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ですペア ~遺伝子工学型強化兵の苦悩~ 大魔導師、宇宙兵器、大妖怪、異世界騎士、神竜…即死級対象が多すぎる!  作者: ロロア
四章 宙(そら)は暗かった、惑星(ほし)は青かった、そして神(っぽいの)はいた
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四章 ~39話 教団施設の調査2

用語説明w

ミィ:龍神皇国騎士団経済対策団のエース。戦闘能力はそこまで高くないが、経済的な観点で物事を考える。海の力を宿したオーシャンスライムのスーラが使役対象


時刻は二十三時を回った

辺りは真っ暗、教団のファブル支部の電気は二十一時頃には消えた


「そろそろ行きましょうか。事前調査だと、あの施設は二十一時を過ぎれば誰もいなくなるみたい」


「防犯関係は?」


「警備会社との契約があるから、センサーと防犯関係の魔法はあるんじゃないかな」


「了解」


俺は後部座席でヴァヴェルを着込む


「本当にラーズ一人でいいの? もしかしたら、セキュリティ関係のトラップや敵がいるかもしれないよ」


「これ、不法侵入になるんだろ? だったら、逃げる時の車の運転手兼オペレーターは必須だって」


「ふーん…」


「それに、ミィって隠密的な戦闘は無理だろ? 今回は大暴れしたらダメなんだから」


正体がバレないように、情報収集のみを目的とする

この場合、騎士ほどの火力は必要ではない


「分かった、そらならスーラを連れて行きなさいよ」


「キュイッ」

ミィの肩でプルプル震えていたスライムが小さく鳴く


「へー、それは心強いけどいいのか?」


「さすがに、一般兵の単独潜入ってちょっと怖いから。スーラ、ラーズをお願いね?」


「キューイッ!」

スーラが、大きく体全体で頷いて俺の肩に飛び乗って来た


「スーラ、よろしくな」


俺は、街灯もまばらな道路を横切って施設に向かった



神らしきものは、ペアに壊滅的な被害をもたらした後、ギアのある地域に封印することに成功

この封印地点がある地域は入場制限都市に指定され、封印都市と呼ばれている


この神らしきものの正体については、神、魔神、高次元生命体、星間生命体など、様々な説があるが、いまだ明確な答えは出ていない



敷地を囲んでいるフェンスを飛び越える

防犯カメラ、センサー、感知魔法が設置されていたが、入口や裏口だけのようだ


「データ、窓から入るってミィにメッセージを」


「了解だよ!」


持ってきた養生テープを窓に貼って、ガラスを割って中に入るか


「キュイ!」


俺がテープを取り出そうとすると、スーラが動いた


「おおっ!?」


スーラの液体の体が窓の隙間に入り、鍵を開ける


「こ、こんな簡単に侵入できるとは…」


俺はスーラの頭を撫でて、中に侵入した



…神らしきものの教団はペアの各国で活動が確認されているが、封印都市と本拠地がギアにあることから活動はギアの方が活発だ

仏教やキリスト教、イスラム教などの大手や、バルドル教などの異世界から入って来た宗教には信者の数では劣っている

しかし、それでも世界規模の宗教であるため、信者の数はそれなりにいる


だが、この宗教団体の問題は人数と規模ではない

()()()()()()()


