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七章 ~24話 戦場3・拮抗

用語説明w

データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AIで倉デバイスやドローンを制御。メイドソフトがインストールされ、主人の思考の把握が得意となった。戦闘用端末である外部稼働ユニットのデータ2と並行稼働している

リィ:霊属性である東洋型ドラゴンの式神。空中浮遊と霊体化、そして巻物の魔法を発動することが可能


魔法使いの魔人の残存部隊を掃討


戦っている間に、無線で次々と情報が入って来る



まず、ヤマト達、龍神皇国の治安維持部隊が東側の領境で善戦している

俺達の東方、ドミオール院のあるエリアはウルラ軍とブルトニア家の部隊が

そして、マサカドが向かってきている俺達のエリアにはナオエ家が向かっている


「ナオエ家って、大丈夫なのかな?」

コウが心配そうに言う


「さすがに大丈夫だろ、ここには漆黒の戦姫も向かっているみたいだし」

ルイが答える


マサカドはB+ランク

マサカド自身が仙人としての人体強化を終えており、更に闘氣(オーラ)を身につけている戦闘員だ


俺達Cランク以下の一般兵はもちろんだが、普通のBランク戦闘員でも勝つ事は難しい

そのため、同じくB+ランクであるフィーナが向かっているのだ


俺達の任務は、フィーナ達の部隊が到着するまでの足止めだ



「思ったより掃討に時間がかかった。先に進もう」


ここでは、ナウカの魔人を三体撃破することが出来た

戦果としては大きいが、反面、ウルラ軍の被害もかなり大きい


そして、俺達の新たな任務は危険度が高い

フィーナの到着まで、囮となってマサカドの侵攻を止めろと言うことだろう


「また、あの化け物と戦わなきゃいけないのか…」

コウが弱気に言う


「いや、コウは俺に防御魔法だけかけてくれればいい。マサカドと出会ったら身を隠して離れろ。無理して戦ったところで無駄死にになるだけだからな。ルイも絶対に姿を見せるな、狙撃をしたらすぐに位置を移動しろ」


「え、ラーズはどうするんだ?」


「俺には武の呼吸という技能、そして、高速立体機動がある。出来るだけ足止めをしてみるさ。…俺が死んだら迷わず撤退してくれ」


「…」「…」

コウとルイが俺を見る


これは、コウとルイが弱いから言っているのではない

単に、マサカド相手に生かせる技術を持っていないからだ


この二人はマキ組の忍び、信頼できる腕を持っている

ウルラのためにも無駄死にさせるわけにはいかない



俺達は、無線の指示通りに戦場を進む


どうやら、マサカド達は一直線に領境を越えるのではなく、付近のウルラ軍を攻撃しているようだ


「これは…」


装甲戦車やMEBが切り裂かれている

機械だけでなく、生身の人間も例外ではない


首、腕、胴体…

マサカドが使う、あの跳ぶ斬撃で切り裂かれた人体の一部がいたるところに落ちている


更に、爆発や魔法と思われる痕跡もある

マサカドの部隊自体も火力がありそうだ


大きな犠牲を払ってこのエリアを取ったと思ったが、その先のエリアは圧倒的な火力でナウカに取られていた


Bランク以上の戦闘員と、Cランク以下の一般兵が混在する戦場

巡り合わせと運によって、生存率が大きく変わる


たまたまマサカドの部隊と当たれば、死の確率が一気に振り切れるのだ



「正面から戦うのは俺達の仕事じゃない。俺達は忍びとしての戦いをしよう」


「具体的には?」

コウが俺を見る


「ゲリラ戦だ。部隊を削って行く」


マサカドがウルラの戦力を削る気なら、俺達はマサカドの部隊を削る

それは、斥候である俺達の仕事だ



しばらく進むと、大人数が進んだ痕跡を発見した

MEBの足跡もある


その先に、その部隊の末端を発見


「…行くぞ」


「了解」



ボシューーー!

ドッゴォォォォォン!



お決まりのロケットランチャー

MEBを破壊する


俺は木の幹に身を隠しながら、銃化した左腕でアサルトライフルを撃ちこんでいく

ゲリラ戦では、両手を使う陸戦銃よりも右手が自由に使えて便利だ



ドン!

ドドドン!



