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五章 ~23話 遠征終了

用語説明w

ペア:太陽系第三惑星であり、惑星ウルと惑星ギアが作る二連星

ヨズヘイム:ペアと次元が重ねる異世界イグドラシルにある王国。転生技術や転移魔法陣などの魔導法学が発展している。三国戦争ラグナロクの真っ只中

ストラデ=イバリ:ペアのある太陽系の第五惑星にある第二衛星に作られた宇宙拠点。核融合や宇宙技術など独自の科学文明が発達している



プシューーーー……



遠くで空気の吹き出すような音がする



「………?」


ゆっくりと覚醒していく意識



ペアに着いたのか?


眩しい


薄く目を開く



白衣を着た者たちが見える


ぼやけていた視界が、ゆっくりと焦点を取り戻していく



「ラーズ、分かる…?」


「ん…」



女性の声


目の前の白衣は、どうやら女性のようだ


手で光を遮りながら、顔を見る



「エマ…?」


少しだけ、感じが変わった気がする

だが、間違いなくエマだ


「お帰りなさい、ラーズ…」

エマが微笑む


そうか、ちゃんと戻って来れたんだな


一週間前に会った時と、少しだけ雰囲気が違う

これは、ペアで二年が過ぎている証拠なのだろうか?


身体を起こす


…うん、特に異常はない


「大丈夫…?」


「うん、大丈夫。…帰って来れたんだね。ただいま、エマ」


「長旅、お疲れ様…」


「俺にとっては、一眠りして起きたって感覚だけどね。こっちでは、もう二年間経ってるの?」


「ええ、二年間…。ラーズがいない時間は長かった…」



その後、ゆっくりと起き上がってエマの診察を受ける

まだフレイヤとユリウスは目が覚めていないようだ


「セフィリアさんと、フィーナ、ミィが待ってるから…」


一通りの検査が終わると、俺は医療施設内にある待合室に案内された

ソファーには、騎士の甲冑を着た三人の女性がいる


「…ラーズ!」

最初にミィが気が付いて手を挙げて来た


セフィ姉とフィーナも立ち上がある


「…お帰りなさい」

フィーナがもじもじして言う


「ただいま、久しぶりだな」


「…やっぱりそんな感じなんだね」


「え?」


「セフィ姉たちと話してたの。私たちにとっては二年振りの再会、ラーズにとっては一週間。絶対に温度差出るって」


「おお…、いや、まぁ…。でも、確かに三人ともちょっと雰囲気が変わったね」


これが二年間という月日か…

一緒に人生を歩めないって、それはそれで怖いことなんだな

浦島太郎なんて、絶望しかないだろう

知ってる人がみんな死んでるとか怖すぎる


「それはそうだよ…。二年間、長かった…!」

フィーナがちょっと涙ぐんだので、とりあえず抱きしめておく


うん、俺にとっては一週間だから、マジで温度差感じるな


「ラーズ、お疲れ様。大仲介プロジェクトは、無事に大成功で終われそうよ。ヒルデとヴァイツから、それぞれお礼が届いているからね」

セフィ姉が微笑みながら言う


「そうなんだ。でも、これからが忙しいんでしょ?」


ストラデ=イバリの宇宙戦艦をヨズヘイムに届ける

龍神皇国に空間属性魔法陣によるワープゲートの建造、ストラデイバリとのワープゲート開通プロジェクトの開始


本当の意味では、まだ終わっていない


「大仲介プロジェクトは、ヨズヘイムとストラデ=イバリの技術者の送迎が主任務。後は、龍神皇国内で全て完結する。異世界と宇宙との行き来をラーズが担ってくれた、その功績は大きいわ」


「セフィ姉への借りは少しでも返せた? それだったら嬉しいんだけど」


「もちろん、充分よ。この成功のお陰で、私のやりたいことにまた一歩近づけたわ」


「そっか、よかった」


セフィ姉は、二年たっても相変わらず美しい

吸い込まれそうな青い瞳、女神のような微笑み、優雅な所作…


「おい!」


「いててててっ!?」

フィーナさんに頬を引っ張られる


騎士の力でやったら、下手すると皮膚が引きちぎれるんだぞ!?


