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東方異譚録〜万の神人紡ぐ糸〜  作者: 金柑太郎
第三章 春冬異変
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二十八話 春冬異変・伍

押忍。めっぽう久しぶりです。めちゃくちゃ久しぶりです。毎度のことなので慣れてください。時間が空きすぎて、考えてた筋書きをすべて忘れました。そのため、全部一回読み直したうえで、矛盾がないようにこれから考えていきます。


あと、心内描写に()を入れた方がわかりやすいなと考えたため、今回から追加します。

また「・・・」は、「…」になります。


自分が人間として成長したため、今までの自分の文が恥ずかしくなってしまいました。そのため、内容は変えずに文を読みやすく修正していきます。時間がかかると思いますが、よろしくお願いします。


草むらの中で息を潜めていた俺たちは、頭上を飛んで行く博麗の巫女の姿に気づいた。


「おい、犬斗。」


耳元で真弓が小声で囁く。


「あぁ、言われなくてもわかってるよ。」


けだるそうに犬斗が答えた。おそらくこれから、異変の主と博麗の巫女の戦いが始まる。俺たちのような一般人の出る幕はないだろう。まぁ、ここで高みの見物と決め込むのが賢明というものだ。


そんなことを考えていると、犬斗がゆっくりと草むらから顔を出し、敷地内へ入っていこうとする。


「おい犬斗、まだ出ていくのは早計じゃないか? これから戦いが始まって騒がしくなるはず。その混乱に紛れて忍び込んだ方が安全だと思うんだが。」


「……ったく、しょうがないなぁ。」


犬斗はひらひらと手のひらを振りながら、再び草むらへと首を引っ込めた。


それから一分ほど経った頃だろうか。敷地の奥からとんでもない轟音が響き渡り、弾幕が弾け飛ぶ甲高い音が交錯し始めた。地響きのような衝撃が、草むらに伏せる俺たちの体を揺らす。おそらく、このタイミングで踏み込むのが一番良いだろう。


毎回思うことだが、こうして中に踏み込む直前の瞬間というのはどうにも慣れない。どうしても心が強張り、足がすくんでしまうのだ。だが、俺たちがこの異変に巻き込まれるのもこれで二回目。そろそろ肝を据えなければならない。いつまでも怯えるだけの一般人でいるわけにはいかないのだから。


俺は一人で格好をつけるように顔を上げ、ぐっと体を起こした。


「よし……行くか。」


そんな小さな呟きとともに、俺たちはゆっくりと門の中へと足を踏み入れる。


***********************************************


(──なんなのよ、こいつは。どうにも読めないわね。)


博麗霊夢は空中を浮遊しながら、目の前の相手である西行寺幽々子を睨みつけた。


いくら弾幕を浴びせようとも、彼女はふわふわとした足取りで容易くそれをかわしてしまう。機動力は明らかにこちらが有利なはずなのに、彼女の周囲にはまとわりつくような「死の気配」が立ち込めていた。


「そんなふわふわ浮いてるだけで、私に勝てると思っているの?」


相手を揺さぶるように挑発してみるが、幽々子は「ふふふ」と笑うだけで一切動揺を見せない。


私は牽制として弾幕を前方へ放つと、一気に距離を詰め、大幣を思い切り振り下ろした。しかし幽々子は、牽制の弾幕を軽々と打ち落とすと同時にスッと懐へ入り込み、霊夢の大幣を弾き返して三歩ほど後退した。


「あら、そんな攻撃が私に当たると思って?」


幽々子は余裕そうに首をかしげながら言う。


「これが私の全力だとでも思っているのかしら?」


霊夢は内心の焦りを悟られまいと、強気に言い返す。


「博麗の巫女の噂は幽々子から聞いていたけれど……思っていたより弱いのかしらね?」


幽々子は扇子で口元を隠し、不気味に微笑むと、「そろそろ私のターンかしら」と呟き、桜色の弾幕を多数展開する。


その弾幕は、圧倒的な密度を誇っていた。いきなり放たれた圧倒的な光の渦が、霊夢を押し潰そうと迫ってくる。


(いきなり凶暴化しやがって……!)


霊夢は軽く体を開き、回避行動に専念する。左右への飛翔に加え、上下の立体的な動きを交えて器用に弾幕を裁いていくが、あまりの密度に避けるだけで手一杯の状況だ。


「あら、避けるのは上手なのね。じゃあ、これはどうかしら?」


幽々子が再び不気味に笑うと、一筋の太いビーム状の弾幕を放った。


(隙を突かれた──!)


とっさに反応して横に飛んだものの、ビームの熱線が霊夢の頬をかすめる。


(どうすれば勝てる……?)


