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説話 デスペア

※序章「説話 ですペア」も一読下さい


デスペア


その名の通り、死の(つがい)という意味だ



魔導法学の基礎知識として、魂という概念がある


魂とは、生命の根源的な力

この魂が、肉体と繋がり、霊体と繋がり、精神と繋がる


この魂と繋がるそれぞれの力が、氣力、霊力、精力(じんりょく)であり、この三つの力を魔導法学における三大基本作用力と呼ぶ

つまり、人体は肉体、霊体、精神の三重構造であるということだ



この人体の三重構造は、他の高等生命体においても、肉体、霊体、精神の比率は違えど、ほぼ同じ

つまり、そんな環境であれ、この世の生命体において、肉体と霊体、精神の全てが必須だということだ


この三重構造を備えた生命体は、大小強弱あれど一つの共通点がある

それが、魂の質だ


この世に存在する魂は、ペアにおいての観測可能領域に限った話ではあるが、わずかな例外を除いて全ての魂が同じエネルギー量を持っている


そのエネルギー量とは魂の質量と理解され、これを魂量と呼称している

そして、人類を含む通常の生命体の魂量は、()() ()()()


なぜ、わざわざ 1/2 などと表記するのか

なぜ、1として考えないのか


それは、わずかな観測例がある()()()()()()()()()()()



その例外は、1という魂量を持つ

通常の生命体が持つ 1/2 という魂量の、二倍の魂量を持つ存在


この通常の生命体とは、ある程度の高度な精神を有する存在であり、ゴブリンや、犬猫、人類やケンタウロス、ティラノサウルスやエルダードラゴン、火の精霊や天狗、果ては神と呼ばれる高次元生命体まで、魂量だけを見た場合に違いはない


その力や存在は天と地ほどの違いがあるが、()()()()()()() ()()() で同じなのだ



では、その魂量 1 の存在とは何なのか?


それは、通常の生命体とは一線を画すもの

神と呼ばれるほどの力を持つ存在の中でも、ほんの一握りの存在


移ろわざるものとよばれる、真実を手に入れた者

それは、太陽を始めとする恒星に宿りし魂


魂量1とは、二つの魂が寄り添ったもの、合わさったもの


すなわち、 1/2 + 1/2 = 1

この単純な式を実現したものなのだ


通常の魂が持つ 1/2 という魂量


これは、通常の魂は、必要な魂量を半分しか持たないという意味

他の魂と寄り添う必要があるということ


人類をはじめとする生物が自然淘汰を経て進化してきた理由

それは、環境に順応して子孫を残すため


…そして、他者に寄り添うという高度な精神性を獲得するため



二つの魂が寄り添い、合わさる

すなわち、 1/2 + 1/2 = 1


これの実現に必要なもの

古代から、何度となく人が望み、そして失望し、それでも探し求めたきたもの


金銀財宝、宝飾、他者を踏みつけるという快楽、絶世の美男美女

どんな欲望を満たしたとしても、人が最後に求めてしまうもの


…それは、愛


魂が寄り添うために必要な力

自己の魂と他の魂を結びつけるという、単純な力


神という高等生命体に比べれば、下等生物である人類


しかし、その人類でさえもが持ち得る


1/2 + 1/2 = 1 を成し得る力


それが、愛


この愛は、人類が神という強大な存在さえもを越える可能性を持ち、移ろわざるもの、「ですペア」に至ることを可能とする



ですペアとは、至高のペア


すなわち、 1/2 + 1/2 = 1

魂の融合を経て、恒星に宿る存在と同格に至った存在


その存在はSSSランクと考えられており、恒星に宿る前の存在と呼ばれている星間生命体でさえ、ペアに宿る神の力を大きく超えると言われている



その絶対的な愛を成し遂げた星間生命体は、時にペアに近づいては地上の生命体を観測することがある


その観測の結果、大いなる存在である星間生命体の残滓が対象の生命体に宿ることが有る

それは、その希少な体験を祝して「星の祝福」と呼ばれている




…そして、デスペアとは


真実の愛に至った「ですペア」になり損ねた存在の馴れの果て



真実の愛を得たにもかかわらず、斬り裂かれ、離別させられ、散った存在


死という現象によって、愛という現象が終わった存在



愛とは、魂が纏う精神、霊体、肉体によって、ペアとなった存在を強く欲し、欲され、結び付け合う現象

つまり、魂という存在自体が惹かれ合っているのではないのだ


あくまでも、精神と霊体、肉体の作用によって、引き付け合う生体活動の一つであり、それは、死という現象によって強制終了となることもある



デスペアとは、その死という現象を否定した存在

愛の強制終了を認めず、拒否した存在


そして、愛を維持するために、愛という現象のみに全てのリソースをつぎ込んだ存在



その唯一の愛のために


ペアとの離別を否定するためだけに


世界の全てを否定する存在



愛というたった一つの絆


ペアとの唯一の絆のために



たった一つの絆のためだけに


たった一つの愛のためだけに



己に死を課し、愛を終わらせた世界を呪う


自らの愛を否定した世界との繋がりを捨てたもの


それが、デスペアという存在



死とは、情報の拡散


自己の存在が保てないほどに、全てが霧散していく状態


それは、愛という現象に必要な全てが形を失っていくことを示す



オーブという、外界を遮断する殻


全ての繋がりを断つことで、自身の存在を閉じ込める


すなわち、死を否定して愛を繋ぎとめる



別れるくらいなら


愛が消えてしまうくらいなら


世の理を拒否する



オーブによって死を否定し、魂量を1とする歪な融合を成し遂げる


…それがデスペア



生命体の定義の一つに、代謝があげられる


それは、外界からエネルギーを得るということ

純粋なエネルギーだけでなく、情報も含まれる


世界とつながること、外界から刺激を取り入れということは、生命にとって、脳にとって必要な事なのだ



デスペアとは、その定義を拒否したもの


愛を留めるために、世界との繋がりを絶ったもの


生命の理を否定した歪な存在



しかし、デスペアとは


歪であれど、その愛は本物


その愛は本物の価値を持つ



死を拒絶して世界を遮断


愛という現象を維持するために、歪み、命の理を外れ、愛に縋る



愛を拒絶した世界を否定し続け


移ろわざる歪んだ心と体を引きずり、世界を呪いながら永劫を彷徨う


いつか、本当の「ですペア」に戻ることを夢見て




…それが、()()()()となれなかったもの、()()()()である




星間生命体、星の祝福 四章 ~21話 退院



仕事が休みになったため、今日から終章開始しますw

完結まであと四回です


エピローグ後に、設定資料集、用語説明を投稿して完結処理予定です

また、活動報告に後書きを上げたいと思いますので、お暇なら読んでください

内容は、読者様へ感謝ですw

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