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閑話6 カエサリル家

用語説明w

龍神皇国:惑星ウルにある大国。二つの自治区が「大崩壊」に見舞われ、現在復興中

クレハナ:クレハナ:龍神皇国の北に位置する小国。フィーナの故郷で、後継者争いの内戦が激化している


セフィリア:龍神皇国騎士団の団長心得。B+の戦闘力を持つ。ラーズの遠い親戚で、五歳年上の憧れの竜人女性

フィーナ:ラーズの二歳下の恋人。龍神皇国騎士団にBランク騎士として就職している。魔法に特化した大魔導師

ピンク:カイザードラゴンの血を引く龍神皇国の貴族で、騎士見習い。カイザードラゴンのブレスを纏った特技(スキル)の威力は凄まじい


龍神皇国


惑星ウルにある大国

この国は、約百年前に存在した龍神皇帝国という大国を前身としている


龍神皇帝国は、約四百年前に魔王を討伐した勇者が戦乱を治めて興した国

勇者は龍神と契約をして加護を得ており、その血は龍神王の血脈として王家に受け継がれている


現代でも、龍神皇国において竜族は友人であり、尊敬の対象として協力関係にある

勇者と龍神の友情の証として、勇者の絶望と怒りに龍神が力を与えて具現化した鎧、紅龍の怒りが受け継がれている



中央区

騎士団本部


晩餐会で使われるような豪華な部屋を、たった二人の貴族が贅沢に使っている


「セフィリアさん、相変わらずお綺麗ねー…」


「キリエ様こそ、お変わりなくお美しいままですわ」



現皇帝の直系、龍神王の血を引くドルグネル家の息女であり、騎士団の団長心得であるセフィリア

美しい金髪と透き通るような青い目の竜人女性


龍神皇国の貴族の序列不動の一位であり、カイザードラゴンの血を引くカエサリル家のトップ、キリエ

燃えるような赤髪の竜人女性だ


今年、娘のピンクが大学を卒業して騎士団に就職した

しかし、社会人になった娘がいるとは思えないほど若々しい



「ピンクはどう? 頑張っているかしら」

キリエが紅茶を飲みながら尋ねる


「はい。入団したばかりなのに、その戦闘力は一目置かれています」

セフィリアが答える


貴族のお茶会

高貴な雰囲気が二人を包んでいる




約百年前


龍神皇国の前身である龍神皇帝国から、六つの国が独立した

現在の龍神皇国とは、分裂後の皇帝国を引き継いだ国なのである


そして、皇帝国から分裂した国が


・シグノイア

・ハカル

・クレハナ

・バティア

・クシュナ

・黒色


の六つである


しかし、大崩壊が起こったシグノイアとハカルは龍神皇国に加入した

現在は、自治権を与えられた独立自治行政区となっている



「それで、クレハナの情勢はどうなのかしら? …これ、美味しいわね」

キリエがお菓子に手を伸ばす


「それ、中央区に新しく出来たお店のクッキーなんですよ」

セフィリアが微笑む


そして、表情を真面目なものに変える

「ご存じの通り、動きがありました。今後、全面戦争は避けられないでしょうね…」



クレハナ


龍神皇帝国から独立した国の一つであり、龍神皇国とは親密な関係を保っている

現在、三つの勢力に別れて内線状態になっている


三つの勢力とは、それぞれの領主であり

・ウルラ家

・ナウカ家

・コクル家


今までは三つ巴で均衡を保っていたのだが、ナウカ家とコクル家が手を組み連合を結成

今後、ウルラ家と全面戦争に発展していくことが予想される



「せっかく治安維持部隊を送ってあげていたのにねー…」

キリエが紅茶の飲みながら言う


「龍神皇国の介入を受け入れていたのはウルラ家だけでしたから」


「今後は、ウルラ家に?」


「はい、龍神皇国はウルラ家を支援することを明示します」


「それで、丸く治められるの? 龍神皇国が、クレハナの半分と敵対することになるのに」

キリエが試すようにセフィリアに言う