いくつかの弾幕を打ち返し、相殺しながら思案する。何か変化を起こさなければ、このままでは押し負けてしまう。しかし、向こうもこちらに考える時間を与えてくれるわけではない。現状は幽々子の弾幕を裁くので手一杯だ。何か外部の、外部からのアクションがあれば…。


次の瞬間、極太のレーザーが周りのすべての音をかき消すような轟音と共に通り抜けていく。


その轟音は、霊夢を苦しめていた幽々子の弾幕を一瞬で消し去り、そのまま屋敷の壁へとぶつかる。


「あら? 新しいお客様かしら。」


幽々子が視線を後ろへ向けた。霊夢も振り返る。そこにいたのは、八卦炉を手にニカッと笑う、黄色の衣装を纏った魔法使いだった。


「あんた、なんで来たのよ!」


「へへっ、見ての通りだぜ!」

霧雨魔理沙はヘラヘラと笑い、霊夢ではなく幽々子を見据えた。


「見た感じ、あいつが今回の異変のラスボスってことで間違いなさそうだな。霊夢、ここは私に任せときな!」


「まったく、いつも調子いいんだから……」


霊夢は呆れたように溜め息を吐いたが、内心では胸を撫で下ろしていた。正直、あの密度の弾幕を一人で捌き続けるのは限界が近かったのだ。魔理沙の貫通力のあるレーザー系弾幕は、あの高密度弾幕を相殺するのに打ってつけである。


「あんたも気をつけなさいよね!」


「へいへい、博麗の巫女さまは相変わらずだな! さぁて、始めますか!」


魔理沙は八卦炉を構え、空高く飛び上がった。


「一気にいくぜ、恋符『マスタースパーク』!!」


虹色の閃光が巨大なレーザーとなって幽々子へ突進する。さすがの幽々子も驚きの声を上げ、体勢を崩した。


(今だ! 絶好の狙い目!)


霊夢は素早く弾幕の気配を消し、幽々子の懐へと飛び込んだ。


「ここしかない……! スペルカード──霊符『無想封印』!」


巨大な霊玉が生成され、幽々子を襲う。幽々子は歯を食いしばり、少しでも衝撃を逃がそうと体を小さく丸めた。直後、凄まじい爆発とともにあたり一面に白煙が巻き起こる。


「おいおい霊夢、やりすぎだぜー!」


遠くから魔理沙の能天気な声が飛んでくるが、霊夢はそれを無視して白煙の奥を睨みつけた。異変の主がこの程度の攻撃でやられるわけがない。


「そろそろ、私のスペルカードも使おうかしら?」


背後から、耳元で囁くような冷たい声が響いた。霊夢はハッと息を呑み、急いで振り向く。


「スペルカード──符牒『死蝶の舞』」


幽々子がスペルカードを唱えた瞬間、色とりどりの紫色の弾幕が、白煙を切り裂いて周囲全方位から霊夢を襲った。あまりにも突然の出来事に反応が遅れ、直撃を受けた霊夢は地面へと叩きつけられる。


「霊夢ーっ!」


魔理沙の悲鳴が聞こえる。油断した、まさかあのわずかな時間で私の後ろに回り込むなんて。反撃しようにも、魔理沙は押し寄せる弾幕を相殺するのに手一杯だ。


「くっ……!」


霊夢は足に力を込め、泥を払いながら立ち上がる。頭上から降り注ぐ弾幕を大幣で払い落としつつ、次の機会を窺う。だが、魔理沙のマスタースパークも一度使ってしまった以上、幽々子に同じ手は通用しないはずだ。魔理沙自身も既に満身創痍に見える。


「ったく、どうしたらいいのよ。」


絶望的な密度の弾幕が自分にも迫ってくる。


(まずい。い…しき…が…。)


「あら……助けが必要かしら?」


鋭く、そして冷徹な声が戦場を通り抜けた。遠ざかっていた意識が一気に戻ってくる。


ふっと顔を向けると、そこには紅魔館のメイドである十六夜咲夜が優雅に空中に立っていた。


「博麗の巫女と魔理沙がいるっていうから、もう異変の主をボコボコにしているかと思ったのだけれど……まさかここまで苦戦を強いられているとはね。これでよく博麗の巫女を名乗れますこと。」


「うるさいわね! あんただって遅れて来たじゃないのよ!」


咲夜は心底見下すような視線を霊夢に向け、溜め息をついた。


「……あのね、あちらの幽々子様? お名前は存じ上げませんけれど、あなたのせいでうちの館の暖房が壊れてしまったのよ。お嬢様が寒がってかわいそうだから、私が直談判に来たってわけ。」