「セフィ姉ばっかり見て、何なの?」


「いや、挨拶じゃん!」


嘘です、完全に見とれていました


「ラーズ、同い年になったフィーナはどう?」

ミィがニヤニヤしながら言う


「そっか、そういえば同い年なんだよな。フィーナ、顔を見せてよ」


「え?」

俺はフィーナの顔を見ようとすると、思いっきり顔を伏せる


「ほら、顔上げてくれよ」


「…そんなの、なんか恥ずかしいよ!」

フィーナがめっちゃ抵抗する


うむ、こういう所は可愛いな



その後、フレイヤとユリウスが起きてきた

特に二人とも問題は無さそうだ


「フレイヤさん、長旅お疲れさまでした」


「セフィリア様、無事に帰還しましたー」


「おかげ様で、ワープゲートの起動実験では問題ありませんでした」


「それは良かったですー」


「後は、定期的な開通実験に移って行きます。今後ともよろしくお願いいたしますわ」


「はい、全力を尽くしますー」


どうやら、俺達が戻って来る一年の間に、龍神皇国に新たなヨズヘイムの技術者が来ていたらしい

ストラデ=イバリとやり取りをしながら、すでに起動実験を終了、電波による空間跳躍に成功したらしい


フレイヤは、今後も龍神皇国でワープゲートの開通プロジェクトに参加していくそうだ



「セフィリア様、ストラデ=イバリで龍神皇国の担当をさせて頂いておりましたユリウスです。よろしくお願いいたします」


「ユリウス様、ようこそ龍神皇国へ。大仲介プロジェクトを担当するセフィリアです、改めてよろしくお願いいたします」

セフィ姉とユリウスが挨拶する


ストラデ=イバリから戻って来た俺達三人は、オーバーラップされていた宇宙戦艦を龍神皇国側へ譲渡

この三機がストラデ=イバリから得た技術となる


ユリウスは、しばらく龍神皇国に滞在してメンテナンス等の指導に当たる

その後、ヨズヘイムの代表者が宇宙戦艦をオーバーラップ

ユリウスと共に異世界イグドラシルへと渡り、ヨズヘイムで宇宙技術の指導とメンテナンスに当たるとのことだ


本当に異世界と宇宙で交易するんだな…

宇宙戦艦と空間属性魔法陣の交換、カオス過ぎないか?


そして、そんなカオスな大仲介プロジェクトで俺がしたことって…

何もして無くない?


かろうじて、ストラデ=イバリのテロを止めることに貢献したことだろうか

それが護衛のすることかというと微妙な所だが




・・・・・・




少し休憩し、簡単な食事を取る


その後、いつも通り式典、大仲介プロジェクトの成功式典が催された


いや、もうよくない?

俺なんか、もう四回目だぞ!



ストラデ=イバリの外交官兼科学技官 ユリウス

ヨズヘイムの魔導技官 フレイヤ 

護衛官 ラーズ


そして、大仲介プロジェクトの責任者である騎士セフィリア



皇帝陛下のお言葉…

首相の…

外務大臣の…


ヨズヘイムのオーロラ女王の謝辞…

ストラデ=イバリのグスタフ総統代表からの…


(以下略)



最初は緊張していた式典の出席も、数を重ねたことで若干耐性がついたらしい

長いわ、早く終われや! という邪念が渦巻いて消えない


いかんいかん、一応、俺達のために開いてくれた式典だ

国として成功をアピールするという目的があるにしても、感謝の念を忘れてはいけない


…結局、真紅の甲冑を来たセフィ姉を眺めることで時間を潰した

皇帝陛下からのお言葉を貰える機会にそんなことを考えていることがバレたら、いつかやられるかもしれない



式典が終わった


セフィ姉は、その後の仕事が立て込んでいて忙しいらしく行ってしまった


「ラーズさん、フレイヤさん、お疲れさまでした」

ユリウスが言う


「ユリウスさんもお疲れさまでしたー。お互いに龍神皇国に滞在ですから、よろしくお願いしますねー」

フレイヤも言う


ユリウスが宇宙戦艦を

フレイヤが空間属性魔法陣を

大仲介プロジェクトの根幹を、この二人が担う


「そういえば、ユリウスは外交官も務めるんですか?」


宇宙戦艦の指導に加えて、忙しすぎない?


「ワープゲートが開通したら、最初に来るのは正式な外交担当の予定なんです。それまでの代理ですね」


「開通の目途は立ってるんですか?」


「聞いた限りでは、あと一、二年って感じですかねー」

フレイヤが答える


「開通はフレイヤの技術にかかってるってことだね」


「すでにヨズヘイムから何人も技術者が来てますから、私だけじゃないですけどねー」


「二人とも、何かあったら俺も頼って下さいね。異世界と宇宙への派遣、やり遂げられたのは二人のお陰ですから」


「あ、ラーズさん」

ユリウスが言う


「はい?」


「渡したいものがあるので、明日にでも私の所に来てくれませんか?」


「ええ…、分かりました」


何だろう?



「それじゃ、また」

「ありがとうございました」

「また会いましょうー」


俺達三人は、それぞれと帰路についたのであった



あぁ…、あっという間に年が明けて正月が終わっていくよ……汗

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― 新着の感想 ―
[一言] 学校の宿題全然やってへーん‼︎いややー‼︎しとーないってーー‼︎ドラえもーーーーーん‼︎‼︎
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