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六章 ~18話 加担組織の排除2

用語説明w

MEB:多目的身体拡張機構の略称。二足歩行型乗込み式ロボット


自己生成爆弾:宇宙技術を使った四種類の爆弾の超小規模生産工場。材料とエネルギーを確保できれば、使用後に勝手に新しい爆弾を生成してくれる

ウンディーネ…粘着性のあるゲル状爆弾

サラマンダー…液体型焼夷弾

ジン…蜂のような羽根で跳ぶ小型ミサイル

ノーム…転がることである程度の追尾性を持つ球形手榴弾



「…何で生きているんだ!?」



バチバチッ!


雷属性投射魔法が発動、雷属性の光球が俺に向って放たれる



雷属性とは、その名の通り雷、電気の力だ

電気として発動すれば光の速さで向かってくるため、俺に避ける術はない


だが、空気中を雷が直進するわけもなく、狙った場所に放つことは不可能

その為、他の属性と同じように魔法のエネルギーとして投射、敵に接近してから雷として発動しているのだ


おかげで、雷属性でも通常の投射魔法と同じ速度となり避けることができる



躱しざま、流星錘アームから錘を射出


ズガッ!



顔面に錘がめり込んで、魔導士が倒れる


なぜ生きていたのかは分からないが、俺は首を踏み折って、更に喉を掻っ切る

ナノマシンシステムが沈黙しているのを確認して、死んだと判断した



「ルイ、魔導士を仕留めた。MEBの破壊は俺がやる、フォローを頼む」


「早くMEBの相手をしてくれ。現在、潜伏中、見つかったらもう逃げられない…!」


「分かった!」


俺はホバーブーツでMEBを追う



「リィ、フォウル、攻撃解禁だ! 全力攻撃後に離脱、流れ弾に気を付けろ!」


「ガウ!」 「ヒャンッ!」


「データ、ロケットランチャーを!」


「了解だよ!」


まずはMEBの装甲を破壊だ

火力の暴力でぶち破れ!



ボシューーーーーッ ドッガァァァァァン!


バリバリバリーーーーーーーーーーッ!


ビュオォォォォォォッ!



ロケット弾の爆発、サンダーブレス、風属性範囲魔法(小)が発動

MEBにエネルギーが集中する



ギギィィーー………


「な、まだ動いている!?」



この集中攻撃を受けて、MEBは機能を停止させていない

右腕の装甲で、一番強力なフォウルのサンダーブレスを受けやがったからか!?

右腕の盾のような装甲が焼け焦げているが、全損は免れている


MEBがアサルトライフルを構える


「フォウル、リィ、離脱しろ! 弾幕に入るなよ!」


俺は、高速立体機動でMEBを引き付ける

MEBに接近、ウンディーネを貼り付けて通り過ぎる



ドッガァァァン!



装甲で爆発


「データ、1991とハンドグレネード!」

データに倉デバイスを操作させる倉デバイス術


自己生成爆弾をサードハンドで保持


高速立体機動で縦横無尽に駆け回りながら、弾幕を避ける



陸戦銃でグレネードを撃ちこみ、小型杖で軟化の魔法弾を撃ちこみ、モ魔で風属性竜巻魔法発動


流星錘アームでMEBに錘をひっかけて急カーブ

ナノマシンシステム2.0をフル発動、高速機動を全力で支える



ギュイィィィン…



ナノマシンシステムが体内で動き続けている


トリガーが発動、集中力の向上、軽い高揚感



ダメだ…、動きが緩慢になる


やることが多すぎて、準備が追い付かない


自己生成爆弾を掴むのを失敗


陸戦銃のリロードが間に合わない


小型杖の魔石切れ



高速立体機動に、俺自身のアイテムの使用が追い付けない!


その焦りからか、トリガーが悪い方に作用している

集中力が上がるのに動作が緩慢に、意識と体の速度にばらつきがあるかのようで、距離を見誤ったり、アイテムを掴み損ねたりと思わぬ失敗を繰り返している



…だが、やっと分かった

このMEBが、俺の攻撃やルイの狙撃、そしてフォウルのサンダーブレスを的確に防御できた理由


このパイロットはエスパー

おそらくは、リロと同じタイプだ


1991小隊の仲間であったリロは、サイキッカーでテレパスを得意としていた

敵意や殺気をかなりの精度で感知するという、MEB使いにとって理想ともいうべき能力を持っていたのだ


あの頃の俺はまだ変異体ではなく、サイキック能力も未熟だった

だが、今ならその能力の正体を感じ取れる


この能力は、自分を中心にソナーのように精力(じんりょく)を放出、殺意や敵意のような思念を感知しているのだ

その範囲はかなり広く、ルイの狙撃方向さえも察知して見せた


強敵だ

だが、怖さは感じない


なぜなら、こいつはリロほど操縦が上手くない

敵意を察知されても勝てる自信があるからだ



殺気を放出



ギギィィッ!