「そこは考え中ですわ」

セフィリアがニッコリと答えた



龍神皇国の貴族は、龍神皇帝国の姿が本来あるべき姿だという考えを持っている

分裂した六つの国、シグノイアとハカルが龍神皇国に組み込まれたため、残り四つの国を組み入れて皇帝国を復活させることを悲願としているのだ


大崩壊の首謀者を捕らえ、復興に尽力し、シグノイアとハカルを取り込んだセフィリアの功績は、龍神皇国の貴族達にとって無視できないほど大きい



「…何を考えてるのかしら? おばちゃん、気になっちゃうわ」

キリエがいたずらっぽく言う


「全面戦争まで、まだ数年は猶予があるはずです。それまでは、今までと同様に停戦を働きかけることに変わりません」


「クレハナの…、フィーナ姫? 今度、私も会ってみたいな」


「…」



クレハナの今後は、龍神皇国とって重要だ

反龍神皇国の勢力が勝てば、今後、龍神皇国の介入が難しくなる

かといって、武力で攻めれば他国への軍事介入として国際世論の正当性を失う


現在のところ、治安維持部隊を送ることぐらいしかできていないのが現状だ



「フィーナは、王位継承権を放棄しています。今は優秀な騎士として頑張ってくれていますよ」


「分かてるわよー。クレハナのことはセフィリアさんに任せてるんだし、興味も無いわ」


「では、なぜフィーナを?」


「フィーナさんの彼氏の話をしたいのよ。場合によっては、ピンクの力になるかもしれないでしょう?」


「ラーズのことですか…」


「そのラーズ君は、まだ見つかっていないんでしょう? 騎士学園でピンクがお世話になったみたいだし、私に出来ることがあったら言ってね」


「ありがとうございます。心強いですわ」

セフィリアが微笑む


二人は、また紅茶を楽しむ


「そう言えば、アイオーンの件はどうなったの?」

キリエが、思い出したようにセフィリアに尋ねる


「お耳が早いですわね。キリエさんには言ってなかったと思いますけど」


「私はセフィリアさんのファンだもの。私も、そのアイオーン入れてもらえない?」


「さすがに、貴族の当主に入ってもらうわけにはいきませんわ…」


「楽しそうな活動なのに、意地悪ね」

キリエは頬を膨らませる


だが、断られることが分かっていたかのように、すぐに話を続けた

「それなら、ピンクを入れてあげて。経験にもなると思うし」


「ゆくゆくは、考えさせて頂きます。まずは、騎士として一人前になってもらわないといけませんからね」



上品な紅茶の香りが二人を包んでいる


そんな中、一人のメイドが静かに頭を下げた


「失礼致します、カエサリル様。ブルトニア家の当主がお会いしたいと訪ねて来ておりますが…」


「何の用かしら?」

キリエがメイドに言う


「何でも、クレハナの内戦の鎮圧にブルトニア家の参加を推薦してほしいとのことです」


それを聞いて、キリエがため息をつく

「そもそも、カエサリル家はクレハナに関与していないわ。お門違いよ、追い返して」


それを聞いて、メイドが頭を下げる


「セフィリアさん、ごめんなさいね。手柄を欲するボンボンの当主が、クレハナで一山当てたいってことみたいね」


「シグノイアとハカルの復興時も、似たような輩がたくさんいましたわ。キリエさんも大変ですね」

セフィリアが言う


「私はそもそも、クレハナや龍神皇帝国の復活なんか興味ないから関係ないんだけどね」

にっこりと笑うキリエ


「…私が興味あるのは、その先ですもの」


「…キリエさん、少しは控えてください」


ケラケラ笑うキリエを見て、セフィリアはため息をつく



クレハナへの対処、ラーズの捜索、戦力集め

まだまだ、やることは多い


「最優先はラーズを見つけること…」



ラーズはまだ見つかっていない


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