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六章 ~37話 発掘作戦2

用語説明w

大崩壊:神らしきものの教団や龍神皇国の貴族が引き起こした人為的な大災害。約百万人に上ぼる犠牲者が出た

神らしきものの教団:現在の世界は神らしきものに滅ぼされるべきとの教義を持つカルト教団。テロ活動や人体実験など、世界各地で暗躍


真・大剣1991:ジェットの推進力、超震動装置の切れ味、パイルバンカー機構、ドラゴンキラー特性を持つ大剣、更に蒼い強化紋章で硬度を高められる


マキ組長:フウマの里マキ組の上忍、ノーマンの女性。二丁鎌を使う忍びで、武の呼吸を身につけている


「…」

「…」


風の道化師と対峙する

向こうも、俺を見て一瞬驚いた顔をした



風の道化師


神らしきものの教団のBランク戦闘員であり、あの大崩壊のためにシグノイアやハカルで暗躍していた

そのため、俺と何度か接触、戦闘にもなっている


大崩壊の最中に発動した極大力学属性魔法の最中に行方不明になったのだが、まさか生きているとは…


ちなみに極大力学属性魔法とは、あらかじめマーキングしていた小惑星を引き寄せる魔法

つまり、意図的に隕石(メテオ)を起こす、超魔法兵器だ



「道化竜ラーズ。まさか、こんなところで会うなんてね。…あっ、もしかして、トリッガードラゴンってあなたのこと?」


「……そうかもな。お前、何でこんなところにいて、何で俺達を攻撃してくるんだ?」


「真実の眼の遺跡の発掘結果が知りたいだけよ。発掘隊を置いて帰りなさい、そうすればこれ以上攻撃はしないわ」


「そうは行かない。お前の方こそ、龍神皇国の騎士団に楯突く気か? こっちは騎士に同行してもらって、ウルラ領の許可も正式にとっている。ウルラ領とも敵対することになるぞ」


「仕方ないじゃない、命令なんだから。ここもどうせ壁画があるだけなんだから、確認だけしてさっさと帰らせてもらうわよ」


「…何だと?」


ここも壁画だけ?

神らしきものの教団は、真実の眼について何かの情報を持っているのか?



風の道化師が闘氣(オーラ)を纏い、魔力を練り始める


Bランク相手に銃は効かない

俺は倉デバイスに陸戦銃をしまって1991を取り出す


「ラーズ、知り合いですか?」

マキ組長が小声で聞いてくる


「神らしきものの教団の戦闘員です。大鎌と手甲の爪を使った近接攻撃、風属性の攻撃魔法を使います。それと、直線の音速移動によってソニックブームを引き起こす技を持っています」


「ソニックブーム…」


二丁鎌を構えたマキ組長と、1991を構えた俺

それを見て、風の道化師が怪訝な顔をする


「…まさか、Cランク以下が私に挑むって言うの? てっきり、皇国の騎士が相手だと思っていたんだけど」


()()()()吹き飛ばす。次は、止めを刺してやる」


「…まぐれで私に勝ったくらいで、何回も通じると思わない方がいいわね!」

プライドを傷つけられた風の道化師が、目を見開いた


そう、こいつは俺が勝つことが出来た数少ないBランク戦闘員だ


挑発のネタは多いほどいい

冷静さを欠いてくれればラッキーだ



ブオォォォォッ!


小さい竜巻が七つ発生、俺達の方向に蛇行しながら進んでくる

風属性の投射魔法だ



ボッ!


ホバーブーツのエアジェットで竜巻を掻い潜る



近接戦闘距離から、銃化した左腕の射撃


ドガガガッ!



風の道化師が、被弾しながらも体を捻って大鎌の斬り



ビュオォッ!!


「…!!」



避けるも、その鎌は風を纏っており、鎌からの突風で体勢が崩れる

風属性の付加魔法だ



そこに爪の追撃

俺は体が倒れるのに任せて左手を地面に付き、その勢いで右のハイキック



ゴッ!


身体を捻って離脱する



カポエイラのような変則蹴り

最近は、変異体の身体能力を生かした、アクロバティックな身体操法を扱えるようになってきた気がする



「ちっ…」


舌打ちをして、鎌を振るう風の道化師



そこに、後ろから一回転しての超フルスイングされたマキ組長の鎌が強襲

風の道化師の側頭部に直撃する


「なっ…!?」


その威力に、風の道化師の体が浮く



ボッ!



俺はその隙を突くべく一気に飛び込む

1991を構えてのジェット突き



ゴゥッ! ズガァッ!!



意図的に上に角度を付けたため、また風の道化師の体が浮く

その飛んだ方向にマキ組長が待ち構えていた



なっ、早すぎるだろ!

どうやって移動してるんだ!?

…マキ組長の遁術?


脇に超貫通砲を挟んで構え、その銃尻を地面に支える



……ッゴォォォォン!


「ぎゃぁぁっ!!」



貫通砲が、背面から風の道化師を貫く

やっぱり、あの威力はスゲーな!


