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「ゲーム?どんなゲームだ」

「別に。単なる殺し合いだよ」女は複眼をこちらに向けた。

ベールの隙間から触覚がちらほら見え隠れしている。


「殺し合い。誰とだ?お前らの仲間か?それとも人間か?」


カゲの脳裏に若い日の記憶が甦った。

首輪をつけられ殺し合う血みどろの闘いを何度も繰り返してきた。


勝たなければ殺される。


裕福な家に生まれたが、捨てられ、闘剣士として売られた。

15、6歳のカゲにとっては、身体ほどもある大きな剣をふるって、

人を薙ぎ倒していた。


「お前にとっては我らの仲間とやり合う方が気が楽か?」

「別に。たいして変わらない」

「ふうん」カマキリの女は面白そうにカゲを眺めると

触覚を伸ばして上から下までじっくりとなめまわした。

やがて顔を使づけると、

「気味が悪い外見だが、ヒトの中では美しいほうなのかもしれないね」

女の眼の中に無数のカゲが映っている。

カゲは、何を見ているかもわからぬ木の穴のような己の目を見つめた。


「お前の目は我らの眼とよく似ている。ただ本能だけがそこにある」

今まで出会った人は、みな、恐怖や絶望や希望としたつまらぬ感情が

あふれていた。だが、お前にはなにもない。生きていくために

補食するのみだ。絶望すらない」


カゲは、「絶望すらない」とくり返した。

そうかもしれない。



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