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ですペア ~遺伝子工学型強化兵の苦悩~ 大魔導師、宇宙兵器、大妖怪、異世界騎士、神竜…即死級対象が多すぎる!  作者: ロロア
四章 宙(そら)は暗かった、惑星(ほし)は青かった、そして神(っぽいの)はいた
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四章 ~38話 教団施設の調査1

用語説明w

ペア:太陽系第三惑星であり、惑星ウルと惑星ギアが作る二連星

ウル:ギアと二連星をつくっている惑星

ギア:ウルと二連星をつくっている相方の惑星


大崩壊:神らしきものの教団や龍神皇国の貴族が引き起こした人為的な大災害。約百万人に上ぼる犠牲者が出た

神らしきものの教団:現在の世界は神らしきものに滅ぼされるべきとの教義を持つカルト教団。テロ活動や人体実験など、世界各地で暗躍


ミィ:龍神皇国騎士団経済対策団のエース。戦闘能力はそこまで高くないが、経済的な観点で物事を考える。海の力を宿したオーシャンスライムのスーラが使役対象


ミィとお仕事

今日は、神らしきものの教団の企みを暴く日だ



神らしきものとは、四千年前にウルとギアを滅ぼすために暴れまわった謎の存在であり、当時のペアの総力を上げて封印された


神らしきものの教団とは、この神らしきものを復活させてペアの運命を委ねるべき、という教義を持つ危険な宗教団体


ギアに本拠地を持つそれなりに大きな組織であり、ペアの各地に支部を持つ

各地のテロ組織に無作為に力を貸し、見返りに金と信者を得て、同時に各国の現政権を批判するという行動傾向が強い


大崩壊後はウルで衰退したが、大崩壊を起こした国土級魔法陣から大量の魔力を集めたとの情報もあり、危険な思想と合わせて今後の動向を監視する必要がある



「…ちょっと、予定が変わったわ」

ミィが言う


「教団の施設に行くんじゃないのか?」


「そうなんだけど。その前に行くところが出来たの」


「どこだよ?」



今日のやること

・地主のマイケルさんを脅していた、教団の関係者がいる施設に潜入、情報収集

・教団がマイケルさんの脅迫を依頼した、マフィアの三次団体を皇国警察が壊滅


しかし、既に行われている三次団体の壊滅が、関係拠点が多すぎて警察の手が回らないらしいく、ミィと俺も向かうことになったのだ


「俺はいいとして、騎士が三次団体の壊滅に手を出していいのか?」


Bランクの戦闘員は兵器扱いだ

つまり、ミィが動くということは、マフィアの事務所にミサイルをぶち込むという行為に等しい


更に、龍神皇国の騎士ともなれば他のBランク戦闘員よりも知名度があり、下手なことをすれば国民からのバッシングを受ける事にもなりかねない


「セフィ姉は、大崩壊の元凶たる神らしきものの教団の壊滅を明言している。問題はないわ」


「でも、国としての対策を取っているわけではないんだろ?」


大崩壊後

元凶となった教団に対して、関係する施設に立ち入り調査などが行われた

しかし、直接的な証拠はなく、国として完全に弾圧できるような状況になっていないのが現状だ


「警戒対象にはなっているけどね。…いろいろあるみたいよ」


「ふーん…。まぁ、セフィ姉の後ろ盾があるなら問題はないか」


「そういうこと。さっさと壊滅させて、教団の施設に行くわよ」



マフィアの三次団体の制圧は、その場所が十七か所にも上る


「この雑居ビルの四階が事務所よ」


「ミィ、入口からインターホンを押してくれ。俺が窓側からかち込むから」


いつものように、データがドローンで監視、事務所内の状況が分かる

どうやら、闇金の事務所として使っているらしい

内装は、普通のオフィスと応接セットと言ったところだ


事務所内には、女が二人、ボスらしき男が一人


「…分かった」

ミィは一瞬心配そうな顔をしたが、素直に頷いた


何度かミィに戦い方を見せてきたことで、信頼してくれるようになったのかもしれない


ドローン映像をミィと共有

ミィが事務所に入ったら制圧作戦は開始だ



…俺は今日、試してみたいことがある

それは、俺の対人戦闘の実力だ


軍時代に何度かやった裏仕事

制圧のための戦闘がほとんどだったが、緊張と想定外の対応でお世辞にもよく出来たとは言えなかった


だが、軍での経験

あの施設で繰り返してきた襲撃者との戦闘経験

そして、武の呼吸


俺は今、どれだけできるようになったのか

それを試したい



『始めるよ』

ミィからのメッセージ


その直後、ドローン映像から事務所内の女が動く様子を確認

作戦開始だ


俺は小型杖を振って、魔法弾を四階の事務所の窓の上の壁に当てる



ビョオォォォォォン!



俺の体が四階の高さまで一気に引き寄せられる

力学属性引き寄せの魔法弾だ


とても使える魔石で、俺の使用頻度ナンバーワン候補だ

だが、このばねのような音がちょっとバカっぽく感じるという欠点がある



ガシャァァァン!


