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6、K県Y市田浦4丁目の生き残り

翌朝、私らは例の化け猫から当時の事を聞いていた。


いつもと変わらない日々、リンドバーグは家にいたお爺さんとお婆さんと一緒に召喚されてきたそうだ。


私らも良く知っているように、例のゴーストタウンの住民全ても一緒に召喚されてきたそうだ。


そして、テンプレ通りに勇者班は国から優遇され城での生活を保障され、


勇者以外の人々は解放組と無し組と選別させられ、リンドバーグの飼い主であったお爺さんには商人としてのスキルが


あったそうで解放組に入れられて城下町での生活を許されたそうだ。


ちなみにこの後、無し組の連中とは2度と会うことは無かったそうだ。


きっと、奴隷落ちしたんだとお爺さんとお婆さんが話しているのを当時、リンドバーグが聞いたいたけど


その話が本当なのかは知らないということだったが、実際、解放組が解放されて以降、無し組の人と会ったことが


あるという人が1人もいなかったから、ほぼ間違いなく良くて奴隷落ちか悪けりゃ勇者たちの経験値として殺されたのだろう。


一応、我々の知る田浦4丁目での失踪者の人数は30世帯で70人と噂されていたのたが、リンドバーグの話では


35世帯で115人の人間と数10頭のペットたちが召喚の犠牲となっていたようだ。


当時、勇者班として見出されたのが6人ほどだったらしい。その後の勇者班の活躍については街で聞く噂程度でしか


知らないということだった。たまに凱旋帰国はするもののいつまでたっても魔王討伐の出兵の話は聞かず、


常に近隣諸国との戦争ばかりに出兵していたそうだ。ただ、その強さは本物だったらしくて勇者班の6人が


誰一人と欠けることなく近年まで存命だったそうだ。おそらく、私らが召喚されたのはこの95年の勇者班たちに


何かが起こってしまい全滅もしくは逃亡されてしまったためなのだろうと予測できる。


リンドバーグも気づいたら勇者班の噂を聞かなくなっていて、何年前から勇者が不在だったのかがよくわからない


という。この辺は私らが街の人たちに聞き込みをした方が確かな情報が得られそうだ。


ちなみに、リンドバーグの飼い主だった老夫婦は解放後にこの物件を買って居酒屋を始めたらしい。


商売は繁盛していたが召喚されて1年後、老衰でお婆さんが無くなってしまい、その後、お爺さんは


お婆さんの後を追うようにお婆さんが亡くなって半年後に無くなったそうだ。まあ、すでにどちらも80歳を超えていたから


大往生だったとリンドバーグは寂しそうに語っていた。


実はこの老夫婦には息子と嫁、そして孫がいて召喚当日は息子家族は外出中だったことで召還を免れていたそうだ。


この猫の名前が当時流行っていたバンド名だったから老夫婦にしちゃリンドバーグって名前がハイカラすぎるな~と


思って質問してみたら、リンドバーグ家の家族構成を聞くことが出来たというわけだ。


当時、息子夫婦は50歳くらいでその娘さんが女学生だったらしい。その女学生の娘さんが当時子猫だった


リンドハーグを拾い育ててくれたそうだ。リンドバーグがこの家族と暮らすようになって8年くらい経っていたそうで


実は老夫婦同様に召喚された時点でリンドバーグもかなりの老猫だったそうだ。


この話を聞きながら私はたまたま外出中で召還を免れた息子家族の事が真っ先に思い浮かんでしまった。


『きっと、その娘さんはまだ日本で生きてる。』私でさえ思い浮かんだということは私よりも


頭の良いデブ蔵も同じ考えだったと思う。けれど、私らはこの時点ではあえてリンドバーグには


私らの最終目標が日本への帰還だということを言わないでおいた。もう30年以上もこの地でたった一人で


頑張ってきたリンドバーグに余計な期待を持たせて、『やっぱ、無理でした~』とは言いたくなかったからだ。


きっと、デブ蔵も同じ考えなのだろう。あえて、リンドバーグに変な期待を持たせるような発言はしてこなかった。


私らだってまだチュートリアル中。冒険の旅が始まってもいない。各々、帰還するだけのスキルの獲得は


成功したとは思っているが、日本でのシュミレーション通りに全てうまくいくとも限らない。


まずは強くなろう。強くなってスキルを使いこなせるようになろう。


もしも、いつか本当に帰還できたなら、私らでリンドバーグの飼い主だったという娘さんを探してあげよう。


この日は都市伝説界隈では超有名な田浦のゴーストタウンについての謎を聞けて私らは


いつもの部室のようにワイワイと大いに盛り上がってしまい日が暮れるまで


4人で語り続けてしまった。

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