オッドの産まれた国
オッドの話は壮絶だった。
好色家な十一代目国王の隠された十三番目の王子。
ヘテロクロミア人であった母親は、愛する人達に裏切者だと罵られ、その息子であるオッドは存在しない者だとされた。挙げ句の果てには、実の母親は誤解されたまま命を落とし、オッドは両目を・・
「両目を・・?」
「あぁ。ん〜。
これは婆の力でね〜」
オッドが婆と呼ぶ人物。
「サリバン先生が・・?」
「そ。婆は光だからね〜」
「あ、光属性?」
光属性。それはあらゆる怪我や病気などの治癒魔法に長けていて、支配する力に長ける強力な闇属性をも無効化させ悪を祓う「聖なる者」とされている。大変希少な属性で、光属性を持つものは羨望の対象とされるのだが・・アリスとルーカス先生以外に、この学院に光属性を使える関係者がいるとは聞いたことがなかった。
「表向きは火だけどね〜」
「!」
ということは、サリバン先生の力は隠されているということだろうか?
それに、オッドの瞳の色はデディベアと同じ・・
「力を抑える魔法」
そう言って、オッドは琥珀色の瞳を指差した。
とても色を変えているとは思えない、曇りひとつない透き通る自然な琥珀色だ。
「まぁ、公爵にはすぐ
見破られたけどね〜」
あの日、たしかにお父様から「オッド」という言葉が聞こえた。きっと、お父様は「オッドアイ」と呟いたのだろう。それを私が、オッドという名前だと勘違いしたのだ。
銀色と何かの色のオッドアイ。
お父様はオッドと出会った時にはすでに、オッドがアビス・ド・アポストルの王族だと気づいていたのだ。
「サリバン先生とはどこで?」
ティアナの問いかけに、
オッドはまた淡々と感情のない言葉を続けた。
〜〜〜
飼育室から逃げだしたシトロンが向かった先は魔界の森だった。
魔界の森を選んだのは、シトロンの祖先の領地であったからだとか、ビニールハウスがあったからだという理由だけではない。
逃げ出した人達は長期に渡る監禁により精神的にも体力的にも身体が衰えている。なによりも、シトロンは産まれたばかりのノアを抱いていた。
通常であれば、魔界の森などという危険な場所に足を踏み入れるのは自殺行為だ。
しかし、シトロンには確信があった。
ノアを抱いているからこそ、魔界の森に向かおうと決めた。
シトロンはノアを抱いた瞬間に気づいていたのだ。
・・ノアの瞳に宿るその力に。
シトロンの狙いどおり、
魔界の森に入っても魔獣に襲われることはなかった。
それどころか、魔獣はシトロン達を避けてゆく。
それはまるで、
闇に差し込む光のように次々と周りの穢れを祓っていくようだった。
なぜならノアは、銀色の瞳を持っていたのだ。
そしてその銀色の瞳は眩しいほどに光り輝いていた。
そう。
ノアは産まれた時から、その瞳に光の力を宿していた。
天空を司る神獣「黄龍Cielo」の力を・・




