予期せぬ知らせの数日前・続(14)
ガサガサ
さくっさくっさくっ、ごくん
「うん。うまいじゃん〜」
シリルと別れたティアナは、寮に向かっていたオッドと通路を歩いていた。
オッドへの壁はなくなり、いつもの二人に戻っていた。
「でしょう〜」
「えいっ」
「あっ、ちょっと!」
自慢げにしていたティアナの隙をついて、オッドはまた紙袋からクッキーの袋を取り出した。
「いいじゃん〜」
「もー!」
オッドに怒りながらも、うまいという言葉にまんざらでもなかったティアナは、すぐに取り返すのを諦めた。
「これ、マリアも手伝ったでしょ?」
「えっ!」
「お嬢ちゃん、不器用だからなぁ〜」
「・・・」
見透かされたオッドに、ティアナはじと目を向けていた。
ーーと、
「クロウド様」
ティアナが呼ばれて振り返ると、
「ルーカス先生?」
そこに、ルーカス先生が颯爽に現れた。
「ちょうど良かったです。
手紙が届いていたので、
寮に届けようと
向かっていた所なんです」
「まぁ、ありがとうございます」
生徒宛に届く手紙や荷物は学院宛に届き、チェックを受けてから該当生徒の担任の元に渡る。
秘密の漏洩や危険物の持ち込みがないか、厳しいチェックを受けてから担任が学院生に渡す仕組みだ。
それはもちろん、学院生が送る手紙や荷物も同様である。
「では、また・・」
「あ、ルーカス先生、これ!」
手紙を渡し踵を返したルーカスに、ティアナは青いリボンでラッピングしたお菓子を渡した。
「届けに来てくれた、お礼です。
もしよろしければですが」
手紙は、明日の朝クラス室で渡しても良かったはずだ。
だけれど、ルーカス先生はわざわざ寮まで届けに来てくれた。ティアナは最後のひとつであるお菓子をルーカスに差し出した。
「ありがたく頂戴します」
ルーカスはにこりと綺麗に笑うと、颯爽とクラス棟へと戻って行った。
(す、素敵・・・・)
ティアナはうっとりとした表情を浮かべて、ルーカス先生の笑顔の余韻に、ティアナはしばらく浸っていた。
・・やっぱり、めちゃくちゃタイプだ!
◇◇◇
「おっさん好き・・」
「う、うるさい!」
ティアナの様子をからかうオッドを手で払いながら、
「お父様からだわ」
ティアナは手紙の差し出し人を見た。
カサカサ
手紙を開くと、達筆な文字に目を通していく・・
「今週末?えらい急だね〜」
ティアナが読み終えたタイミングで、オッドは平然と言葉を発した。
「もう!勝手に見ないでよっ」
手紙には、話があるから戻って来るようにとの連絡だった。
迎えの護衛をつけるとも書いてある。
わざわざ直接会って話す内容とは・・。
ティアナは不安な顔で手紙をしまった。
「俺も着いて行こうか〜?」
「あ、ううん。
護衛が迎えに来るみたいだから。
それに、
最近のギル忙しそうだし。大丈夫」
手紙には『ギルと一緒に』という言葉はなかった。
用事があるのは自分にだけだろう。
オッドが来ると、きっとギルの耳にも入る。
そしたらギルは心配して、着いて来ると言いだすだろう。
ティアナは、手紙に書けないような用事に、
忙しくしているギルを巻き込みたくはなかった。
「ギルには言わないでね」
「え〜」
「巻き込みたくないの」
「ん〜。
聞かない方が・・」
「ダメったら、ダメ!」
「でも・・」
「いい?言わないでね!」
渋るオッドに念をおしていたのだが、、
〜〜〜
週末、
バンッ
「どう言うことですかっ!?」
ギルはクロウド家の執務室に現れた。
(ダメって言ったのに!!)
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