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七章 ~22話 戦場1・複数の魔人

用語説明w

ナノマシン集積統合システム2.0:人体内でナノマシン群を運用・活用するシステム。治癒力の向上、身体能力の強化が可能

装具メメント・モリ:手甲型の装具で、手刀型のナイフ、指先に鉤爪、硬質のナックルと前腕の装甲が特徴。自在に物質化が可能

サードハンド:手を離した武器を、一つだけ落とさずに自分の体の側に保持して瞬時に持ち替えることができる補助型のテレキネシス。大型武器の補助動力としても使用


自己生成爆弾:宇宙技術を使った四種類の爆弾の超小規模生産工場。材料とエネルギーを確保できれば、使用後に勝手に新しい爆弾を生成してくれる

ウンディーネ…粘着性のあるゲル状爆弾

サラマンダー…液体型焼夷弾

ジン…蜂のような羽根で跳ぶ小型ミサイル

ノーム…転がることである程度の追尾性を持つ球形手榴弾


ジョゼとヤエは別行動となった


戦闘員であるマキ組長と俺、コウ、ルイは戦場へと向かう



俺達が参加する戦場は、ドミオール院よりも西側の領境


既に魔人と思われる敵戦力を複数確認している激戦区

そして、ウルラ軍が押し込まれているエリアだ


「マキ組、参戦します!」


「おおっ、頼んだぞ!」


「戦況は?」


「魔人三体を確認。こちらも必死に戦っているのだが、だんだんと押し込まれている」


マキ組長が地図を見る


「ラーズ、ルイ、コウはこの東側の魔人を。私は押し込んできている西側の魔人を狙います」


「ひ、一人でですか!?」


「あまり時間をかけていると、このエリアから撤退させられることになります。急ぎますよ」


俺達は、すぐに戦場に飛び出していった




データが飛ばしたドローンで高度から状況を確認



ドッカァァァァン!


ボボォォォーーーー!



砲弾や範囲魔法が飛び交っている




「ルイ?」


「配置についた、狙える」


「オッケー、俺は右から行く。…狙撃を始めてくれ」


「分かった」


「コウ、俺が先に出るからランチャーでの援護を」


「了解!」



俺がホバーブーツで姿を見せる

これはわざと、理由は陽動だからだ


目の前の敵部隊が俺の方に銃口を向ける


()()()

なぜなら、ルイが配置済だからだ



ダァーーン!


ダァーーーン!



響く銃声、倒れる敵兵

足並みが崩れた



ボシューーーー


コウのロケットランチャーが敵部隊に吸い込まれていく



ドッカァァァァン!



吹き飛ぶ部隊に俺が到着、モ魔で読み込んでいた竜巻魔法を発動



ブォォォォッ!


「ぐわぁぁぁぁっ!!」



二人ほどが竜巻に巻き込まれるが、これの目的はダメージではない

目くらましだ


ドガガガッ!


サードハンドで準備していた陸戦銃で敵を安全に掃討するためだ



「このエリアはクリア、進むぞ!」


「了解!」



俺達は更に進む


「ご主人! 魔人の目撃エリアだよ!」


「分かった」


データの言葉に俺達は周囲を警戒する



ドッゴォォォォォン!


爆発音、北西方向だ



ウルラ軍の戦車や部隊が破壊されている

このエリアではかなり仲間がやられたようだ


俺は倒れていたウルラ軍の兵士に近づく


「おい、大丈夫か!?」


「お…、援軍か…ありがたい…」


ウルラ軍の兵士は、銃弾を受けており重傷だ

出血量が酷い、…もう助からないだろう


「敵は?」


「モンスター使いの鬼憑きだ…。モンスターのキラービーを複数使役している、気を付けろ…」


「分かった。…止めは必要か?」


俺は、苦しそうに情報を伝える兵士に尋ねる


笑いながら頷く男

俺は陸戦銃を向けて、一度だけ引き金を引いた


…戦場の一端、戦場の日常

全面戦争は始まったばかり


俺は切り替えて前を向く



敵はどうやら、フェロモンのようなものを使ってモンスターを引き寄せて使役する魔人らしい

次から次にキラービーを呼び寄せるので、魔人を仕留めない限りきりがないようだ


「行くぞ!」


発見した敵部隊にへと進行

キラービーも飛んでいる


土属性土壁の魔石を使って弾避けを作っていく



ブーーーン!

ブーーーーーーン!


上空からキラービーが向かってくる



「ルイ」


「任せろ」



ダァーーーン!

ダーーーーン!



狙撃で的確にキラービーを撃ち抜くルイ

さすがだな


「コウ、土壁を使って進行、弾幕を張れ」


「分かった!」


「リィ、巻物の準備をしておけ、突っ込むぞ」


「ヒャン!」



ホバーブーツで高速移動

魔人の手前にいる部隊を強襲する



コウのロケットランチャーの援護


その隙に自己生成爆弾ノームを転がす



ドッガァァァァン!


