シリルとの再会(2)
「すんっすんっ」
ひとしきり泣いたティアナは、
だんだん落ちつきを取り戻した。
訳がわからずぐちゃぐちゃだった心が冷静になると
自分が今、抱きしめられている事に気づき
そっと視線をシリルに向けた。
シリルは前のめりに中腰になり、
右手でティアナを抱きとめ
壁につけた左手で体重を支えていた。
どれぐらい泣いていただろうか?
そう短くない時間ずっと
この状況で二人の体重を支え続けた左手は
ぷるぷると小刻みに震えている。
ティアナからはシリルの横顔と腕しか見えないが
俯瞰的に見た美貌の少年の今の姿を想像し
「ぷっ」
思わず息を吹き出し、
「くっくっく」
こらえきれずに肩を揺らした。
「?」
シリルは黙ったままだが
戸惑っているのは伝わる。
「…もぅ大丈夫」
くすっと笑いながらそう伝えると、
シリルの肩を押し
自分の足で立ち上がった。
「・・・」
シリルは混乱しながらも
立ち上がるのを手伝ってくれる。
ティアナが立ち上がると、
苦しそうな表情をしたシリルは
「ごめん・・」
と、消え入りそうな声で謝った。
「…誰とでもあんな事しているの?」
ボイラー室で聞いた猫の声
シリルの服ははだけていて
中から女の子が出てきた
そして相手が誰かも知らずに
シリルが私にしたこと
最初は気づかなかったけど…
その意味を知らないほど子供じゃない。
「…嫌いになった?」
シリルは肯定も否定もしなかったが、
これがきっと答えなんだろう。
シリルの顔をちらっと見上げると
戸惑いと不安が入り混じっていて
『くぅーん』と鳴く子犬のようだった。
あんなことをされたのに…
なんだかシリルが可愛く思えた。
もう恐れの気持ちはない。
「…なんで手紙返してくれなかったの?」
もう、シリルは私の知っている
幼なじみではないのだろうか?
「手紙?」
「うん。目覚めてから…何回か送ったんだけど?」
シリルはしばらく俯いて
「知らない・・
手紙も・・
ティアが目覚めたことも・・」
ぽつりぽつりと答えた。
その表情は
嘘をついているようには見えなかった
「・・・」
確かめるように
ゆっくりゆっくり伸ばした
シリルの右手が
ティアナの頬の横で止まる
「ティア・・」
優しく撫でるように添えられた
シリルの右手は少し震えている
息を漏らすように言葉を落とし
「やっと見つけた・・」
出会った時のように
薔薇の蕾が花開く様な笑顔を魅せた。
(※)ムーンライトノベルズに載せている作品のR15指定バージョンです。
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