仕留めては姿を隠す


自己生成爆弾のノームを転がしてMEBの足を破壊


幹を使った三角蹴りから、錘を振り回してアサルトライフルで止め



「ラーズ、その先の魔導士に蜃気楼魔法がかかっている。狙撃は無理だ」

ルイからの無線


ルイは魔導士を優先して狙ってくれていた


「分かった、俺がやる」



固まった敵兵にリィの雷属性範囲魔法(小)×2


そして、銃化した左腕で弾幕を張る



ボシューーーッ!


敵MEBがミサイルを発射する



俺が迎撃しようとすると、潜んでいたコウが遁術を発動した


火遁熱源デコイの術、火の玉がコウの手から発射され、ミサイルの方向が逸れる

俺はこの隙にハンドグレネードを歩兵に投げつける


そして、エアジェットでまた姿を隠す



ダァーーーーン!


ルイの狙撃がMEBの顔面を撃ち抜く

MEBの目を潰した


俺はすかさずハンドグレネードをMEBの腹部に投げつける



次は、その奥にいる魔導士を狙う


奴は杖をこっちに向けていた

俺は引き寄せの魔法弾を真横の幹に当てる


「…っ!!」

「…!」


奴の魔法発動とほぼ同時に、俺は引き寄せ効果で引き寄せられる


予想外の動きに、奴は俺の姿を見失った

きょろきょろと周囲を見渡す


俺はエアジェットで一気に飛び込む

ここまで近づけば、蜃気楼魔法の効果はほぼない



「きゃっ!?」


慌てて杖を捨ててハンドガンを抜く魔導士

フードで分からなかったが女だ



一瞬、両足で急ブレーキをかけて左に逸れる


銃化した左腕での射撃


防御魔法を警戒して追撃の流星錘!



ゴシャッ…!


予想通り防御魔法に銃弾が止められた

だが、その直後に錘が魔導士の頭部にめり込んだ



「うおぉぉぉっ!」


「ちっ…!」



横から、ナウカ兵が跳びかかって来た


アサルトライフルを持ち、その姿は牙が伸び、口が裂け、筋肉が盛り上がり手足が発達している

これは獣化能力か!



ドガガガッ!



素早い動きで狙いを絞らせず、俺に銃弾を撃ち込んでくる


俺も高速移動に応じ、お互いに猛スピードの中で隙を伺う

俺は銃を撃ちながら、紐を伸ばした錘を大きく振り回す


高速移動中は、動いている物が避け辛い

大振りの錘など普通は当たらないのだが、高速移動をしていると移動物体が避けられず被弾が増える



「なっ…!?」


獣化した兵士は、錘自体は躱したが、紐が体に巻き付いた



一瞬でも動きを止めればこっちのものだ

紐を引きながら俺も前に出る


銃化した左腕を向けて仕留める…



ドガァッ!


「ぐっ…!?」



獣化した兵士が最後の賭けに出た

流星錘アームの紐が巻き付いたまま、跳躍して俺に渾身の跳び蹴りを放ったのだ



右腕でガードするも、勢いが乗っていて体が仰け反る


咄嗟に左腕で男の足の裾を掴んで左回転


思いっきり地面に叩きつける



ゴガッ!


「がっ…!!」



足を掴んだ背負い投げで、頭を強打

俺は、昏倒している兵士の頭に銃化した左腕の銃口を向ける



ドォン!



…そして、この戦いに終止符を打った



「ラ、ラーズ!」


その時、コウからの緊迫した無線が入る


「どうした!?」


「き、来た!」


「何が!?」


「マ、マサカドだ!」




…ゾクリ……!


「…っ!?」




その言葉と同時に、俺はまたあの殺気を感じた

コウの言葉を肯定する、このプレッシャー


強化人間であるB+

鬼憑きの術を使う、魔人の頂点


名もなき鬼神を宿したマサカドの厄介な特性、精神属性の魔力の放出

周囲の人間や感情を持つ生物に対し、恐怖や畏怖を強制的に与えるという特性だ



相変わらず怖い

だが、俺のやることは変わらない


俺はもう、この恐怖を知っている


今度こそ、俺は動けるはずだ



「…コウ、ルイ、撤退の準備をしろ。俺はこれから時間稼ぎに集中する」


俺は意識を集中してトリガーを発動、マサカドの方向へと足を進めた




マサカドの特性 六章 ~39 発掘作戦4

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― 新着の感想 ―
[一言] さぁついにこの全面戦争での山場が一つ来たぞ‼︎
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