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バニティ 18

「久しぶり。琥珀」カウンターに腰かけるとルキアはバーテンダーに声をかけた。


うながされるままカイトとカゲも腰をおろした。


ルキアは人差し指と親指で仮面を軽くはさむと顔を見せていたずらっ子のように

ウインクした。


「忘れた?オリジナルルキアだよ」


「おおーっ!ルキアか。久しぶりだな。どうしたんだ?」

琥珀は嬉しそうに声をあげると、カウンター越しにルキアの肩を抱いた。


「しーっ!静かに。お忍びなんだよ」


「へええーっ!ワケありなのか?」


琥珀は顎でカイトとカゲを指した。ルキアの連れている男に対して

必要以上の対抗心をむき出しにしている。


「変な勘繰りはしないでよ。こちらの坊ちゃんのガイドに来ただけさ。

アークの聖人でね。連れ去られた従姉妹を探している」


「アーク?そういや最近、アークの眠り姫がドクターの元に運び込まれたって

誰か言ってたな。めっぽう綺麗なお姫さまだそうだ」


カイトは固唾を飲んで琥珀を見つめたが、

ルキアに目で制されると、言葉を飲み込んだ。


「その娘はどこにいるの?」ルキアは魅惑的な瞳で琥珀をじっと見つめた。


「話したら何か良いことがあるのかな?」琥珀がスケベそうにルキアの胸元に視線を這わせる。


「さあね」妖しい含み笑いを浮かべるとルキアは琥珀の頬をゆっくりと撫でた。


「詳しくは知らねえが、ドクターの住むビルの38階。そこにセキュリティがガチガチの

ラボがあるらしい。なんの研究をしているかは一部の人間しか知らない」


琥珀は口を噤むと周囲を確かめた。誰も聞いていないことを確認するとルキアの耳元に

唇を近づけてささやいた。


「お姫さまの名目は治療とうたっているが、実際は、近いうちにドクターは

その娘をバラすって噂だ」


「バラす?」カイトの顔色が青ざめた。


「しっ!声が大きい」ルキアにたしなめられると「ドクターの目的は己の娘を

生きかえらせること。そのためにアークの秘密……生きたまま深い死の眠りにつく

謎を解きたい。お姫さまは絶好の生きた標本ってわけさ」


「これはお礼」ルキアはささやくと琥珀をぐいっと引き寄せて口づけた。


「柔らけえ」

琥珀はうっとりした眼差しでルキアを見つめた。


「だけど、そんなことをしたらアークも黙っちゃいない」

ルキアは緑色に光る酒を口に含み、軽くグラスをまわした。


「そうだ。アークは全兵力を挙げて、攻めこんでくるだろう。

だから、ドクターはカマキリと契約を結んだらしい」


「カマキリと?あの貪欲な種族がなぜ?」


「もちろん、代償はある。ドクターは、見返りとして最終兵器を作る依頼を

引き受けた」


「でも、そうしたら……」カイトは目を見開いて

「地上の世界が滅んでしまうのでは……」



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