咲夜は銀のナイフを幽々子へ向け、鋭い瞳で睨みつけた。


「3対1はちょっと卑怯じゃないかしら?」


幽々子は眉をひそめつつも、どこか楽しそうに肩をすぼめた。


「よし、ここからが本番だな!」


魔理沙が不敵に笑う。霊夢もフンと鼻を鳴らし、大幣を幽々子へと突きつけた。


「ええ、そうね……ここからが本番よ。幻想郷の春は返してもらうわ!」


瞬間、霊夢は地面を強く蹴って跳躍する。それに合わせ、魔理沙と咲夜も同時に動き出した。


霊夢は弾幕を飛ばしながら距離を詰め、右側から迫る。魔理沙は星型の弾幕を大量に放ちながら左側へ回り込み、挟み撃ちの形を作った。そして──


「スペルカード──幻世『ザ・ワールド』!」


咲夜が叫んだ瞬間、世界から音が消えた。


次の瞬間、幽々子の周囲に無数のナイフが出現し、彼女の展開していた弾幕を次々と切り裂いて砕いていく。


「隙だらけだぜ! 一気に行くぞー!」


魔理沙が最後の力を振り絞り、再び放ったマスタースパークが幽々子へと迫る。気配を察知した幽々子が回避しようと移動したその先──そこには既に霊夢が待機していた。


「逃がさないわ!」


大きく振りかぶった霊夢の大幣が、幽々子の肩口にクリーンヒットする。幽々子はバランスを崩し、地面へと急速に落下していった。


「今よ!!」


霊夢は空中で叫び、最後の力を振り絞る。


「スペルカード──『無想封印』!!」


色とりどりの巨大な光弾が、地面へと叩きつけられた幽々子を呑み込んだ。とんでもない衝撃波で地響きが起き、あたりには再び深い白煙が立ち込める。


力を使い果たした魔理沙が空中から落ちてくるのを、霊夢はしっかりと受け止め、ゆっくりと地面へと降り立った。


「……さすがに、これで懲りたかしらね」


白煙の中、ピタリと動かなくなった気配を感じながら、霊夢は大きく息を吐き出した。


***********************************************


門の影からその光景を見ていた俺たちは、ゴクリと唾を飲み込んだ。


白煙が晴れていく敷地の中央には、宙で肩を寄せ合う霊夢たちと、地面に倒れ伏す謎のピンク色の髪の女性──西行寺幽々子の姿があった。


「おい、犬斗……あのピンクの女が異変の主犯ってことで間違いないんだよな?」


「たぶんな。あいつだけ放っているオーラが違いすぎだ。」


「……俺たち、よくあんなバケモノたちの戦いをこんなに近くで見てられたな。」


「お前、途中でビビって目をつむってただろ?」


「うっせぇ! なんとなく気配で分かったんだよ!まぁ……これで幻想郷の異変も解決だな。さっさと帰ろうぜ。」


ふと犬斗の方を見ると、彼は辛そうに眉をしかめて、どこか遠くを見つめていた。


「なぁ…おかしいと思わないか。」


「はぁ?いきなりどうしたんだよ?」


「……俺たちは、いきなりあのBBAにこの世界へ連れてこられた。そして、博麗の巫女たちが異変を解決する様子を見ていろと命じられた。」


犬斗の声は低く、どこか冷ややかだった。


「……こんなことをさせて、一体何になるんだよ。俺は……八雲紫が怪しいと思っている。あいつは俺たちを利用して、裏で何かを成そうとしてるんじゃないか。そうとしか思えないんだ。」


俺は返事に詰まり、ただ黙って彼の横顔を見つめることしかできなかった。


「確かに、あいつの下での生活は騒がしいけれど……決して悪くはない。だけど俺は……あいつが、八雲紫という存在が、たまらなく怖いんだ。あいつを見ていると、怒り、恐れ、憎しみ、あらゆる負の感情が胸の奥からあふれてくる。」


犬斗の言葉に、俺は息を呑んだ。


「……おいおい、滅多なこと言うもんじゃないぞ、犬斗」


俺は声を潜めて犬斗の言葉を制す。


「そりゃ、いきなりこんな世界に連れてこられて、得体の知れない妖怪に指示されてりゃ面白くないのはわかるよ。俺だって気味の悪さを感じないわけじゃない。だけどな……」


俺は犬斗の肩にポンと手を置き、諭すように語りかける。


「どこであいつが耳をすませてるか分からないんだぞ。境界だか何だか知らねぇが、どこから覗かれてるかも分かったもんじゃない。下手に勘ぐって睨まれたら、俺たちは一捻りだ。」


