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ですペア ~遺伝子工学型強化兵の苦悩~ 大魔導師、宇宙兵器、大妖怪、異世界騎士、神竜…即死級対象が多すぎる!  作者: ロロア
四章 宙(そら)は暗かった、惑星(ほし)は青かった、そして神(っぽいの)はいた
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四章 ~43話 発掘現場1

用語説明w

セフィリア:龍神皇国騎士団の団長心得。B+の戦闘力を持つ。ラーズの遠い親戚で、五歳年上の憧れの竜人女性。使役対象は、生きたアイテムであるヴィマナ

フィーナ:ラーズの二歳下の恋人。龍神皇国騎士団にBランク騎士として就職している。魔法に特化した大魔導師

ミィ:龍神皇国騎士団経済対策団のエース。戦闘能力はそこまで高くないが、経済的な観点で物事を考える。海の力を宿したオーシャンスライムのスーラが使役対象

ピンク:カイザードラゴンの血を引く龍神皇国の貴族で、騎士見習い。カイザードラゴンのブレスを纏った特技スキルの威力は凄まじい

エマ:元1991小隊の医療担当隊員。医師免許を持ち回復魔法も使える

スサノヲ:見た目は赤ずきんをかぶった女の子。正体は、怪力の腕利き鍛冶職人でジャンク屋


俺達は、マイケルさんの案内で山道を進んでいる


「ここは農具置き場です」


少し進むと、キノコの栽培場が見えて来た



プレハブの小屋が一つ置かれ、中には農具が置かれている

その中に観測用の機材を持ち込んで、拠点とする


「私はここで状況を確認するわ。フィーナとエマは、もう少し進んだ所で待機場所を作って」

セフィ姉が、騎士団の一般兵たちと共にこの小屋で指揮をする



「それじゃ、言ってくるねー!」

ミィを先頭に俺達は山道を登っていく


「ラーズ、気を付けてよ?」


「分かってるって。それに怪我してもフィーナとエマがいれば大丈夫だろ」


フィーナの心配性は相変わらずだが、二人の回復魔法は凄い

カプセルワームや回復薬とは比べ物にならない、もはや再生と言ってもいいくらいの回復力を持っている


「即死したら助けられないから…」


「き、気を付けるよ」


エマの不吉な発言を噛みしめつつ、俺達は進む



今回、スサノヲは別行動だ

狙撃ポイントで待機するらしい


今回、ミィは一小隊規模の一般兵を呼んでいる

俺に挑んで来たファブル地区南支局のティトもいて、ミィに声をかけられたと喜んでいた



中腹


空飛ぶ輸送船マゴニアの姿を目視で確認



「ここを回復拠点にしましょ」

ミィが立ち止まったので、俺は簡易のテントを組み立てる


「ちょっと遠くない? すぐに回復できないよ」

フィーナがミィに言う


「近づきすぎると、フィーナとエマが巻き込まれちゃうでしょ。今回は、私とピンクの二人も騎士がいるんだから大丈夫よ」


「私はまだ見習いだけど…」

ピンクが心細そうに言う



ピンクは俺の五歳下で、ボリュガ・バウド騎士学園での後輩にあたる

俺やフィーナ、ミィが中等部の時にピンクが入学してきた


普通、初等部では魔法や特技(スキル)の習得から入る

だが、ピンクは貴族の令嬢で小さいころから英才教育を受けており、しかも才能が有った


遊びで模擬戦闘をした際、中等部のアドバンテージとして、俺は一応闘氣(オーラ)を発動できるようになっていたのだが、初等部一年のピンクの火属性特技(スキル)で吹き飛ばされた


