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序章~2話 捜索

用語説明w

魔導法学の三大基本作用力:精神の力である精力(じんりょく)、肉体の氣脈の力である氣力、霊体の力である霊力のこと


ペア:惑星ウルと惑星ギアが作る二連星

ウル:ギアと二連星をつくっている惑星

ギア:ウルと二連星をつくっている相方の惑星


フィーナ:ラーズの二歳下の恋人。龍神皇国騎士団にBランク騎士として就職している。

セフィリア:龍神皇国騎士団の団長心得。B+の戦闘力を持つ。ラーズの遠い親戚で、五歳年上の憧れの竜人女性


太陽系第三惑星


この惑星は、便()()()()()()()()()()()()


便宜上と言われるだけあり、ただの惑星ではない

このペアは二つの惑星が、互いの重力で釣り合いながら周囲を回る二連星なのだ


この二つの惑星は、それぞれウルとギアと呼ばれている


ウルは魔導法学を基本とする魔法文明発祥の星、ギアは科学を基本とする物質文明発祥の星だ

だが、現在のペアは互いの技術、知識、人種、文化が融合しており、魔導法学と科学が融合した文明となっている




ここはウルにある大国、龍神皇国


一年前、隣国シグノイアとハカルの二国を巻き込む大災害が起こった

二つの国は、実質的に国としての機能を喪失

この大災害は「大崩壊」と呼ばれている


この大崩壊は、()()()()()()()()()というカルト教団が龍神皇国のある貴族を巻き込んで起こしたものだ


多くの犠牲を出した戦争の後、この貴族は処刑された


百万人近くが犠牲となったこの大崩壊から生存者を救うため、龍神皇国は人道的支援と治安維持を行った

結果的に、現在の龍神皇国は大崩壊に巻き込まれた二つの国を組み入れることとなり、より巨大な国家となっている



そんな大国の片隅を、二人の女性騎士が歩いていた


「まだ見つからないんだね…」


「ええ…、今回も発見できなかったわ。でも心配しないで? ウルとギアのどこにいても絶対に探し出すから」


二人の女性騎士が話している


一人は、金髪、青い目の竜人

真紅の甲冑に純白の双剣を持った騎士だ

名をセフィリアという

龍神王の血を引き、更に仙人として人体強化術の修行を終えた最強の騎士の一人だ


もう一人は、黒髪、赤い目のノーマン

羽衣型の宝貝(パオペイ)という氣力を使う武器、そして高位の魔法を使う大魔導師であり、名をフィーナという

かつてはクレハナという国の王位継承権を持つ姫でもあったが、現在は地位を捨てて騎士団に就職している


…二人が探しているもの、それは行方不明になった人間だ


大崩壊に巻き込まれた国、シグノイア

この国の防衛軍の一般兵だった男だ


大災害の最中に行方不明となり、未だに発見できていない

行方不明になって、もう一年が過ぎている



世間では、ようやく大崩壊後の混乱が治まって来ている

復興の目処が立ち、まもなく復興一周年の式典が行われる予定だ


だが、二人の表情は暗い



「…やっぱりラーズの変異体因子が原因なのかな?」


「そうとしか考えられないわ」



そう話しながら、二人は戦闘体制を取った



「グゥルルルルル…」



二人の目の前には巨大なモンスターが威嚇するように唸っている

ライオン、山羊、蛇の頭を持つモンスター、キマイラだ


キマイラはBランクのモンスターである



生物とは魂を持つ

そして、魂を中心に、肉体、霊体、精神の三重構造となっている


魔導法学では、この肉体、霊体、精神と魂を結びつける力を三大基本作用力と呼んでいる


それぞれ、

・精神と魂を結びつける力「精力(じんりょく)

・肉体と魂を結びつける氣脈の力「氣力」

・霊体と魂を結びつける力「霊力」

と呼ぶ


この三大基本作用力は、互いに合力を成す

この合力を、魔導法学の三大元応力と呼ぶ


それぞれ、魔力、輪力、闘力と呼び

・魔力とは、精力(じんりょく)と霊力の合力で魔法の源の力

・輪力とは、霊力と氣力の合力で特技(スキル)の源の力

・闘力とは、氣力と精力(じんりょく)の合力で闘氣(オーラ)の源の力

である



挿絵(By みてみん)



