表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/166

シリルとの再会(2)

「すんっすんっ」


ひとしきり泣いたティアナは、

だんだん落ちつきを取り戻した。


訳がわからずぐちゃぐちゃだった心が冷静になると

自分が今、抱きしめられている事に気づき

そっと視線をシリルに向けた。



シリルは前のめりに中腰になり、

右手でティアナを抱きとめ

壁につけた左手で体重を支えていた。


どれぐらい泣いていただろうか?

そう短くない時間ずっと

この状況で二人の体重を支え続けた左手は

ぷるぷると小刻みに震えている。


ティアナからはシリルの横顔と腕しか見えないが

俯瞰的に見た美貌の少年の今の姿を想像し


「ぷっ」

思わず息を吹き出し、

「くっくっく」

こらえきれずに肩を揺らした。


「?」

シリルは黙ったままだが

戸惑っているのは伝わる。


「…もぅ大丈夫」

くすっと笑いながらそう伝えると、


シリルの肩を押し

自分の足で立ち上がった。


「・・・」

シリルは混乱しながらも

立ち上がるのを手伝ってくれる。


ティアナが立ち上がると、

苦しそうな表情をしたシリルは

「ごめん・・」

と、消え入りそうな声で謝った。



「…誰とでもあんな事しているの?」


ボイラー室で聞いた猫の声

シリルの服ははだけていて

中から女の子が出てきた


そして相手が誰かも知らずに

シリルが私にしたこと


最初は気づかなかったけど…

その意味を知らないほど子供じゃない。



「…嫌いになった?」


シリルは肯定も否定もしなかったが、

これがきっと答えなんだろう。


シリルの顔をちらっと見上げると

戸惑いと不安が入り混じっていて

『くぅーん』と鳴く子犬のようだった。



あんなことをされたのに…

なんだかシリルが可愛く思えた。

もう恐れの気持ちはない。



「…なんで手紙返してくれなかったの?」


もう、シリルは私の知っている

幼なじみではないのだろうか?


「手紙?」


「うん。目覚めてから…何回か送ったんだけど?」


シリルはしばらく俯いて


「知らない・・

 手紙も・・

 ティアが目覚めたことも・・」


ぽつりぽつりと答えた。


その表情は

嘘をついているようには見えなかった



「・・・」


確かめるように

ゆっくりゆっくり伸ばした

シリルの右手が

ティアナの頬の横で止まる


「ティア・・」


優しく撫でるように添えられた

シリルの右手は少し震えている


息を漏らすように言葉を落とし




「やっと見つけた・・」


出会った時のように

薔薇の蕾が花開く様な笑顔を魅せた。

(※)ムーンライトノベルズに載せている作品のR15指定バージョンです。

(※)改訂している話には★マークを付けています。

(※)ムーンライトノベルより更新は遅れます。

(※)ムーンライトノベル版(https://novel18.syosetu.com/n9962hu/)

(※)ムーンライトノベル版には18禁描写が含まれます。ご注意ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