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二章~7話 ナースさん

用語説明w

ドラゴンタイプ:身体能力とサイキック、五感が強化されたバランスタイプの変異体。背中から一対の触手が生えた身体拡張が特徴

ギガントタイプ:身体能力に特化した変異体。平均身長2,5メートルほど、怪力や再生能力、皮膚の硬化、無尽蔵のスタミナ、高い免疫、消化能力を獲得


タルヤ:エスパータイプの変異体。ノーマンの女性で、何かに依存することで精神の平衡を保っている


朝から教官が個室にやって来た


俺とヘルマンが説明を受けたトラビス教官とは別の教官だ

だが、やはりBランク特有の高圧的な雰囲気を纏っている


「定期検診だ、診療室に行け」


「分かりました」


そういえば、診療室には行ったことが無かったな



廊下を抜けて、診療室の区画に向かう

広めの廊下の両側に、二十部屋ほどが並んでいた


これが全部診療室…

どれに入ればいいんだ?


「あら、ラーズ。あなたもエッチしに来たの?」

振り向くと、タルヤがいた


「今は混んでるわ。私が相手をしてあげようか?」


「いやいや、違うよ。教官に定期健診を受けろって言われてさ」


「そうなの? それなら、あの部屋が()()()()()()()()よ」

タルヤが突き当りの部屋を指す


それ以外の部屋は何なの?

診療を受けずにそういうことをする部屋なんですね?


「タルヤも昨日の選別で怪我したの?」


「ううん。私は気持ちよくなりに来ただけ」

そう言って、タルヤはにこっと笑った



ドガァッ!!


突然、大きな音が響く



振り向くと、ギガントとドラゴンタイプが喧嘩になっていた


「てめぇ、順番守れよ!」


「うるせぇ、俺はセックスと殺しは好きな時にやるって決めてるんだ。邪魔するなら殺すぞ?」


背の小さなドラゴンタイプが、ギガントタイプを威嚇している


「まったく…、順番守れば全員の相手をしてくれるのに、何で喧嘩なんかしちゃうのかしらね」

タルヤがため息をつく


「あいつらは?」


「ギガントの方は来たばかりだから知らないけど、ドラゴンの方はジョルジュ。頭のネジが外れた狂犬だから関わらない方がいいわ」


「ジョルジュ…」


ステージ1のシンヤみたいなポジションか?

女の前だから見栄張ってるのか、元から頭がおかしいのか…



ゴッ!



ギガントが拳をドラゴンタイプに叩きつける

ガードしたドラゴンが吹き飛ぶも、背中の触手を張って空中で静止した



ヒュンッ!