ダメージが溜まり、軋んだ音を響かせてMEBが反応

アサルトライフルを向ける


その瞬間に合わせて飛び込む

その足に向けて、1991を薙ぎ払うジェット斬り



ゴォッ ズッガァァァァァァン!



MEBが倒れると同時に、最後の抵抗か肩のミサイルランチャーから三発の小型ミサイルを発射

上空へとミサイルが登って行く


そして、方向を変えて俺に向って落ちてくるのだろう

誘導性能の有る兵器は危険だ


だが、慌てない

俺には宇宙兵器があるからな


俺はジンを三つ発射、ミサイルを狙わせる



フィーーーン × 3  



ドッッゴォォォォ………



上空で、三つのミサイルが誘爆した




…ラーズとルイの戦闘を二人が見ていた


「マキ組長、ラーズって凄いですね。一人であれだけ戦えるなんて」


「コウ、ラーズは大崩壊前、道化竜や一人小隊などと呼ばれていた有名な兵士だったそうですよ」


「…道化竜ってのはよく分かりませんけど、一人小隊はなんとなく分かりますね。使役対象が四体もいますから」


「戦力としては文句ありません」


「…マキ組長とラーズってどっちが強いんですかね?」


コウは、興味本位で聞く

こういう無神経な所で、コウは損をするタイプだ


「それは私ですよ」

だが、マキ組長は躊躇なく答える


「そうなんですか?」


「ええ、彼は私と同類ですからね」


「同類…、なのに、マキ組長の方が強いんですか?」

コウは首を捻る


「ラーズは、通り過ぎる影のデモトスや蘇りのヘルマンと出会い、教えを受けた。そして、今の実力まで引き上げてもらった」


「はい」


「でも、引き上げてもらっただけなんです。自分で這い上がっていない。それでは私には勝てません」


「はぁ…」


「惜しいところまで来ています。マキ組で私の指導について来れば、おのずと自分で這い上がるようになるでしょう」


「…」

コウは、マキ組長の指導という言葉に内心トラウマを発症していた




・・・・・・




戦闘が終わった


MEBの狙撃銃と障壁魔法をつかう魔導士のペア運用はかなり強敵だった

戦車よりも狙撃能力が高く障害物に隠れながら高さを変えての射撃

そして、防御能力


今回は、ウルラ軍を苦しめていた部隊に辛勝、ターゲットを破壊できたため成果としては満点に近い

だが、ウルラにもにもかなりの死傷者が出ていた



「何をするんですか?」


「コクルに加担している兵器関連や傭兵稼業の企業を特定するんです」


マキ組長は、ナノマシンシステムを導入していた魔導士の遺体を調べる

この魔導士はナノマシンシステムだけでなく、脳内に高分子ゼリーを導入していたらしい


このゼリー状の物質は、銃弾の衝撃で瞬間的に硬化して脳を守ることができるというフェアドテック社の新製品とのこと

魔導士が死んでなかったのはこれのおかげだったわけか


更に、スナイパー仕様のMEBはブリリアングース社製ということも判明した



「企業を特定してどうするんですか?」


「ウルラ領とマキ組の後ろには、龍神皇国騎士団長のセフィリア様がついています。セフィリア様から、ウルラ領にこの製品が入って来た経緯を調べてもらい、各メーカーにプレッシャーをかけてもらいます」


「プレッシャー…」



クレハナの内戦は、長期化したことで泥沼となっている

この内戦に目を付けているのが、各国の兵器メーカーなどだ


企業の都合のいいように兵器を参入させ、その実験データを取る

その為にナウカ側に協力している企業がいくつかあるのだ


その企業を特定し、裏付けを取ることで龍神皇国と敵対する覚悟があるのかを尋ねる

簡単に言えば、もっと高い代償を支払わせるぞと脅すことで、間接的にナウカ家の戦力を削るのだ



「ウルラ領ではフィーナ姫が戻って来て、漆黒の戦姫と呼ばれて盛り上がっています。そして、盛り上げると同時に敵の戦力を削って弱体化させていく。強化と弱体化、できることは全てやって全面戦争に臨む必要があるということですね」


「り、了解しました…」


漆黒の戦姫?

そんな二つ名がついているのか


フィーナもしっかりと使われているな


既に全面戦争は始まっているということだ





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