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六章 ~17話 加担組織の排除1

用語説明w

MEB:多目的身体拡張機構の略称。二足歩行型乗込み式ロボット


ナノマシン集積統合システム2.0:人体内でナノマシン群を運用・活用するシステム。治癒力の向上、身体能力の強化が可能


ルイ:マキ組の下忍、赤髪の獣人男性。スナイパー技能に長けている

リィ:霊属性である東洋型ドラゴンの式神。空中浮遊と霊体化、そして巻物の魔法を発動することが可能

竜牙兵:黒竜の牙に魔属性と竜の魔力を封入し、幽界から骸骨戦士を構成する爪と牙を武器とするアンデッド


戦闘への出撃要請が来た


「今回は、緊急要請です。ナウカ軍として暴れ回っているMEB部隊を補足したようで、今回で仕留める計画です」


ナウカ軍の中で、ウルラ軍に大きな被害を与えているブラックギアと呼ばれる部隊

複数のMEBを使い、大型の兵器で火力をばらまいての殲滅戦を得意としている


クレハナでの内戦は、潤沢な資金によって行われているわけではない

MEBのような高額な兵器の破壊は、敵に対して大きな打撃となるだろう



ドッガァァァァァン!



ウルラの陣が巨大な狙撃銃によって狙われている


「…何キロ先から狙われているんだ?」


「…一キロ先だな」


MEB用の強大な狙撃銃により、大口径の弾丸で狙われる

もはや砲弾と言ってもいい


対抗して、ウルラ軍の戦車砲での砲撃が行われているが、MEBが森を移動しながら狙撃を行っているので命中には至っていない


「ラーズ、ルイ。あのMEBを仕留めてきてください、やり方は任せます」


「え、俺達だけですか?」


「私とコウは、その他で陽動を行います。暗殺よりの斥候ミッションですね。なお、力学属性障壁魔法によって、砲撃を何発か止められています。近くに魔導士がいますので注意を」


そう言って、マキ組長はコウを連れて行ってしまった



ドッガァァァァァン!


ズッガァァァァッァン!



砲撃がお互いの陣を襲う

更に、マキ組長を含む歩兵たちが衝突を始めた


銃声に爆発音、そして各種魔法の発動音が響いている



「ルイ、行こう」


「ああ」


俺達は、大周りをして敵MEBの背後を取る

その為に、高速で山中の踏破する




………




……







一時間、山道を走り続けて目標地域へと入った


「…はぁ…はぁ…はぁ……」

ルイが、今にも倒れそうに、全身を使って呼吸をしている


「…大丈夫か?」


「回復薬をがぶ飲みしすぎて、効果が落ちてきた…はぁはぁ……だが…、なんとかたどり着いた……」


戦闘区域を大回りして、敵MEB部隊の端にたどり着いた

既に、味方の戦車隊にかなりの被害が出ている


お互いに遠距離射撃、力学属性障壁魔法による防御の硬直状態だが、MEBの狙撃の方が命中率が高いため、均衡が崩れてきてる


「敵MEBには、防御魔法を使う魔導士がセットになっているはずだ。まずは魔導士から殺ろう」

ルイがスナイパーライフルを倉デバイスから取り出した


「分かった、狙撃ポイントが決まったら連絡してくれ」


俺はリィとフォウルを出して、森の中を進む

まずは、直近の魔導士とMEB、その周囲の歩兵を始末する


斥候二人で実行するようなミッションではないが、俺は変異体の強化兵だ、不可能ではない



一人の気配


…リィ、やってくれ



「ぐぎょっ!?」


リィが後ろからの噛みつきで仕留める



二人目の歩兵を発見

ヴァヴェルの認識阻害効果で接近、口を押えて喉をナイフで掻っ切る


敵MEBに接近、その近くを随伴する歩兵数人の気配を確認



「…ルイ、魔導士を発見。歩兵三人とMEBが直近にいる」


「了解」


俺はスナイパーの周囲を観測、更に敵の排除などを行うスポッターとしての役割も担う

まずはターゲットの発見だ


だが…


「ダメだ、魔導士は蜃気楼魔法を使っている」


魔導士の体が不自然に揺らいで見える

風属性蜃気楼魔法の特徴だ



蜃気楼魔法


風属性で身体の周囲の気体の密度を操ることで光を屈折させる魔法

自分の姿を揺らがせることで遠距離からは正確な位置が分からなくなる、別名スナイパー殺しと呼ばれる補助魔法だ

遠距離からの視認ほどぶれ幅が大きく見え、接近することでそのぶれが小さくなるため、接近することが対策の一つだ



「どうする? 俺が近づくか?」

ルイが尋ねてくる


「いや、MEBが無差別乱射をした場合に巻き込まれる可能性がある。俺が近距離から爆発を起こすから、その位置に集弾させて撃ち抜け」


「了解」



俺は陸戦銃を構えて歩兵を狙う

MEBに近づかれた場合、赤外線センサー等で存在を発見される可能性がある


俺はサードハンドでハンドグレネードを空中に保持

先手必勝!



ボッ!