そして、Bランクモンスターとは、この三大元応力、特に闘氣(オーラ)を使わないと倒せない強力なモンスターのことなのだ



二人はキマイラを警戒しながらも話し続けている


「…まさか、ラーズに変異体因子が覚醒していたなんて思わなかったわ」

セフィリアが言う


「うん、私もびっくりしたの。戦場での恐怖やストレスが、因子が覚醒した原因じゃないかってエマは言っていたけど…」


「変異体因子の活性化は、個人差が激しすぎるから何とも言えないわね」


「ラーズ、大丈夫かな…」

フィーナが心配そうにつぶやく


「…変異体因子の覚醒者は貴重だもの。どこかの研究施設に確保された可能性は高いわ」



セフィリアが純白の双剣を構えて前に出る



「グオォォォォッ!」

「キョエェェェェッ!!」


ライオンの上半身が牙と爪で襲い掛かる

同時に、山羊の首が爆破魔法を展開


セフィリアが耐魔力魔法を展開しながら踏み込む


キマイラがライオンの巨大な前足の爪を振り下ろす

セフィリアは、それを双剣を交差して受け止めた



ズパァァッッ!


「グオォォォォッ!」



通常は体重差と威力で人間など潰れて終わりだが、セフィリアは双剣をハサミのように挟み斬って切断


直後に真横に跳んで爆破魔法の中心から外れる



ゴッガァァァァァン!



着地した場所に土属性土壁の魔法を展開

土壁と魔法防御で爆破魔法を軽減


同時に、尻尾の毒蛇の攻撃を躱しながら斬りつける


「セフィ姉、撃つよ!」


その間に、後ろで詠唱を行っていたフィーナが魔法を発動した


火属性と冷属性魔法の複合オリジナル魔法、粉砕消滅魔法だ

極小の温度差を交互に与えることによって対象を極小単位で粉砕し、あたかも()()()()()()()()()()()魔法だ


伝説のあの魔法を、フィーナなりに研究して再現したのだ



シュオォォォォ…!


「…っ!!」



キマイラの腹が静かに消失、内臓と体液が零れ落ちる

キマイラは声も出さずに静かに倒れた



二人はBランクの騎士だ

Bランクの戦闘員とは、闘氣(オーラ)を使えることが絶対条件となる


Cランクは戦車の戦闘力と同程度と定義されるが、Bランクは戦車をいくら集めても勝てない

Bランク以上は、同じ闘氣(オーラ)を使うBランクでないと()()()()()()()()()


一般兵であるCランク以下と、闘氣(オーラ)を使うBランク以上は、それだけ戦闘力に差がある

そして、Bランクモンスターとは、Bランク戦闘員が戦うことが前提の強力なモンスターという意味なのだ



「…キマイラの討伐は終わったわ。あとは一般兵で対処できるわね? 戦車一台と範囲魔法(中)の使い手…、それだけいれば、後はDランクモンスターだけだから充分よ」

セフィリアが無線で本隊と連絡を取る


「一般兵って聞くと、ラーズを思い出しちゃうな」

フィーナが言う


「ええ、そうね…。早く見つけてあげなきゃね」



ラーズもCランクの一般兵だった

行方不明になる直前、変異体因子の暴走により体が変異を起こしていた


二人が心配するのも無理のない状況だったのだ



「大崩壊の時、イグドラシルのヴァルキュリアが目撃されているわ。もしかしたら手がかりが…」


「え!? イグドラシルって異世界の? そういえば、ラーズがヴァルキュリアに会ったって言ってた!」


「…でも、ヴァルキュリアは生者に干渉しないはず。それに、連れていくのは魂のみで、体は残るはずなのよ」


「そっか…。でも、遺体が発見されてないってことは、生きてるってことだもんね」


「ええ、生きているに決まってるわ」


二人の美女は、ラーズが生きていることを疑っておらず、また捜索の相談を始めたのだった




この世界で、一年前に起こった「大崩壊」

その爪痕は凄まじく、まだ復興は完全には終わっていない、そんな情勢の世界観です





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