアリスはバカにしたように言う。


『今、気付いたの?』

「……俺を揶揄っているだけだと思ってた」

『もう、それでもいいわよ。十分、楽しめたから』

「その時にもう少し強く言ってくれても……」

『なぁに? 私のせいだとでも言うの?』

「いや、そうじゃないけど……」

『ふん! どっちみち、あんたのそのヘタレ具合を直さない限りはムリよ』

「だから、積極的なお姉さんに『やっぱりあんたバカよね』……それは、分かっているよ」

『全然、分かっていないわよ』

「え?」

『だって、そうでしょ。向こうが両手を広げて迎えてくれているってのに……あんたってば、全然イク気ないでしょ?』

「……だって」

『だって、何よ?』

「やり方が分からないんだから、しょうがないだろ!」

『は?』



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