「なっ!?」



突然飛び出してきて驚く歩兵に対して陸戦銃を向ける



がシュッ!


「ぎゃっ!」 「ぐぁっ!?」 「うっ…!」



歩兵二人と魔導士を巻き込んで散弾を発射

歩兵二人には着弾、だが、魔導士は防御魔法で弾を止めやがった


だが、本命はこっちだ



俺はハンドグレネードを魔導士に投げつける

同時に、自己生成爆弾のノームを転がす



ドッガァァァァァン!


ゴッガァァァン!



爆風で魔導士が吹き飛ぶ



ダァーーーーン!

ダァーーーーン!



続けて、遠くから銃声がし始める

魔導士は、爆風で吹き飛ばされながらもまだ生きていて、立ち上がって来る



ドガガガガッ


「うおおぉぉぉぉっ!?」



しかし、魔導士に追撃する暇もなく、MEBの持つ巨大アサルトライフルの弾丸が降ってくる


木々に引き寄せの魔法弾と流星錘アームを使いながらの高速立体機動戦闘

弾丸を掻い潜りながら下がる



ダァーーーーン!


「ぎゃっ!!」


ダァーーーーン!


「ぐぁっ!」



森に潜んで状況を観察すると、魔導士はまだ生きていた

いや、ルイはわざと生かしているようだ


蜃気楼魔法が解けた魔導士の体に銃弾が当てる

だが、致命傷にはならない


そして、助けるために近づいた歩兵二人をヘッドショット


スナイパーの常套手段、通称撒き餌だ

敵兵が拾いそうな物や、助ける対象などをわざと狙撃しやすい場所に残し、そこを狙うという手法だ



非人道的な行為だとは思う

だが、MEBと歩兵、魔導士を同時には相手にできない


俺達はたったの二人で作戦を成功させなければならない

俺達は手段を選べるようなヒーローではないのだ



ダァーーーーン



カメラやセンサーを乗せたMEBの頭部を狙撃

MEBの情報を削る


「ルイ、欲を出すな。狙撃方向がバレている、場所を変えろ」


「了解」


生き残った歩兵は三人

一人が残って魔導士の治療に当たり、二人がルイの方向に向かった



俺は竜牙兵を出して、待機していたリィに指示

歩兵を仕留めろ


了解の思念を受け取り、俺は魔導士に意識を戻す


あいつ、まだ生きているのか

数発は銃弾を受けており、急所でないとはいえ、普通は失血死しているはずだ



「データ、スコープで魔導士を確認しろ」


「了解だよ!」


望遠での画像が俺の仮想モニターにも届く

魔導士が受けた傷の出血は止まっているようで、立ち上がろうとしていた


ま、まさか、あの傷でうごくのか!

回復魔法は使っていなかったぞ!?


「…ご主人! 魔導士の傷が塞がりかけているよ! ナノマシン群による治癒の特徴だよ!」


「な、なんだと!?」


「あの魔導士は、ご主人と同じ、ナノマシン集積統合システムを導入した強化人間だよ!」


は、初めて、俺と同じナノマシンシステムの導入者を見た

俺が導入した当初は、怪力になるわけでもなく、人体の限界を超えるような特殊能力もない地味な能力だと思っていた


だが、敵にしてみると、弾が当たっても死ににくいというのはなかなかの脅威だ

戦場では、そう簡単に次の弾を当たられるわけではないからだ


だが、やつはまだ2.0は発動していないようだ

つまり、治癒できないほどのダメージを与えれば仕留められる

その限界は、俺が嫌と言うほど知っている



「ルイ、さっきの魔導士は強化人間だ、まだ生きている。仕留めるからMEBを陽動できるか?」


「分かった。だが、そんなには持たないぞ?」


リィと竜牙兵から、歩兵を仕留めたとの思念が入る


「そっちに向かった歩兵は俺の使役対象が処理した。相手にするのはMEB一機だけだ、頼んだ」


「了解」



ダァーーーーン!


言い終わると、直後に銃声



MEBの腹部に火花が飛ぶ

だが、装甲を貫通していない


スナイパーライフル弾が貫通しないだと!?


「あのMEB、複合モジュール装甲だよ!」

データが、MEBの観測結果をルイに送信する



複合モジュール装甲とは、複数の素材を層状に重ねた装甲であり、高い対弾性能を誇る

おそらく、コクピットの保護のためだろう



MEBは、ルイの発射方向に進んでいく

装甲の着弾具合から発射方向を特定したようだ



チャンスだ


俺は陸戦銃を構える



ダァン!


ダァン!



魔導士の治療に当たっていた歩兵をヘッドショット

そして、魔導士もヘッドショット


…これで、後はMEBだけだ



俺が向かおうとするとき、第八感が反応

一瞬、魔力のようなものを感知する


同時に、データの警告


「ご主人、魔導士の攻撃魔法!」


頭を撃ち抜かれたはずの魔導士が、攻撃魔法を詠唱していた




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― 新着の感想 ―
[一言] …?ヘッドショットしたのは確かだろうし…この瞬間覚醒したとかじゃないよね…?
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