教団は各国で拠点施設を作り、同時に暗躍を進める

具体的には、現政権を批判している組織に力や資金を貸すことで、見返りに信者を得ているのだ

そして、力を貸す対象はテロ組織であったり反社会的な組織であったりする


教団の教義では、現在の世界は神らしきものに滅ぼされるべきとのこと

すなわち、現在の全ての国や政府、体制を批判して打倒を目指しているのが活動の原点だ


しかし、狡猾にもその目的を表に出すことはない

善良な信者を集め、人を幸せにするための普通の宗教活動を装い、裏でテロ活動の助長や傭兵集団を作り上げる


各地で狂信者となり得る信者を選別して本部に送り、教育して戦闘員を作り上げるパターン

人身売買で手に入れた子供たちを教育し、戦闘員を作り出すパターンなどがある



俺は事前に入手した施設の間取り図を見ながら、最初は施設長室に向かう

スーラが施設長室のドアの隙間に入り込み、内側から物理的な鍵を開ける

しかし、さすがは施設長室のドアは厳重で、魔法鍵によって封印されたダブル施錠のドアだった


「ミィ、魔法鍵は開けられないから壊すぞ」


「仕方ないね、了解」


俺は小型杖で、解呪の魔石を装填

魔法鍵の魔法構造を破壊する


これで侵入の痕跡は消せない

割り切って、がっつり泥棒しよう



施設長室の中には、情報端末が一台、金庫が一つ、書類棚にの中にファイルが並んでいる


「スーラ、他にめぼしいものが無いか調べてくれる?」


「キュイ!」


部屋の中をスーラに調べてもらっている間に、俺は情報端末を取り外す


金庫は…、取り外し不可能だな

ぶっ壊すか


俺はドリルを取り出して、鍵穴をぶっ壊す


「ご主人、鍵穴を壊して、ダイヤル錠を外す! そして、中から解呪の魔法弾で封印魔法を破壊して、施錠機構を火薬で…」


データに金庫の破壊方法を調べてもらい、何とか開錠

うん、資料がいろいろ出て来た

全部持って行こう


そして、棚の中のファイルに目を通す

収支報告、権利書の控え…


うーん…、ここら辺の書類を持って行けばいいかな

とりあえず、マイケルさんの関係しそうな書類は無さそうだ


施設長のデスクの引き出しも、鍵をぶっ壊して開ける


お、物騒にも拳銃を発見

他にも…、個人で集めたような女性信者の写真付き履歴書のファイル

全員、若くて容姿のいい女性だ



「キュイ!」


スーラに呼ばれて、壁際の絵を見てみる


「…また金庫だ」


ベタだが、絵の後ろに隠されるように壁に埋め込まれた金庫が出て来た

施設長の机の中から出て来た鍵を回してみると…


「お、ロックが外れた」


ビンゴだ

中からは、また書類やファイル

他には、神らしきものの教団のエンブレム


そして…


「お、これはマイケルさんの土地絡みじゃないか?」


採掘の申請書類が出て来た


どうやら、マイケルさんの土地の中で採掘作業をするため、国に対して申請する書類のようだ

マイケルさんの土地を手に入れたら、何かの採掘をするつもりだったらしい



いいじゃん

いい情報が手に入ったじゃん


よし、この書類は全部持って行く

後は、情報端末を騎士団で解析すれば目的ぐらいは分かりそうだ


「ミィ、採掘作業の申請用紙が出て来た。マイケルさんの土地だわ」


「採掘? 場所は分かるの?」


「ああ、書類に書いてあるよ」


マイケルさんの土地は、山一個分の広大な土地だ

だが、教団の目的の場所は、山の東側の中腹であることがこの申請書類で明らかになった



「あ、ラーズ?」


「どうした?」


「警備会社に通報が行ったわ。何かセンサーが反応したんじゃない?」


「…マジか。脱出するから逃走準備を頼む」


「オッケー、急いでね!」



くそっ!

何が反応したのか分からん、すぐに脱出だ


俺は情報端末を持って、施設長室を出る



すると、目の前に三体の骸骨が廊下を走って来た

アンデッドを雇ってガードマンとする、ガードスケルトンだ


くそっ、こいつらに時間をかけると警備会社のガードマンがやってくる

同時に警察にも通報され、俺は犯人として手配されることになる


時間がない、構ってる暇はない!



ガードスケルトンがこん棒のような警棒を振り上げて襲ってくる


「データ、霊札を!」



警棒を躱し、両手でガードスケルトンを突き飛ばす

後ろ二体にぶつけるようにして、動きを阻害


そのまま蹴り出して、三体を巻き込む


データが倉デバイスから出してくれた霊札を、ガードスケルトンの足に貼る



ボシュッ!



霊札から白い煙が噴き出し、ガードスケルトンの足が吹き飛んだ


アンデッドは、物質的な肉体よりも霊体構造をメインとした構造になっているため、霊札が効果的だ



俺は、立ち上がれず動いているガードスケルトンを無視して全力疾走

ガラスを叩き割って、施設を脱出した



フェンスを跳び越えて、ミィの待つ車に飛び乗る


「警備会社は?」


「もうすぐ来ると思う。すぐに逃げるわよ!」


「騎士がこんな仕事してていいのか?」


「ダメに決まってるでしょ!」


そりゃそうか


「とりあえず、情報端末と書類の精査。頼むよ」


「ええ、任せて」


「あと、施設長の机に拳銃があったぞ。武器の不法所持で警察が逮捕できるんじゃないか?」


「へー、分かった。警察と騎士団もすぐに向かわせるわ」



俺達は、警備会社が来る方向とは真逆に車を飛ばすのだった



参照事項

バルドル教

一章~29話 シンヤとの決着1

神らしきもの

説話 ですペア

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