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一章~35話 ステージアップ(1→2)

用語説明w

大崩壊:神らしきものの教団や龍神皇国の貴族が引き起こした人為的な大災害。約百万人に上ぼる犠牲者が出た


この施設:ラーズが収容された謎の変異体研究施設、通称「上」。変異体のお肉も出荷しているらしい


ヘルマン:ドラゴンタイプの変異体。魚人のおっさんで元忍者、過去に神らしきものの教団に所属していた


今日は、ステージ1の最後の日

明日からステージ2上がる


選別もない

検査も人体実験も無い


最高だ、安心して過ごせる一日があるなんて!


これ幸いにゆっくりしようと思ったのだが、食事が終わってしまえば個室で寝ること以外にやることが無い

テレビも情報端末も何も与えられていないため、暇を持て余してしまう


仕方がないので運動場に行くと、ヘルマンがいた


「ラーズ、お前も時間を持て余したか?」


「ええ、こんな娯楽も何もない場所だと、やることが無さ過ぎて」


かと言って、選別はごめんだけどな



ヘルマンは、また武術の型をやっている

俺もゆっくりとストレッチを始めた


「研究者の奴らに、ステージ2はステージ1よりも死亡率が高いって言われたんですよ」


「そうらしいな。やっと完成変異体の体が出来上がった。次は、強化兵としての技術を叩き込むってことなのかもしれないな」


「でも、やっと完成変異体ができたのに、訓練で死んじゃったらこの施設としても無駄じゃないですか?」


「死んだとしても、肉として出荷できるから別にいいって考えなんじゃないか」


「この施設、俺達を生かして出す気があるんですかね…」


「ま、どんな訓練でも生き残るしかないさ。今度、特技(スキル)とかを試してみるか? 教えてやるよ」

ヘルマンが言う


ヘルマンは元忍者

忍術と呼ばれる特技(スキル)を使える


「…俺、特技(スキル)は無理なんですよ」



これは、俺の懸念事項だ


Bランク以上が使う闘氣(オーラ)は当たり前だが、俺はCランク以下でも技能として習得できる、魔法と特技(スキル)も使えない


これには理由があり、俺は魔法の源である魔力、特技(スキル)の源である輪力、闘氣(オーラ)の源である闘力を練ることができないからだ


その理由が、魔導法学の三大基本作用力である、

・精神の力、精力(じんりょく)

・霊体の力、霊力

・肉体の力、氣力


…の内、()()()()()()()()()()()()()()()()



よって、魔導法学の三大元応力、

精力(じんりょく)と霊力との合力である、魔法の源である魔力

・霊力と氣力との合力である、特技(スキル)の源である輪力

・氣力と精力(じんりょく)との合力である、闘氣(オーラ)の源である闘力


…は、それぞれ霊力と氣力を使うため、結果として魔法、特技(スキル)闘氣(オーラ)の全てが使えないのだ



だが、仮に霊力や氣力があったとしても、特技(スキル)や魔法の習得は簡単にはできない



「…まぁ、事情は分からないが、ステージ2はあくまで戦闘訓練だろ。魔法も特技(スキル)も、それに闘氣(オーラ)だって才能は必要だから、習得が必須とはならないだろう」

ヘルマンが言う


「…だといいんですけどね」


「もっとも、変異体強化兵として売られた先では分からないがな。基本的に、変異体強化兵を買うということは、ゆくゆくは闘氣(オーラ)を取得させてBランク戦闘員を作らせたいんだろうからな」



