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ですペア ~遺伝子工学型強化兵の苦悩~ 大魔導師、宇宙兵器、大妖怪、異世界騎士、神竜…即死級対象が多すぎる!  作者: ロロア
四章 宙(そら)は暗かった、惑星(ほし)は青かった、そして神(っぽいの)はいた
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四章 ~23話 ミィとのクエスト

用語説明w

シグノイア純正陸戦銃:アサルトライフルと砲の二連装銃


ミィ:龍神皇国騎士団経済対策団のエース。戦闘能力はそこまで高くないが、経済的な観点で物事を考える。海の力を宿したオーシャンスライムのスーラが使役対象

データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI


「それで、どんなクエストを受けるんだ?」


「この、ゴブリンの巣の駆除なんかいいじゃない」

ミィが答える


「わざわざ二つ名持ちの騎士様に同行してもらうなんて、申し訳ないよな」


今日はミィと一緒にクエストに行く


クエストとは、騎士団や軍隊、一般のモンスターハンター達に出される任意の依頼のこと

基本的にはモンスター討伐を内容としたもので、国が運営する冒険者ギルドと呼ばれるシステムで管理されている


冒険者ギルドとは、大昔の冒険者たちが集まるギルドで依頼を受け付けていたという歴史から、クエスト受付のシステムをそう呼ぶようになった

騎士団、軍隊、モンスターハンター達の組織を跨いだシステムであり、同じクエストの重複受注や、現場での誤射などを防ぐ役割も担っている



「ふふん、感謝してよね。騎士様という私の権限で、面倒ごとを全てスキップしてモンスターハンターの資格が取れるんだから」


モンスターハンター資格


各国には、立ち入り制限地区が設定されている

これはモンスター達が徘徊する地域であり、かつ、人対がモンスター達に対して不干渉を決めた地域でもある

当然、危険度が高いため一般人に立ち入りは禁止されている


しかし、人類や町、インフラなどに危険が及ぶモンスターが確認された場合、この立ち入り制限地区に入り込んで狩る必要がある

騎士団と軍属は立ち入りが認められているが、その他の者が立ち入る場合にはモンスターハンターの資格を取る必要があるのだ


ちなみに、同様の資格にゴーストハンター、バウンティハンターがあり、この三つは全国共通で効力を持つ

そして、なんと俺は、大学の時にゴーストハンター(初級)の資格を受けている


このハンター資格を二つもつ者はツインソードと呼ばれ、資格コレクターの間ではちょっとした憧れだ

更に三つ全部を取るとトライデントと呼ばれて、一目置かれたりする



「まさか、軍時代に散々立ち入り制限地区に入っていたのに、今更資格を取る羽目になるとは…」


「軍時代に取っておけばよかったのに。実技試験とかが免除されるんでしょ?」


「必要性が一切無くて、取るって発想が無かったよ。何度もモンスターを狩りに行っていたし、立ち入り制限地区と認識しないで入っていたくらいだからな」



今回は、騎士団の騎士様同行という条件で、クエストを達成すればモンスターハンター中級の資格を得られるように手配してもらった

立ち入り制限地区に入るためには中級以上の取得が必須であり、これを取らないと話にならない


ちなみに立ち入り制限地区に武器無しで人間が入ると、数時間以内にはモンスターに襲われる

危険度はその他の場所とは比べ物にならないため、中級以上取得の条件は妥当だと思う



俺が車を運転して、三十分ほどで目的の場所に着いた


立ち入り制限地区に入ってすぐの岡の近くに小さな洞穴があり、そこにゴブリンが集団で住み着いたらしい

立ち入り制限地区を出てすぐの場所に道路が走っており、少し行くと小さい集落もあるためクエストが出されたのだ



「ラーズ。頼まれていたものよ、これでいい?」


ミィが、自分の倉デバイスからアサルトライフルを取り出した


「おー…、これこれ。サンキュー」


この銃は、通称を陸戦銃という

正式名称はシグノイア純正陸戦銃といい、シグノイア防衛軍で正式採用されている銃だ


連射の効くアサルトライフルに、グレネードと散弾のどちらかを装填できる砲の二連装銃

量産品だが、使い慣れた俺の相棒だった


ちなみに、俺は量産型を信頼している

軍隊という大人数で使い続けることによって、不具合や不親切さを改善し続け、新しい競合製品が出る中で採用を勝ち取り続けている銃だ

中途半端な一品物とはトライアンドエラーの試行回数が違う


壊れても修理部品が豊富にあり、軍の仲間から規格の合う弾丸を受け取れる

何度も俺の命を救ってくれた名銃だ



俺達は、森の中を進んで目的地に向かう


「データ、ドローンを飛ばしてくれ」


「ご主人、了解だよ! 情報収集しとくね!」


うむ、この感じが懐かしい

データに面倒ごとを任せて、俺は戦闘に向けて集中する


人間の脳はシングルタスクに優れると痛感している

要は、並行していろいろやろうとすると失敗するってことだ

データがいてくれるだけで、俺の仕事効率は格段に上がる


「…久しぶりのはずなのに慣れてるね。体調は大丈夫なの?」

ミィが後ろから話しかけてくる


「軍でずっとやっていたから身に付いてるよ。体調も万全だしな。ミィこそ、普段は現場に出ないんだろ? 大丈夫なのかよ」


ミィはBランクの騎士であり、使役対象のオーシャンスライムのスーラもいるため戦闘能力はそれなりにあるらしい(俺は実際に戦ったところを見たことはないが)


