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第二十一話 じゃ、ちょっと出かけて来ます

 オリヴィアにお兄さんへ手紙を書いてもらう。

 内容としては、今までの経緯とメイドさん達の家族の保護依頼、そして領主夫妻に対する戒めについて相談したいと書いてもらう。

「ねえ、本当にこんなこと書いてもいいの? お父様達への戒めって、どうするつもりなの?」

「それは実際にお兄さんに会ってから、相談するけどね。まあ、少なくとも俺以外の人は許すことは出来ないみたいよ。まあ、俺も手助けはするけどね」

「ふ~ん、そうなんだ」

 オリヴィアに書いてもらった手紙を持って、領都のお屋敷へと向かい兄である長男に会ってから、少しだけ話をさせてもらうつもりだ。そして、その時にオリヴィアの現状とメイドさん達の家族の話について、補足し場合によってはオリヴィアの記憶を見てもらうのもいいだろう。でも、両親を害するかもしれないのにオリヴィアの態度がやたらとあっさりしている。まあ、あの両親の命乞いをされても断るけどね。


「あれ? 親の命の話なのに随分とあっさりしているね?」

「だって、私だって殺されそうになったんですもの。それを命じた人達を簡単に許せると思う?」

「まあ、その辺はご自由に。で、手紙はもういいのかな?」

「はい、書けたわよ。これでいいの?」

「ああ。じゃあ預かるね。それとお兄さんの名前を聞いても?」

「お兄様の名はチャーリーよ。間違っても手は出さないでよ」

 オリヴィアから手紙を預かり懐にしまうと、兄の名前を聞く。

 だけど、『手を出すな』とはどういう意味だろうか。


「それはどういう意味で? 殴るなってこと? それともイタズラをするなってこと?」

「両方よ! お兄様は少しだけ中性的な雰囲気なの」

「へ~中性的ね。でも、ついているものはついているんだろ?」

「そ、そんなのどうやって確かめろっていうのよ!」

「小さい頃には一緒に風呂に入ったりするんじゃないのか?」

「馬鹿じゃないの! お風呂なんて、私が入れるわけないじゃない!」

「そこまで冷遇されていたのか」

「なによ! 同情するつもり?」

「いいや」

「ふん! なによ! 少しくらい同情したっていいのよ!」

「まあ、ありがちだろ。大体、一般的な平民が風呂には入れるのかな」

「馬鹿じゃないの。そんなの無理に決まっているじゃない!」

「だろ? なら、その辺の娘と変わらないんじゃないか。なら、同情する必要もないだろ。さて、話が長くなったが、俺はこれからお前のお兄様とやらに会ってくるからな。大人しく待っててくれな。フク、ユキ、留守中頼んだぞ」

「うん、分かった」

『心配するな。その辺の雑魚ぐらいで、どうにかされる私ではないわ』

「ふっ、そう言いながら、ここの賊に捕まっていたくせに……」

『あ、あれは……少し油断していただけだ』

「ああ、そうですか。じゃ、フクはユキが油断しないように注意してあげて」

「うん、任せて!」

『な、フク! お前まで……』

 フクとユキにはお留守番を頼み、ついでにアンナさん達にも挨拶しておくか。


「アンナさ~ん、あ! いたいた」

「おや、なんだい。シンの方から来るなんて珍しいね」

「ああ、ちょっと領都まで行ってくるから、留守の間よろしくって言いに来たんだ」

「へ~そうかい、領都までね……はぁ? あんたが領都まで行く? シン! あんたはそんな簡単に言うけど、私達の話っていうか、記憶を見たんだろ? それなのに領都まで行くってのかい?」

「ええ、行きますけど?」

「はぁ……」

 アンナさんが俺が領都に行くと話すと心配してくれているみたいだ。俺の強さじゃ頼りないのかな。


「ちゃんと夜には帰ってくるから、大丈夫だと思うんですけどね」

「帰ってくる? シン、ここから領都までの距離は分かっているのかい? そんな一日で往復出来る距離じゃないんだよ。分かっているんだよね?」

「分かってますって。ちゃんと準備はしているし、帰ってくる手段もちゃんと用意してあるんだから」

「本当だね? 無茶なことはしないんだね?」

「だから、大丈夫だって。それにフクとユキも残していくんだし。ここの安全は保証するからさ」

「そうかい、まあ、あんたの強さは分かっているつもりだけどね。やっぱり、心配なんだよ」

 アンナさんから見れば俺もまだ子供だもんな。そりゃ心配にもなるか。でも、行かないことには話が進められないんだから、ここは目を瞑ってもらおう。


「チャチャっと行って帰ってくるからさ、そんなに心配することはないって。じゃ、他の皆にもよろしく言っといてね。じゃ」

「あ、ちょっと!」

 アンナさんにそう伝えると、その場で勢いよく走り出し助走をつけて空に飛び上がる。


「おやまぁ、器用なものだね。さて、あの子達になんて説明しようか」

 アンナが空を飛んでいくシンを見送ると踵を返し歩き出す。


「なあ、アリス。領都はこっちの方向で合っているのか?」

『ちょっと待ってね。よし、これでいいわ。シン、マップの赤い点が領主のお屋敷よ。で、三角形のマークが現在位置ね。後は調整しながら飛んでいけば大丈夫よ』

「おう、サンキュー! 待ってろよ、お兄様ってな!」


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