Bランク戦闘員とは、闘氣(オーラ)を使う戦闘員のこと


そして、俺達のような完成変異体でも、闘氣(オーラ)が使えなければCランクだ

強化兵であり、常人とは比較にならない身体能力を持っているにも関わらず、だ


どんなに判断力に優れ、どんなに戦い方が凄くても、Bランク以上は闘氣(オーラ)が使えないと話にならない

それほど闘氣(オーラ)とは強力な性能なのだ



「とりあえず、ステージ2を生き残れないと話にならないですね…」


「そうだな。ここを出るなら、肉として出荷されるか、強化兵という商品として出荷されるかしか選択肢がない」


「…売られるのも不安ですよね」


どんな待遇になるのかは分からないが、強制的に戦場に出されるというのも怖い

どんな戦況のどんな戦場に投げ込まれるのかも分からない

それこそ、死ぬまで働かされる可能性もあるのだ


「完成変異体ほどの強化兵だったら、どんな戦場でも活躍できるからな」



ギガントタイプであれば、その巨体と怪力を生かして巨大な銃火器を持ち運んで運用できる

更に、多少の傷を負ってもその治癒力で生き残れる可能性が高い

そのパワーによる機動力も高く、戦場では脅威だ


エスパータイプは、魔法力の運用だ

強力な範囲魔法は戦場で有力な火力であるし、更にサイキックにも特化している

テレパスを使えば、他人の思念を感知して強力なセンサーとして働き、テレキネシスを使えば防御の難しい攻撃を使える

火力としても情報担当としても優秀だ


そしてドラゴンタイプ

背中に一対の触手を生やした人体拡張タイプであり、サイキックを併用することで独力での飛行を可能とする

エスパーに次ぐサイキック能力、ギガントに次ぐ身体能力、強化された五感を持ち、高機動型の斥候として断突の性能を誇る

また、ゲリラ戦での戦いも得意とするオールラウンダータイプだ



寒暖差や飢餓、劣悪な環境でも長時間動活動が可能な強化兵

戦場での需要は高い


問題は、その強化兵になるための訓練がどんなものかってことだけだな


「…ヘルマン、生きて帰りましょうね」


「ああ、もちろんだ」


「息子さんが待ってますからね」


ヘルマンも、仲間を皆殺しにされたと言っていた

息子さんの存在は希望だろう


「…そうだな。早くかえらないとな」



俺達は、今日は早めに運動を切り上げた


明日からステージ2

今日はゆっくり寝る



個室で、ベッドに横になる


やっと、ステージ2か…

俺は帰れるんだろうか


今では、鮮明に思い出せるようになった仲間たちの顔

軍時代の先生の言葉


孤高を愛し、選択の自由を守りなさい


俺は、生きることを選べる

その、心の力を持っている


…俺は、あの小隊から何を貰ったのだろうか


俺には技術がある、知識と経験がある

宝物のような記憶がある

だからこそ、いつまでも燃え尽きない怒りがある


俺の部隊、シグノイア防衛軍第1991小隊…

仲間たちは、俺が生き残っていることに対してどう思っているだろうか?


…よかったと喜んでくれるんだろうな

気のいい奴ばかりだったから分かる


だからこそ、失ったことが許せない

仇を討ちたい


本当の意味での仇、おそらくは神らしきものの教団になるのだろう


いつか、あの教団を潰す

あの大崩壊に関わった者を皆殺しにしてやる


そのために力が必要だ

完成変異体の力は武器になる



「そういえば、ステージ2では女を抱けるって言ってたな…」

クレオの言葉を思い出す


フィーナ…


俺の恋人

大好きな恋人


会いたい

触れたい

抱きしめたい


フィーナに会いたい



セフィ姉にも会いたい

大崩壊への対応に尽力してくれたお礼も言えてない



絶対に、このくそったれな施設を生きて出る

そして、神らしきものの教団を潰す


俺は、記憶の中の仲間たちに、そしてフィーナに、セフィ姉に改めて誓った




変異体・被験体カルテ


氏名 ラーズ・オーティル

人種 竜人

コード D03

タイプ ドラゴン

状態 完成 ←NEW!!

サイキック テレキネシスの兆候? ←NEW!!

得意戦闘 近接格闘術 ←NEW!!

備考 触手の動きを確認 ←NEW!!

一章終了です!

読んでいただきありがとうございます


本作は完結した前作を引き継いだ物語となっていますが、前作を読まなくても分かるように書いたつもりです…

もし! もしも! 前作を読んでなくて意味分かんねーよ!って部分ありましたら、ご指摘頂けると助かります

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[一言] ここで一つ……オーラパネェ‼︎
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