爆発するこ頃には、俺はすでに敵のバリケードを越えている



ナノマシンシステム2.0で腕力を強化

陸戦銃を片手で持ちながら、近くの兵士に流星錘を叩きつける


制圧完了



次は魔人と周辺の部隊だ

こちらに気が付いた魔人の部隊がこちらに向かってくる


「ザザッ…こちらウルラ軍第245小隊だ! マキ組だな!?」

インカムから無線通信


「そうだ、これより魔人部隊を強襲する」


「了解、合わせる!」



押されていた友軍が、一気に弾幕を張る


空中のキラービーたちが反応


ルイが一匹一匹を狙撃していく




「コウ、着いて来い!」


「わ、分かった!」


コウが作って行く土壁に隠れながら、ノームとジンを発射

友軍の射線と被らない方向から、ロケットランチャーを撃ちこむ


コウが防御魔法を纏った状態で前に出る

そして、リスクを負って敵部隊に近い場所に土壁を一つ作ることに成功



「コウ、よくやった!」


俺はその土壁に突っ込み、範囲魔法を発動だ


「リィ、ぶっ放せ!」


「ヒャーーーン!」


リィは巻物を二つ読み込むことでダブルマジックを使うことが出来る

今回は火属性と雷属性の範囲魔法(小)を二か所に発動



ボボォォーーーッ

バチバチバチーーー!


「ぎゃあぁぁぁぁっ!」



敵部隊が崩れた!

俺はホバーブーツで突っ込む



だが、そんな俺の横を敵のロケット弾が通り過ぎた


ん?




ドッガァァァァン!


データのアバターが後ろを確認すると、コウが逃げ込んだ土壁の辺りに着弾していた



コ、コウ!?

…大丈夫だよな?


いや、信じるしかない



陸戦銃をサードハンドで浮かして、銃化した左腕で敵兵士の頭を撃ち抜く

流星錘を振るい、装具の爪と手刀で切り裂いていく



…いた


あいつが魔人だ



杖を持ち、霊的な何かを宿した存在

その上空をキラービーが回っている



フィーーン!


一匹のキラービーが、急降下



陸戦銃を構え、散弾を撃ち込む

同時に、魔人に向けてアサルトライフルを掃射


魔人が目の前に巨大な土壁を作る



ドヒュッ ドヒュッ ドヒュッ!


そして、魔人が魔力を物質化した硬質の塊を飛ばしてくる



こいつは土属性使いか

俺は左腕の携帯用小型杖を振るって力学属性引き寄せの魔法弾を土壁の上端に当てる


引き寄せ効果で一気に飛び上がり、飛行能力を真下へ


壁を越えた瞬間に魔人を補足、接近戦を挑む


銃化した左腕での射撃から、装具メメント・モリの手刀



フェロモンを発散してキラービーを呼んでいた魔人

俺は強襲で隙を突き、胸をザックリと切り裂いた


だが、銃弾は防御魔法で止められたため、魔人が逃げ出す



フィーーーン!


また真上からキラービーが二匹襲ってくる



「くそっ…!」


追撃を諦めてキラービーの対処



俺も飛び上がり、すれ違いざまに銃弾を浴びせる

すぐに引き寄せの魔法弾を撃ち、魔人を追う


魔人が逃げた方向には、ウルラの破壊された戦闘車両があった



「ひっ…ひいぃぃぃっ!?」


生き残っていたウルラの兵士が、魔人の接近に恐怖して尻餅をついて悲鳴を上げる



魔人は一瞬迷ったようだが、俺から距離を取ることを優先したようだ

ウルラの兵士の脇を通り過ぎて、壊れた車両の後ろに逃げ込む


また、キラービーを呼ぶための時間稼ぎか?

させるか…!



「…何っ!?」


その時、予想外のことが起きた

尻餅をついていたウルラの兵士が俊敏に起きあがり、魔人の背中に迫ったのだ



ザシュッ…!


後ろから飛びついて喉を一閃

首の横にもう一度ナイフをぶっ刺す



「…ラーズ、来てくれて助かった。キラービーをどんどん呼ばれて手が出せなかったんだ」


「ゲイル!?」



それは、フウマの里に所属する忍び、ゲイルだった

負傷した兵士のフリをして油断を誘い、後ろから跳びかかったのだ


まさにだまし討ちの専門、忍者らしい戦い方だ



「本部から一斉する! このエリアの魔人を二体殲滅、連合軍が撤退を始めた。これより追撃に移る、負傷者の位置を報告されたし!」

無線で指令が流れる



「あっ!?」


俺は慌てて後ろを振り返り、コウの元に向う

コウは、ロケットランチャーで吹き飛んだ土壁の側で倒れていた


「おい、コウ! 大丈夫か!?」


「あ…、ラーズ…?」


ほっ…、生きている!


「怪我はないか?」


「俺、どうなってる?」


「大丈夫だ、生きてるよ」


「そっか…、良かった」


「ああ、運はいい。絶対に生きて帰るぞ」



俺とコウはルイと合流し、次の戦場へと向かう準備を始めた



ゲイル 七章 ~17話 マキ組長の真意

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