風の道化師は俺の攻撃で前面に意識が行っていたため、背面の防御が薄くなっていたのだ


闘氣(オーラ)は、精力(じんりょく)と氣力の合力である闘力によって作り出される現象だ


精神の力である精力(じんりょく)が作用する分、意識が向いたところに力が行くという性質があり、逆に意識が行っていない場所は闘氣(オーラ)が薄くなりやすい


そこを突くことがCランク以下によるBランク狩り、対闘氣(オーラ)戦闘の基本となる



「ぐっ…、調子に乗るな、一般兵風情がぁ!」


風の道化師は、貫通した傷にカプセルワームを貼り付けるとすぐに襲って来た


こいつ、華奢な女の割にすげータフなんだよな!

大崩壊の時は、下半身が千切れたのに生きていやがった



「…あなた、強化人間ですね?」


「遺伝子工学と人工細胞導入、脳手術による治癒力と生命力に特化した強化手術を受けているわ。よく、強化人間と分かったわね」


切結びながら、マキ組長と風の道化師が言葉を交わす


えぇっ!?

あいつ、強化人間なの!

それなら、あの異常なタフさは納得だよ!


…Bランクだからって、あのタフさは確かに不自然だ


思い込みって怖いな

何でもかんでも、Bランクだから…で、理由付けしてしまっていた



俺は、1991に精力(じんりょく)を溜め、同時に絆の腕輪でフォウルとリィに待機を指示する

隙があれば、フル機構攻撃とサンダーブレス、リィのダブルマジックをぶち込んでやる



風の道化師が重心を下げる

突然、風が集まり始めた


「マキ組長、音速の突進です! ソニックブームが発生するから気を付けて!」


マキ組長が小さく頷き、風の道化師が俺を睨む

苦労して攻略した分、事前情報はしっかり伝えさせてもらうぜ



風の道化師が、斬り合いの中で術を発動…



ドッパァァァァァァン!



風が弾ける音が響く

あの衝撃で、俺は何度も吹き飛ばされたのだ


だが、マキ組長はきれいに避けていた

何事もなかったかのように、高速で通り過ぎた風の道化師を振り返る


え?

どうやって無傷で避けたの?



「…大道芸ですね。溜めないと発動しない遁術なんて、私にもラーズにも当たりませんよ?」


「なっ…!?」

無傷のマキ組長を見て、風の道化師が驚愕している



え…、俺は避けれられる自信ないんですけど?

そして、あの技って遁術なの!?


「くそっ!」


風の道化師が、風属性魔法の発動を開始した



「ラーズ」

それを見て、マキ組長が空を顎で指す


「あ…」


俺は、フォウルとリィに絆の腕輪で指示をする


やっちまえ!



バチバチバチーーーーーーーッ


ボボォォォッ!

ドガァッ!



「なっ…!?」


フォウルのサンダーブレスと、リィのダブルマジック、火属性と土属性の範囲魔法(小)が上空から風の道化師を襲う



不意を突かれて直撃した風の道化師に、マキ組長がまた接近



…ッゴォォォォン!


「かっはっ…!」



超貫通砲が直撃

今後は闘氣(オーラ)で防がれたが、衝撃で体が浮く


やはり、闘氣(オーラ)の固さは驚異だ

意識を誘導して闘氣(オーラ)を薄くさせないと、ダメージが通らない


それだけでなく、華奢な見た目に反して風の道化師は防御力が高い

回復力もあり、異常なタフさだ


サンダーブレスの直撃さえも耐えやがるって、おかしいだろ!?


そして、風属性を使った機動力

徹底して、死ににくいということに特化している



だが、風の道化師を驚愕させることには成功した


「…投降しなさい。こちらには、まだ本職の皇国騎士が控えています。今更逃がさないし勝つ事も不可能です」

マキ組長は冷静に言う


あの風の道化師を完封


俺とマキ組長のペア

武の呼吸を持つ二人が組むと、ここまでの戦闘ができるのか


俺も強くなったという自負があるが、それでもマキ組長には勝てる気がしない

俺は、風の道化師に対してあんな戦い方ができない



「くっ…、まさか…、そんな…」

この結果に、風の道化師はまだ現実を受け入れられていないようだ


それはそうだろう


闘氣(オーラ)とは、戦車の砲撃を耐えられる防御力、鉄を引きちぎる膂力、信じられない速度で走る走力を身体に与える


更に、手に持った武器に闘氣(オーラ)を纏わせることで超硬度を実現、攻撃力も防御力も格段に引き上げるのだ


要は、闘氣(オーラ)を身につけるということは超人になるということと同義だ

実際に、風の道化師の強化手術による生命力は凄いが、目が行くのは闘氣(オーラ)による身体能力と防御力の方だ


俺とマキ組長の二人がかりで攻めているが、まともに攻撃が通ったのは背後からの超貫通砲とサンダーブレスだけ


風の道化師のタフさと闘氣(オーラ)の防御力

そして、それに対応して見せるマキ組長


…どちらの底も見えなくて怖い



「ラーーーズ!」


「は?」


突然、インカムからミィが叫び声が聞こえた


「ど、どうした!?」


「て、敵が…!」


「敵!? 教団の増援か!?」


「ち、違う!」


「え?」


「ナ、ナウカ軍よ!」


「何だと!?」



俺が目を向けると、遺跡の向こうから、戦闘音と黒煙が上がっているのが見えた



書き忘れましたが、六章クライマックスです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] な、なんだってーーーーー⁉︎(二回目) [一言] また逃しちゃうぞラーズ‼︎まだ相手は余力もあるし二人で抑えてなきゃいけないかも‼︎ そして〜?もしかしたらナウカ軍と協力してんのかなぁ?…
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