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深海の都 3 

砂漠の真ん中にその立看板はあった。

ささくれて毛羽立った木の表面は中心からうっすらとひび割れており、どれだけ昔からそこにあったのかと思わせる。


今にも倒れそうにかしいだその根元には渾々と水が湧き出ている古井戸があった。


「かなり古い看板ですね。よく倒れないな~。すごいや」

カイトが感心したようにつぶやいた。


カゲは、しゃがみこんで古井戸をのぞきこむと人差し指を井戸の水に軽くつけ、ペロリと舐めた。


「うわ。そんな水、舐めて大丈夫ですか?」

カイトが心配そうな顔をした。


「海水だ」

カゲは、何か考えをめぐらせているようだった。


「深海の都か。この下に都があるのか?」

独りごとをつぶやくと、砂の中を凝視して動きを止めた。


「カイト。あれはなんだ?」


「どれですか?」

カゲの指さす方向を見て、カイトは軽い叫び声をあげた。


「ほ、骨みたいです」


カゲは立ち上がると、ざっざっと大股で砂の中を歩いた。

そして、すらりと剣を抜き、骨らしきものが見えるあたりの砂をすくい取った。


剣にひっかかるように、やぶれかぶれになった衣服と指の骨が出てきた。

カゲは熱い砂に手をつっこみ、砂の奥から人骨をひっぱり出した。


「うわあ」

初めて人の骨を目の当たりにしたカイトは、腰がぬけて座りこんでしまった。


太陽にやかれた衣服は白く変色しており、破れ目から腕の骨が露出している。

そして、頭から顔にかけて、すっぽりとゴーグルのようなもので覆われていた。

素材が何かは分からないが、不思議なことにこれだけは劣化している様子がなかった。


カゲは、ゴーグルのようなものを頭蓋骨から引き抜くと頭からすっぽりとかぶった。

勢いよく引き抜いたせいで胴体から離れた頭蓋骨が、ころころと転がってゆく。


「な、何してるんですか。死者への冒涜ですよ」

カイトが焦って立ち上がろうとしたが、間近で見る人の骨に恐怖を感じたのか、足がもつれて上手く立ち上がれなかった。。


カゲは、両手でゴーグルを外しながら、

「カイト。砂を掘り返して同じものを探せ。井戸の底へ行く」と言った。





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