「ラー兄、手加減してくれてありがとう」


屈託のない笑顔でピンクに言われて、俺は優しくピンクの頭を撫でた

…寮に帰って、さめざめと泣いたのが懐かしいな


つまり、間違いなくピンクは天才でセフィ姉の同類だ

しかも、本人はめちゃめちゃいい娘なのだが、暴力の天才なのだ


騎士団でも頭角を露わしているというのも、俺は理解できるぞ



「行ってくるわね」

ミィがフィーナとエマに手を挙げる


「気を付けて、特にラーズ」

「ラーズ、死なないで…」


「…気を付けます」


まぁ、ミィとピンクの騎士二人に比べたら、俺は圧倒的に死にやすいのは間違いない

気を付けないとな




発掘現場とマゴニアを見下ろせる場所まで接近


「見張りはいないわね」


「山のど真ん中だしな…」


とりあえず双眼鏡で現場の確認を始めると…



「ミィ姉、ラー兄、あそこが発掘現場かな?」


ピンクが茶色い布を柱に付けて壁を作り、囲っている場所を指す


「布で囲って何かを隠してるのか?」


「さっき、シャベルを担いだ人が出て来たの」


「それじゃあ、あそこが発掘現場ってことか。もう発掘を始めてるんだな」


「教団のファブル支部の支部長を捕まえたから、発掘を急いだのかもしれないわね」

ミィが言う


あの施設長は、部屋が荒らされたと通報して警察が駆けつけた

あらかじめ俺達が情報を渡していたため、警察は施設長が隠し持っていた拳銃を発見、銃刀法違反で逮捕された


俺達の筋書き通りだ

今頃、取り調べで情報を絞り出されている頃だろう



「とりあえず情報を取るか」


「ドローンでも飛ばす?」


「偵察してるのがバレちゃうよ。このフォウルさんに任せてくれ」


俺は肩に止まっていた小竜の頭を撫でる


「かわいい…」

ピンクが撫でたそうにしている


「撫でていいよ? そしてフォウル、見てきてくれよ」


「ガウゥ…」

フォウルは、ピンクに撫でられて目を細めた後、めんどくさそうに空を飛んで行った



「…どうやら、地下に続く階段があるようだ。降りて行くしかないな。土を運び出しているから、まだ発掘は現在進行中だな」


「ラー兄、どうして分かるの?」


「俺のアクセサリー、絆の腕輪でフォウルの視界情報を共有してるんだ。フォウルはドローンと違って、山の中で飛んでいても違和感ないだろ?」


「えー、凄い!」

ピンクが大げさに驚く


新人社員のかわいい態度

おっさんたちにはたまらないんだろうな

このナチュラルおっさんキラーめ



「それじゃあ、どうする?」

ミィが俺を見る


「俺とミィであの発掘現場を制圧して中を確認しよう。ピンクは陽動でどうだ?」


「私が陽動?」


「見習い騎士が一人でたまたま山に入ったら、マゴニアがあるところを見つけました。許可は取っているのか、何をしているのかを確認する。…厳しく追求すればいい」


「騎士一人なら何とか誤魔化そうとする。それが陽動にもなるってことね、いいじゃない」

ミィもうんうんと頷く


ミィは昔から、目的のために多少のずるを許容するタイプだ


「も、もし襲ってきたら?」


「騎士に対する公務執行妨害が成立。正式にセフィ姉に連絡してからぶっ飛ばしなさい」


「えー! また一人で戦うの!?」


…ピンクの初めての対Bランク戦闘は一対一だったらしい



「よし、セフィ姉とフィーナには連絡したわ。作戦開始よ」


「雑な作戦だよな」


「本来は騎士団が人数揃えてやる規模の敵なのよ? ラーズの手柄のためなんだからごちゃごちゃ言わないでよ」


「複雑だ…」



「ミィ姉、ラー兄、気を付けてね!」


単独戦闘の可能性があるピンクの方が危険な気がするが、心優しいピンクが俺達を見送ってくれた




・・・・・・




ピンクが地上からマゴニアに呼びかけ、中から乗組員が出てきて大騒ぎになっている

地上に降りていた者は全員ピンクの方に集まっていく


布で囲っている発掘現場の入口も、見張りはいなくなった



「…俺が先に行くよ」


「オッケー」



ヴァヴェルの魔属性効果である認識阻害効果を存分に発揮


地下に続く階段から上がって来た発掘員に、後ろから忍び寄ってナイフを突きつける