犬斗の焦りや恐怖は痛いほどよく理解できる。だが、戦闘が終わった今、いつあいつが迎えに来てもおかしくない。


「言いたいことは山ほどあるけどさ……今は大人しくあいつの言いつけ通りにして、波風立てずにやり過ごすのが一番安全だと思うんだが。な?」


俺は、倒れ伏す西行寺幽々子の方へと視線を向けた。八雲紫の考えていることはわからないが、戦いは終わった。あとは俺たちもどさくさに紛れて帰るだけだ──そう高を括っていた、その時だった。


「おい、犬斗……? どうしたんだよ」


ふと隣を見ると、犬斗が顔を歪め、胸元を強く掴んでいた。彼の身体が震えている。


「……なぁ真弓。あの女が倒れた瞬間から、急に胸の奥がざわついて冷や汗が止まらないんだ。何か……すげぇ嫌な予感がする。」


犬斗は肩で息をしており、いつもの生意気な口調はどこに行ったのか、とても苦しそうにあえいでいる。深く息を吸い込もうとしては不自然にむせ返り、彼の額には大粒の汗が滲んでいた。俺はただの体調不良だろうと思い、「おいおい、安心したら急に疲れが出たのか?」と声をかけようとする。


だが、犬斗が痛みに耐えかねて身体を折ったその瞬間──俺の目の前で、彼の瞳の奥が一瞬だけ不吉などす黒い光を放った。


(な、なんだ……今のは……!?)


俺が嫌な違和感を覚えた直後、白煙の奥で倒れていた異変の主犯の身体が、まるで糸で吊るされた人形のように跳ね起きた。


「あ……が、ああぁぁっ……!?」


幽々子が自身の喉を掻きむしり、激しく苦悶の声を上げる。彼女の豊かな桜色の雰囲気に、泥のような黒い影が侵食しているようだ。


「ぐ、あぁっ……!? なんだこれ、胸が、裂けそうだ……!」


犬斗が突然膝をつき、胸を固く押さえる。それと同時に、幽々子の両目がカッと見開かれた。完全に光を失ったその瞳は漆黒に染まり、彼女は獣のような咆哮をあげる。


『あはははは! 素晴らしい!』


幽々子は狂ったように笑い出すと、理性を失ったかのように暴れ出した。


ドォンッ!!


彼女の手から放たれた黒紫色の弾幕が乱反射し、周囲の空間そのものを破壊し尽くしていく。手当たり次第に放たれる凄まじい衝撃波が地表を抉り、屋敷の壁を粉砕した。


「な、なんなのよアレは!? 急に暴れ出して……!」

「霊夢、気をつけろ! 様子が完全におかしいぜ!」


倒していたはずの相手が爆発的な狂気とともに暴走し始め、博麗の巫女たちも慌てて構え直すのが見えた。


「なん…だよ、これぇ!は…やく、もどれ…よぉ!」


犬斗の顔から急速に血の気が引き、彼は俺の足元へと倒れ込んだ。自分に何が起きているのか全く理解できていない様子で、震える自分の手を見つめている。幽々子の暴走と連動するかのように、彼の身体は激しく痙攣を続けていた。


「おい犬斗!? しっかりしろ! 一体何が起きてんだよ!?」


さっきまでの楽観的な気分は一瞬で吹き飛び、俺は倒れ込む犬斗の肩を必死に揺さぶる。


だが、俺の叫び声も虚しく、乗っ取られた幽々子が撒き散らす破壊の嵐は容赦なく周囲を呑み込んでいく。衝撃波が地響きを立てて迫り、荒れ狂う黒紫の弾幕が俺たちのすぐ足元を抉り取った。


「くそっ……こんなところで死んでたまるか……!」


自分たちの身に何が起きようとしているのかすら分からないまま、俺は痙攣する犬斗を強引に抱え直す。


暴走する幽々子と、立ち向かう巫女たち。その凄まじい激闘の余波の中、俺たちはただ息を殺し、必死に命を繋ぎ止めることしかできない。


その轟音の中、頭の中でカチリと音が鳴った気がした。


静かに鳴り響いたその一音が、本来の幻想郷の描くべき未来を狂った歯車へと噛み合わせた音だと知るのは──ずっと、後のことだ。

次も遅くなると思いますが、前回ほど時間が空くことはないと思います。


また、今回から筆者が情報収集や誤字確認などでAIを多少使った方が筆が早くなると判断したため、直接ではありませんがAIを使用しています。それでも良いという方は読んでいただけると幸いです。


これからもよろしくお願いします。

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