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転生少女の覇道または邪道  作者: 濃姫
転生少女の巣立ち
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冒険者ギルド

 スラムから戻り次に向かう場所は【冒険者ギルド】だ。

 

 冒険者登録を済ませていない場合素材買取は手数料が大幅に掛かる。


 まあ貯蓄して一括換金する場合は素材の鮮度が下がり価値の下落に繋がる。


 【ノルス】には前世の知識でよくある空間魔術は存在しない。


 しかしこの五年で原理をある程度解明し新たな魔術式を完成させた私は鞄を対象に亜空間を実現させた。


 本来であれば適年齢で登録する予定だったが思いの外出費が嵩みそうな為、手持ちの十分の一を換金することに決めた。


 冒険者で賑わうギルド内部。


 仕事を終えたのか祝杯を上げる冒険者やパーティーで戦略を広げる者達もいる。


 それを横目に対して人のいない外部者専用の換金場所へ足を進める。


 「換金を頼みたい」


 「はい。手数料が銀貨二十枚となりますが宜しいですか?」


 「構わない。素材はどこに置けばいい?」


 「ふふっ。此方で構いませんよ」


 受付嬢は生暖かい目でテーブルを指す。


 「しかしお客様、ゴブリンの耳や一角兎の角などが複数有っても手数料には届き」


 何やら親切を無理に押し付けた下らない話を遮って鞄の中から物理法則を無視した大きさの素材が飛び出す。


 亜空間に入っているものはまだ空間魔術が未熟な為無造作に選ばれるシステムだ。


 早速テーブルのに乗り切れなかった分が床に落ちて積み上がる。


 想像していたよりも十二分に量があった為キリの良いところで切り上げる。

 

 受付嬢は放心状態で口を開いたまま動かない。


 「これを全て頼む」


 「…え、あっ! は、はひっ!」


 噛みまくって顔を赤くしていたが早くしろと顔をしかめると他の手の空いている受付嬢も手伝ってせっせと素材を運んでいく。


 視線は一転に集まるが順番が呼ばれるまで席に座って待つ。


 声を掛けたいという露骨なアピールも一切合切無視して待つこと一時間。


 番号が呼ばれ受付ではなく奥の部屋に案内される。


 案内された部屋は応客間でありギルド長と思わしき筋肉質な男が出迎えた。


 「よぉ、初めましてだな。ギルド長のグラッグた」


 「換金した素材に何か不備かあったのか?」


 「いや、とんでもない。とりあえず座ってくれ」


 ソファへの着席を要求され受付嬢が持ってきた茶菓子が気になった為座った。


 サクリッ…


 食感も素晴らしいものがある。


 「名前を教えてくれるか?」


 「…名乗る必要性が感じられない」


 「失礼だが年齢は?」


 「今年で確か九だ」


 「あの素材は全て一人で?」


 「そうだが?」


 「解体も?」

  

 いい加減この質問の連続にも飽きてきた。


 「下らん茶番をこれ以上続けるなら二度と立ち寄らんが」


 「いや、すまんな。あれだけの魔獣の存在を換金しにきた新人の顔を見たくてな。まさかこんな幼子とは思わなかったが」


 また見目か…。


 この容姿以上に目立つ名声が必要だな。


 「私は冒険者になるつもりはない」


 「それは勿体ない。ギルド長の特権で登録することはできるが」


 「なら登録だけはしておく。また換金するときに安く済むからな」


 「それにしても、その毛皮は森の主アイアンペアレントの素材か?」


 「答える義理はない。早く登録を済ませろ」


 「アイリーン。準備を頼む」


 「畏まりました」


 急いで登録記入書が持って来られる。


 名前、年齢、出身地区、適正の欄。


 「出身地区は無記名でいいのか?」


 「あぁ」


 残るは適正の欄。


 しかしこの適正の欄というのが何を指すのかが分からない。


 「適正は何を指す?」


 「あー、適正っていうのは職業の特性だな。【戦士】、【回復士】、【支援術士】、【魔法士】、【暗殺者】、【弓者】、【盾騎士】ら辺が妥当だ」


 なら私は【魔方士】に大方当てはまるな。


 適正の欄を埋め全ての記入を完了させる。


 「あとはこの魔道具に血を垂らせば終わりだ」


 スッ…

 

 渡されたナイフで皮膚の皮一枚を切り血を流す。

 

 受付嬢によって切った指は包帯で巻かれた。


 血を垂らされた魔道具から光が反射しカードが発行される。


 「冒険者登録完了だ。やったな」


 「換金の手数料の書類も渡せ」


 「はいはい。ちょっと待っとけ」


 渡された書類に氏名と日付を書き込み銀貨二十枚を支払って換金額が渡される。


 「金貨八十七枚と銀貨六十一枚、銅貨五十九枚だ」


 受け取った貨幣を全て小袋に入れ最後の茶菓子を口に入れ席を立つ。


 「何か困ったことがあれば遠慮なく相談してくれ」


 「機会があればな」


 特に意味もなく反射で返す。


 冒険者ギルドを後にすると日は暮れていた。

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