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ダンジョンもの  作者: 豚肉100g
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第2話

第2話


二人して落ち込んでいても仕方ない、とにかく話をすることで現状の整理をしていこう。

「置かれている状況はある程度わかったから、今これからしていくことを話そうか。」


ダンジョンを作成して運営していくって言っても、そもそもなんの知識もないから何をどうすればよいかわからないしね。


「わかりました。そうですよねまだダンジョン作成とかについて話していませんでした。」

何故かうつむいたまま若干震えているように見えるが、なんとか話はできるようで良かった。


「私はダンジョンコア科の落ちこぼれでした。ダンジョンコア科の授業には、ダンジョンの通路や部屋それと罠を作るダンジョン作成と、ダンジョン内を徘徊する魔獣や魔物を作り管理するモンスター作成、それに宝箱の中身や採取できるものを作る、素材作成の大まかに分けて三つの授業があります。

各授業を五段階評価にして平均三あれば卒業できるのですが、私はダンジョン作成が三でモンスター作成が一、素材作成が五で平均では足りていても、一があるため本当なら今季の卒業はできませんでした。

元々私はダンジョンコア科ではなくダンジョンサポート科なので、素材作成に重点を置いて作られています。

「ちょっと待って、なんでサポート科なのかとか作られたってなに?とかあるけけど、ダンジョン制作にそれが大事なの?」

「ダンジョン制作の話をする前に私が出来ること出来ないことを話そうかと思いまして。」

「色々聞きたいこともあるけど、取り敢えずまぁいっか。ごめん話の腰を折っちゃって。」


細かいことも気になるけど、いちいち聞いていたら永遠と終わらなそうだ。下手したら彼女の半生を全て聞くことになりそうだから、取り敢えず話を進めてもらおう。


「はい。では続きを。

ダンジョン専門学校入学時から、マスターの生徒が多すぎてコアの人数が足りないことはわかっていましたが、途中で更にコアの進級率が悪かったため、他の科から強制的に転科させられてしまいまして、それでも頑張って授業を受けていたのですが、どうしてもモンスター作成があまりうまくならないまま卒業の日になってしまいました。

相変わらずマスターが多すぎて、今期予定のダンジョン数に届かないことが判明したため、特例処置として私を含む落ちこぼれ組から卒業コアが選ばれたのです。」


なんか聞けば聞くほど運が無いというか、ノルマ達成の為の被害者が他の人の運の無さまで背負わされたと・・・ひどい話だね。


「で、くじ引きのハズレを押し付けられたと。」

「はい。でもそれはひとまず置いといて、なのでダンジョンは作れますが、配下のモンスターが弱いのしか作れないのです。」


「う〜んよくわからないな。具体的にモンスターは今何が作れるの?」

「そもそもエネルギーもたいしてないのですが、今作れるのは最下級のゴブリンやスライムといった者たちだけです。しかも私はモンスター作成が下手なので効率が悪く、今あるエネルギーを全部使っても、ゴブリン30匹位しか作れません。」

「ちなみにゴブリン30匹を外の魔獣と戦わせるとどうなる感じ?」

「ゾウとアリンコの戦いみたいなものです。戦うどころか向こうが動くだけで全滅します。」


もはや攻撃する必要さえないと?


「しかも、作ったものには全てに維持コストが必要になります。私はモンスターの維持コストも得意ではないので、今あるエネルギーでは10匹も作れば数日でエネルギーが枯渇します。」

「ちなみにエネルギーが枯渇するとどうなるの?」

「足りない分に相当するものが消費されてしまします。具体的には素材関係・モンスター・マスターの順で、最後にダンジョンが消費されて、それでも足りなければ休眠状態に移行します。」

「おおぅ。私も消費されてしまうのか。ちなみに休眠状態に入ったコアはどうなるの?」

「コアはエネルギーの塊でもあるので、運良くダンジョン関係者に拾われれば、サブコアとして使って貰えることもありますが、基本的には食べられるか壊されてしまいます。」


ちょっと悲しげな顔をしながら話してくれている。辛いことを話させている自覚はあるものの、大事なことなので先を促すしかない。


「なるほどね。維持費の問題からもなるべくモンスターの数は増やせないと、しかも1匹あたりの強さもアリンコレベルか。ちなみに素材やダンジョン自体の維持費はどうなの?」