「ひっ…!」


「騒いだら殺す。質問に答えれば解放する。選べ」


「…っ!?」


「答えるか?」


発掘員がコクコクと頷いた


「中には何人いる?」


「…三人」


「戦闘員は?」


「いない、発掘員だけ」


「何を発掘している?」


「…真実の眼の遺跡だ」


俺がミィを見ると、ミィも頷いた


「依頼者は誰だ?」


「…神らしきものの教団のファブル支部の支部長が研究室に依頼に来てくれたんだ」


「それで、依頼を受けたのか?」


「当たり前だ! 世界中の考古学者が未だに正体を掴めていない、真実の眼の遺跡! その発掘を我々に任せてくれ…、ひっ!?」


「分かった、少し寝てろ」

俺は、首に手を添えて頸動脈を締める


静かに失神した発掘員を眠らせた


「ミィ、こいつらは保護した方がいいな。真実の眼についての授業をしてくれそうだ」


「…専門家が教えるのもうまいとは限らないけどね。私が遺跡内を見て来るよ」

そう言って、ミィが遺跡を降りて行く


俺は発掘員を担いで、この場を離れ森の中に寝かせる


『フィーナ、発掘員を保護した。回収を頼む』

とメッセージを送る



「これで最後だよ。もう一回、中を確認してくるから」

ミィは遺跡の中から発掘員を三人連れ出して来た


俺は三人を連れて森の中に入る

すると、フィーナが来てくれていた


「ラーズ、この四人ね?」


「ああ、教団から依頼された発掘員だ。よろしく」


「分かった。ラーズも気を付けてね」


「え?」


何を? と聞こうとした瞬間



ドッガァァァァァァン!


「は?」



後ろで爆音が響いた


「マゴニアがピンクの抹殺を決めたみたいなの」


「マジですか」


「あっ…!」



ゴッガァァァン!



マゴニアの看板に砲弾が直撃、大破する


「スサノヲの砲撃だ!」

フィーナが爆発音に負けないように叫ぶ


「スサノヲの砲撃って何だ?」


「戦車を持って来たって」


「戦車!?」


マゴニアは魔力伝導率がいいマナ種の木材を使っている

強度は普通の木材と変わらないため、戦車の火力があれば簡単に大破する



衝撃で、マゴニアが傾いて高度を落としていく

地上五メートルほどの場所に浮いていたため、すぐに地面に墜落した


「あっ! あそこって遺跡の…」


「え!? ミィ姉がまだ…!」



そして、運が悪いことに遺跡の入口の真上にマゴニアは墜落した



「くそっ!」


俺は飛び出して遺跡発掘現場の入口に向かう


「ラーズ! ミィ姉は闘氣(オーラ)使えるから大丈夫! まずはマゴニアを!」


「…分かった!」


「待って!」


「え!?」


フィーナの大声に、俺は立ち止まる


「り、力学バリア…!」



力学バリア


Bランク以上の高ランクモンスターが持っていることが多い力学属性の特技(スキル)で、自身の周囲数メートルに展開されるバリアだ

このバリアは通過する物体の運動エネルギーを奪い、遠距離から放たれた矢や銃弾、砲弾などを停止させてしまう性質を持つ


要は、遠距離攻撃が効き辛くなり、バリアの内側での近接攻撃、又は魔法等のエネルギーを使った攻撃を強制される

その半面、力学バリアを使ったモンスター自身の遠距離攻撃もバリアを越えることが出来なくなる



「俺は特技(スキル)の発動が分からないんだけど、力学バリアが展開されたのか?」


「間違いないよ。と、言うことはBランクモンスターが…」



ガアァァァァァッ!



響き渡る咆哮

マゴニアの甲板に炎を纏った蛇が姿を現した


参照事項

教団ファブル支部 四章 ~39話 教団施設の調査2

ピンクの戦闘 閑話7 違法変異体研究施設の制圧

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― 新着の感想 ―
[一言] マゴニアは空飛ぶ木の船だったわけだ! いいですね‼︎ 魔導法学使うには魔力伝導率が重要になってくるから硬い金属を使っても大した兵器は作れないわけか!それに金属は重量による問題も少しは出て来そ…
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