そして、テレキネシスで持っていた飲み物の缶を飛ばす


ギガントが缶に気を取られた隙に、ドラゴンが触手に通したテレキネシスで推進力を作り出す

一気に懐に入ってボディをみぞおちに叩きつける



「オラ! オラ! オラァァァ!」



連続で拳を叩きつけるドラゴン

ギガントが口から液体を巻き散らせながら前のめりに倒れた



「…ジョルジュの奴、ドラゴンタイプのくせにテレキネシスが得意なのよね。しかもドラゴンの身体能力があるから厄介なの」


「うん、凄いね」



ドラゴンタイプは、エスパータイプに次ぐサイキック能力、ギガントタイプ次ぐ身体能力がある

うまく二つの能力を使いこなしているな


特に、背中の触手による推進力はいい

脚力以外であれだけの推進力が出せれば、いろいろ応用が効くだろう

空中での静止も使い所は多そうだ



「ぎゃああぁぁぁっ……!」


突然、ジョルジュの悲鳴が響き渡る



俺が顔を向けると、その後ろにセクシーなナース服を着た女性が立っていた

その手には、血まみれのコンバットナイフを握っている


「ジョルジュ? ここの秩序を理由もなく乱すのはダメでしょ?」


「お、お、が…」


ジョルジュは股間を押さえて悶えている


「いうこと聞けないと、このナイフにあなたが犯されることになっちゃうわよ?」



「…え?」

俺は呆けてタルヤを見る


「ああ、ここのナースたちは、男も女も全員元殺し屋なんだって。性欲を滾らせて粗相をしたら、ああやって懲らしめるのよ」


「殺し屋…。でも、変異体の俺達が暴れたらさすがに…」


「ナースに手を上げたら、次は教官が来るだけよ」


「…」


何なのこの施設…

頭おかしい…、いや、暴れる被検体も頭おかしいんだけど


「大丈夫よ。順番を待って普通にしていれば、ちゃんと相手をしてくれるわ」


「あー…」


タルヤは飽きたのか、手をヒラヒラと振って帰って行った


周囲からは、


「なんだよ…、ジョルジュがやられる方に賭けてたのに」


「あの新入りギガント、大したことねーな」


「ナースの乱入は無効じゃね?」


「乱入前に勝負ついてただろ! 順番譲れよな」


「ついでに、ジョルジュも死んじまえばよかったのに」


などという声が聞こえて来る



被検体達は、この環境に順応しているようだ


…俺は流されないようにしないと


自分をしっかり持つ

自分を律する


俺は、怪我以外で診療室を使わないと心に誓った




・・・・・・




一番奥の診療室に行くと、胸をはだけさせたセクシーなナースさんが座っていた

ダークエルフの女性、かなりの巨乳だ


「あら、見ない顔ね。新入りの子かしら? ここは怪我の治療用の診療室なんだけど…」

ナーズさんが俺の体を見る


「いえ、怪我じゃないです。教官から定期健診を受けろって言われまして」


「定期健診…、コード番号を教えて?」


「D03、ラーズです」


ナースさんがデータを確認する


「あぁ…、ええ、分かったわ。そこに座ってくれる?」

ナースさんは納得したのか、頷きながら立ち上がった


採血、血圧、その他簡単な検査を行い、点滴、そして左肩に注射


「ねぇ、ラーズ。あなたはPTSDの疑いがあるってなっているけど、症状はどうなの?」


「今は治まりました。特に問題はありません」


「そう? 私たちにとって、カウンセリングも大切な仕事なの。完成変異体となって体が丈夫になっても、精神は以前と変わらない。だから、ケアは大切よ?」


「いや…、ええ、そうですねー…」


明らかに定期健診とやらは終わっている気がする

現に、ナースさんは今作業をしていない


代わりに、後ろから俺の肩に豊満な胸を乗せている

…これは比喩ではなく、言葉通りに俺の両肩に乗っているのだ


でかすぎないか!?

豊胸手術じゃないかと疑いたくなるが、失礼なことは聞けない


そして、まずい…!


女性の刺激だ

ここに来て初めての、女性からの直接的な刺激


女性の体温と匂い…、クラクラする…


ステージ1では性欲を抑制する食事を取らされていたが、ステージ2では性欲を解禁されたらしい

その効果が顕著過ぎる


この施設で目覚めて以来、記憶にある中で初めて、俺のアレが元気になっている

ギンギンにそそり立つ


そして、俺の理性もだ

凄まじい欲求が俺の頭の中を渦巻いている


触りたい


抱きしめたい


それだけしか考えられなくなる…



「ねぇ…ラーズ…? 私、今日はそっちの担当じゃないんだけど…」

耳元で囁かれるナースさんの声にゾクゾクする


「あ…え…?」


「ラーズが気に入っちゃった。こんな施設で、しかもステージ2に来てまで丁寧な言葉遣いなんて、とーってもセクシーだと思うの…」


「そ…、それは癖で…」


「だからー…ちょっとだけ…、気持ちよくしてあげ…」


ナースさんの手が俺のアレに伸びていく



触って欲しい


本能が吠えている



だが、理性がストップをかける



お前、欲望に流されて戦えるのか?


一度でも溺れたら、二度と戻れないぞ?


帰らなきゃいけない場所があるんじゃないのか?



フィーナの顔が浮かぶ



欲望を発散しちゃダメだ


欲望で妥協しちまう


欲望に逃げてしまう



俺は歯を噛みしめながら、ナースさんの腕を握る


「…え?」


「き…今日はやめて…おきます…。ナースさんもそっちの担当じゃないし」


「…いいの? 凄く辛そうだけど」


俺は、ナースさんの手を持って立ち上がる


「ナースさんの魅力に不満があるわけじゃないんです」


一応フォロー

むしろ、セクシーすぎて毒になっております


「そこまで残念そうな顔してくれるてるから、嫌じゃないわ。シたくなったら、いつでも来てね?」

そう言って、ナースさんは俺から離れた


俺はお礼を言って診療室を出る


フィーナ、俺は勝ったぞ

ちゃんと断った

ちゃんと我慢したんだ


あぁ…、フィーナに会いたい、会いたい、会いたい………



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― 新着の感想 ―
[一言] ヤベェな…そらいきなり性欲が出てきたらそうなるわな。 ラーズはデモトス先生にナイフ?短剣かな?使え方教わってなかったっけ? あと大剣を主に使ってたの忘れてた…
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