「そちらは得意分野なので、プロ並みと自負しています。」


さっきまでと違いかなりの力の入れようだ。でもプロって一体・・・あ〜


「プロの定義がダンジョン運営で食べていける人って事なら、君も今日からプロの人だよ。」

「っは!そうでした。がんばります!!」


ちょっと気分が上向いてきた様だ。良かった良かった。


「それでエネルギーはどうやって補充していくの?」

「エネルギーの獲得には現在三種類が認められています。

まずダンジョンの主目的であります地脈・水脈・風脈・天脈から得られるエネルギーを変換すること。

次にダンジョン内で生物が活動する際の余剰エネルギー。

最後にダンジョン毎の取引による物になります。」


ん?なんだ?三種類が認められている?変な言い回しだな・・・いや今はそこではなく


「なんかちょっと引っかかるけど、まず1つ目の自然エネルギーっぽいのの獲得方法を教えて。三つめのはどうせダメだろうし。」

「はい。ダンジョンの支配地域をエネルギーを使用することによって広げ、そこに流れてくる各種脈えーっとマスターの言った自然エネルギーを、私が変換して貯蓄します。変換と言っても別になにかするわけではなく、そもそもダンジョンコアである私にとって、ダンジョン自体も支配地域も私の体のようなものなので、勝手に吸収されていきます。」


また認識を改めないといけない新情報が・・・今あなたのお腹の中にいるの・・・って感じか・・・


「マスターの言う通り、現状外部との連絡が取れませんので、取引でエネルギーを増やすことはできません。それと現状では支配地域を獲得することができませので、一つ目の方法も不可能ではないですがかなり難しいです。」

「支配地域を獲得できない?あ〜もしかしてモンスターが居ないと出来ないって事かな?」

「はい。支配地域の獲得は配下のモンスターがいる場所を、エネルギーを使用してダンジョンと繋げる必要があります。

支配地域の獲得だけならそれで良いのですが、モンスターが支配地域で配下以外の生物に殺された場合は、支配地域が失われます。

当然使用したエネルギーも帰ってきませんので、ダンジョン運営の初期に行うのはかなり無理があります。

おまけにここは魔獣の森なので、ゴブリンを多少外に出したところで・・・」


アリンコレベルじゃ支配地域を広げることも出来ないか・・・


「てことはだ、残りはダンジョン内に生物を入れて、余剰エネルギー?をもらうしかないわけだけど。」

「それもかなり難しいです。余剰エネルギーが発生するほど動いてもらうだけのスペースを作るエネルギーがありません。狭いところでは大して動かないでしょうし、そもそも入ってくるかわかりません。」

「普通のダンジョンはどうしているの?」

「人里に近い場合ですと、資源を見せることでダンジョン内に引き込み、モンスターと戦わせることでエネルギーの回収を行います。

戦闘時はエネルギーがかなり動きますし、もし侵入者を倒すことができれば、かなりのエネルギーをまとめて獲得することが出来ますので。」

「なるほどね、うまくダンジョンに引き込めたとしても、アリンコじゃ運動にもならないから、大したエネルギーがもらえないし、倒すなんてありえないと。

こりゃ引きこもってひっそりと過ごすしかないかな?」

「言い忘れましたが、私やマスターそれにこの部屋も維持費がかかります。なので何もしなくても二〜三ヶ月で枯渇します。」


なるほどこれは泣きたくなるわけだ


「ダンジョンに引き込んで、罠でダメージや毒を盛ったりするのは?」

「魔獣の森の生物に効果のあるほどのものを作るとなると、今のエネルギーでは難しいとしか。」


「おーこれはあれかな?いわゆるあれだな?」

「そうなんです。いわゆる『詰み』ですね。」



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