「うおっ!?」 「きゃっ!?」



事務室の窓を蹴破って飛び込む

背中を向けていた男に飛び蹴り、そのまま後頭部を叩きつけて失神させる


だが、女の動きが速かった

机を飛び越えながら、持っていたナイフを投げつける



「くっ!」


横っ飛びに避ける

女が銃を抜いたのが分かった



射線から体を逸らし、流星錘を投げつける

女が反応して避けるが、縄を思いっきりくねらせて錘を振る



ガッ!


「うあっ!」



女の肩を錘がかすり、体勢を崩す


…勝負だ



飛び込み


裏拳で銃を弾き飛ばす


女のハイキック



…こいつ、格闘術の使い手か


俺は回転しながら沈み込み、足首を刈る水面蹴り

後頭部から落とした女の腹に一撃


事務所内は制圧完了だ



「終わった?」

入口からミィが姿を現した


「ああ、終わってる。そっちは?」


「魔法使いを一人拘束したわ」


玄関前の廊下に、スーラの粘液で拘束された女がちらっと見えた


「ここは俺達が調べるのか?」


「まさか。今回の壊滅作戦の本部に連絡したから、まもなくマフィア担当の刑事たちが来るはずよ。引き継いだら、私たちの本当の目的の場所に行きましょ」


「分かった」



ちなみに、俺が戦った女は氣力を使う氣法師だったらしい

氣力の専門家、氣力を使った物理的は攻撃、氣脈に干渉する氣脈と秘孔への攻撃を行う


氣力を使われる前に倒せてよかった

鍛えた技ではなく、慣れない銃を使ったのがこいつの敗因だ

相手の俺が、軍時代に銃に慣れているというのも理由だったな



マフィアを警察に引き渡し、俺達はすぐに出発


ファブル地区の東側、郊外にある施設にやって来た

この施設は、神らしきものの教団の龍神皇国ファブル支部だ


ファブル地区でもかなり田舎の方で、町から少し離れている



「結構、人の出入りがあるな」


「表向きはただの宗教施設。神らしきものの偶像を奉っている場所だからね」


「うーん、神社や教会みたいなもんか? 俺からすると全員狂信者にしか見えないけど」


「普通の一般的な宗教と変わらないわ。だから、大崩壊後の一斉立ち入り調査でも何も出てこなかったし」



大崩壊…、現在は龍神皇国に組み込まれた、シグノイアとハカルを襲った人為的な大災害


その黒幕は、龍神皇国の貴族であったムタオロチ家、そして神らしきものの教団だった

ムタオロチ家はすでに貴族としての資格を剥奪され取り潰しとなっている


そして、神らしきものの教団については、龍神皇国内の施設において一斉調査が行われた

しかし、大災害に関わったとされる証拠は出てこず、監視対象団体となり活動を縮小させたものの、現在も活動は細々と続いている



「…証拠が出なかっただって? あれだけ教団側の戦闘員が活動していたのに…」


シグノイア、ハカル内において、教団に所属する戦闘員が暗躍

俺達防衛軍とも何度も戦闘になった


「正確には、龍神皇国内の施設に証拠がなかったってことよ。あの教団の本部はギアにある。大崩壊に関わる活動は、龍神皇国やシグノイア、ハカルの教団施設を介さずに行っていたみたいなの」


「…ずる賢いな。それで、活動の停止を免れたってことか」


「ギアの本部を叩かないと真相は分からない。ただ、教団本部の意向とは関係なくボランティア感覚で活動している人たちが多いってことよ」


「それにしたって、あの大崩壊を起こしておいて活動を続けているって…」


「もちろん、大崩壊の件でいくつもの施設が閉鎖されたし、信者もごっそりと減った。逆に言えば、まだ活動を続けている施設はヘビィな信者しか残っていないってことね」


「なるほどね」


ミィが、買ってきていたミルクティーを渡してくる


「お、サンキュー」


「…潜入は夜。計画は、資料を入手してバックレる」


「力技だな。泥棒すんのか」


「他に方法が無いでしょ。マイケルさんの土地で何をするつもりなのか、急いで調べないといけないし」


「分かった。じゃ、夜まで寝るわ」


「今回、上手く悪事の証拠が分かれば、龍神皇国内の教団施設をもう一度強制立ち入り捜査ができるかもしれない。そうしたら、更に信者を減らせるし施設の数も減らせる。弱体化のチャンスよ」


「教団を潰す…、俺にとってはモチベーションが違う。それに、こういう地道な活動は性に合ってるよ」


巨大組織の頭を討って、はい終わりとはならない

地道な活動が実を結ぶのだ


シグノイアでの軍時代でも、地道な調査活動(裏仕事)で情報を集め、ムタオロチ家と教団の悪事を暴いたんだ



「…ラーズ、大変」


「え、何?」


「トイレ行きたい」


「モンスターハンターの活動中につかう簡易トイレ使う?」


「女にそんなもん使わせるな! コンビニ行ってよ」


「最寄りのコンビニ、ここから三十分くらいかかっただろ!?」


俺達は、時間を潰しながら夜を待った




参照事項

教団 四章 ~15話 教団のその後

マイケルさん 四章 ~36話 教団対策会議一回目

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