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その瞳に宿るもの

「シリルだめっ!」


ティアナは、シリルの口を両手でふさいだ。



シリルはきょとんとした表情を向ける。

その頬はピンク色に染まっていた。



「オッドのことは知りたいけど、

 こうゆう風に聞きたい訳じゃない」



シリルは素直に頷くと、

にこにこと了承の笑顔を向けてくれた。





「オッド!」


ティアナは振り向き、


「私、待つから!」


オッドの瞳をじっと見つめた。



「心から信頼してくれる日まで」



「・・・」

オッドの表情は読みとれなかったが、

ティアナは構わず話を続けた。



「だからいつか、

 オッドの口から聞かせて」


そう伝えて

ティアナはオッドへ微笑んだ。



その笑顔に、

オッドは視線を外しながらも

こくりと深く頷いてくれた。




◇◇◇



ティアナを女子寮まで送った後、

ギルとオッドは男子寮へと帰っていた。


8階にある部屋の一室で、

オッドは二人分の紅茶を注ぎ

ギルの向かい側にあるソファへと無遠慮に寝転がった。


これは二人のいつもの光景。



カチャ

ギルはなみなみと注がれたソーサーを持ち上げると、

貴族の所作で紅茶に口をつける。

紅茶をひとくち口に含むと、

香りを楽しんだ後こくりと喉を潤した。


「ーーで?」


ギルはソーサーを持ったまま、オッドに厳しい視線を送る。


()()()はああ言っていたけれど。

 俺は聞き逃すつもりはないよ」

「ん〜」


カチャン

ギルはソーサーを力強く机に置いた。


「話してもらおうか?」

「ん〜」

()()()を傷つける奴だけは許さない」


ティアナの16歳の誕生日の日から、

ギルはオッドの前でだけティアと愛称で呼んでいた。


「あいかわらず、

 ()()()の前とはえらい違いだね〜」


オッドは揶揄い交じりに愛称を使ったが、ギルはそれを無視した。


「知っているだろう?」

「ん〜」

「害をなすものは排除する」

「ん〜」

「それが、オッドであっても」

「・・・」



ギルは溜息をつきながら、

ソファの背もたれへと身を預けた。


しばらく溜息を吐きだした後、

両手を組み

足に力を入れて頭を持ち上げた。



「今のままだと、

 ティアにとって善か悪か分からない」


「・・・」


「ティアはオッドを信じている」


「・・・」


「認めたくはないけど」


「・・・」


「俺や父親じゃないんだ」


「・・・」


「ティアが誰よりも心を開き、

 一番に頼りにしているのは」


「・・・」


「オッド、君だよ」




「・・わかってるよ」


オッドはソファから起き上がり、

ギルに向き合うために座りなおした。



ギルはテーブルに置かれた一冊の本棚を開くと、その文章を読み始めた。



「オッドアイ、虹彩異色症。


 左右で異なる瞳の色は

 その者の能力を表す。

 

 左に才能、右に従える力・・


 中でも"銀"は名誉を好む守りの色。


 "オッドアイ"と呼ばれる

 その右目が示す"従える力"は、

 誇る力と鉄壁の守り。


 そして、

 産まれながらに宿る"才能"は


 "猫神獣"の、使い手 」



ギルは本から視線を外し、じっとオッドを見つめる。

オッドは視線をそらしている。



「世界に一ヶ所しか存在しない

 "オッドアイ"が誕生するその国は、

 

 最小の敵国にして最大の脅威を持つ


 "アビス・ド・アポストル"」



オッドはゆっくりと、ギルへと目線を合わせた。



「オッドはその国で産まれた?」



オッドの真っ直ぐな瞳を見て、ギルはそれが同意だと受け取った。



「ネコ科の神獣


 その名は


 "Divine Gallant Beast"」



ギルはオッドを見つめたまま問いかける。








































「オッドはドラゴンの使い手なのか?」

(※)ムーンライトノベルズに載せている作品のR15指定バージョンです。

(※)改訂している話には★マークを付けています。

(※)ムーンライトノベルより更新は遅れます。

(※)ムーンライトノベル版(https://novel18.syosetu.com/n9962hu/)

(※)ムーンライトノベル版には18禁描写が含まれます。ご注意ください。

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