ライトロード魔法学院入学式
馬車を降り、お父様に見送られた私とギルは、二人の騎士が守る門の中に進むと、とタイルがうめこまれた通路を進み噴水の前まで来た。噴水の奥にはお城のような建物が聳え立つ。私は圧倒されながら、ゲームで何度も見た"ライトロード魔法学院"に胸を高鳴らす。後ろには、後車の馬車に乗っていたオッドとマリアもいる。
(ついに来た、ゲームの舞台ライトロード魔法学院!ゲームとは迫力がぜんぜん違う!!)
噴水を真っ直ぐ進んだ先の、お城の様な建物の中にはゲームで登場したクラス室や生徒会室がある。この建物に入るためには学院生証カードが必要で、マリアやオッドは入れない。
「ティアナ様、そちらの通路を右手です。」
今日は入学式のために直接大ホールに向かうので、マリアに案内され十字に分かれた通路を右側に向かう。
通路をすすむと庭園や女子寮の前を通り過ぎ、数分後、最奥にある大ホールへとたどり着いた。
ちなみに噴水前の通路を進むと、職員社宅や男子寮があり同じ道に続いている。どちらかと言えばこの通路を通った方が大ホールに近いのだが、男子寮があるので女性がいる時は遠回りしてでもこちら側の通路は避ける。
「それでは、行ってらっしゃいませ。」
「二人ともまたね〜」
マリアは頭を下げ、オッドは手を振りながら私達を見送る。大ホールも学院生証がなければ中に入ることができないため、従者は寮に向かい先に届けた荷物の整理をして待つ。マリアとオッドとはここでお別れだ。
二人に別れを告げ大ホールに進むと、二人の護衛騎士が道を開き前を通してくれる。閉まった取手のない両開きのドアの右側にあるカードリーダーへ学院生証をかざすと「ウィーン」と鳴りながら自動で扉が開いた。
大ホールの天井には精霊や妖精の姿が、真ん中に置かれた演題の上には目を瞑る女神が描かれている。女神は右手に光、左手に闇の光を灯す。左右の壁には六体の石像が並び、左側に闇・火・地、右側に光・水・風を象徴する中性的な神様のような容姿だ。
教会のように四〜五人が座れる長椅子が並び、こうした催しの席では学年は関係なく、高位貴族から順に上座へ腰掛ける。
大ホールは、ダイニングルームやパーティールームや今日のような催しの時に使用され、その都度配置や壁紙は魔法で変わる。正式な場ではいつもこの教会のような会場で行われる。
今日は入学式なので、普段は高位順で座る席の真ん中にぽっかりと穴が空いている。そこはゲストである、新入生達が座るスペースだ。
「お姉様の席は?」
新入生の席にギルを見送りに向かおうとしたら、ギルは式が始まるまで私の席にいてくれると言う。
在学生の席に向かうと私の席は空いていた。私はシリウスとレオンとシリルと同じ席。ゲームの世界で、シリウスとレオンは生徒会に入っていたから席を外すとは知っていた。ただ、シリルの姿も見えない。彼は生徒会ではなかった。設定が変わったのだろうか?
誰もいない席にぽつんと座る。編入する私にはまだ知り合いがいない。一人だったら心細かった。ギルはきっと気をつかってくれたのだろう。入学式開始の直前まで側にいてくれたことに心の中で感謝した。
「さっきから姉さんの事をじろじろ見るやつが多すぎる。」ギルは聞こえない声でティアナをみる男達をギロっと睨む。「ついて来て正解だった。変な虫がつかないように見張っておかないと…」黒髪黒瞳のギルに睨まれ、ティアナを見ていた男達は青ざめた顔をさっとそらす。
ティアナはそんなギルの様子には気づかなかった。