だが、普段の仕事は騎士団の経済対策団、要は素材の売却や騎士団が扱う保険や金融、その他の商品を扱っている商社のような部門を担当している

クレジットクイーンの二つ名は伊達ではないらしく、騎士団は過去にないほどの利益を得ているらしい


そういや、騎士学園時代からこいつは小金稼ぎがうまかったな


「まぁ、ラーズと違って私は闘氣(オーラ)が使えるからね。スーラもいるし、Bランクモンスターにだってそうそう負けないわよ」


「ミィは戦闘が苦手な、どっちかというと俺よりだったのに…」


騎士学園時代、一緒に組んでいた戦闘特化の破壊兵器であるヤマトとフィーナのおかげで、俺とミィは補助に回っていた

それが嫌というわけではなく、パーティとしてもいいバランスだった


「もちろん、戦闘特化の騎士には負けるわよ。でも、闘氣(オーラ)を使えないラーズに心配されるほど弱くはないってこと」


「へいへい。お、あれだな」


森が終わり、小高い山の前に洞穴と広場が見える


「じゃあ、やり方は任せる。私はここで見ているから」


「…ミィ、闘氣(オーラ)とは違う強さを見せてやるよ」


「へ? …強気だね。怪我とかしないでよ」


俺は流星錘を準備し、左手にはラウンドシールドを取り付けて陸戦銃を持つ



「データ、敵の数は?」


「入口の一体のみ。周囲を確認するも、他の出口は発見できないよ!」


「了解」


ヴァヴェルを身に纏い、足にはホバーブーツも履いている


軍時代の装備が戻って来た

高揚感がある


あの頃にでも戻った気分だ

戦場はいい、あの施設からの開放感を改めて感じる



ドォンッ!



アサルトライフルで、見張りのゴブリンをヘッドショット


「ご主人、洞窟は直線で奥が広くなってるよ! 熱源を確認!」


AIのデータは、俺のPITにインストールされている

そして、俺の肩に取り付けられた四角いアバターのカメラで周囲を見ている

このアバターにはサーモ機能も付いており、洞窟内の熱源をある程度確認できる


データの言う通り、熱源の原因であるゴブリンたちがぞろぞろと洞窟から出て来た



大人の個体である何匹かが武器を手に俺を威嚇する


こん棒を持ったゴブリンの攻撃


ドォン!


錆びた剣


ドォン!


石斧


ドォン!



ドォン!



人間の道具や手製の武器を持って向かってくるゴブリンの頭を撃ち抜いていく


アサルトライフル、昔は連射でばかり使っていたけど、単発で使うのもいいな

以前よりも落ち着いて対処できている気がする


「…お、ボスか?」


奥から、人間よりも大きいゴブリンが這い出してきた

ホブゴブリンだ


クエストの依頼内容に大型の個体を見たという情報があったため、ホブゴブリンの存在は予想していた

こいつを倒せば、この群れは戦意を無くして森の奥に逃げて行くだろう


モンスターは食物連鎖の一部

そして、素材を提供してくれる貴重な資源だ

むやみに狩る必要はない


もちろん、奥地に逃げても他のモンスターに狩られる可能性は高いのだが…

弱肉強食は世の常だし



俺は陸戦銃を倉デバイスにしまう


「ゴアァァァッ!」

ホブゴブリンが殴りかかって来る


こいつは素手の個体だ

それなら、俺も素手で相手をしよう



変異体ドラゴンタイプの五感での観察

挙動、呼吸、姿勢から動きを読む


武の呼吸


集中、生存競争の始まりだ



パンチを振り始める一瞬前に半歩前進

間合いが詰まってパンチを当てにくい場所に移動


無理矢理振るった拳を潜ってホブゴブリンの真横につく

右の太ももを担いでタックル



ドォッ!


「グゴッ!」



倒されたホブゴブリンの両目を五本の指で薙ぐ

潰せないが、少しの間視力を奪う


そして、拳を振り下ろす


もう一度


もう一度



「ガァッ!」


たまらず、ホブゴブリンが右腕で俺を掴もうとする


その腕を掴んで立ち上がり、肘を外側から蹴り折る



ボギィッ!


「グギャァァァッ!」



勢いと痛みでうつぶせになったホブゴブリン

後頭部と延髄という最大の弱点を狙って、足刀を叩き込む


痙攣しながら、ホブゴブリンの体から力が抜けた



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― 新着の感想 ―
[良い点] 特注品でなく量産品を愛用している所がラーズって感じがして最高です [一言] 新着更新順に乗ってて下さり本当にありがとうございます。こういう物語大好きです!
[一言] これでラーズがオーラ使えるようになったらと考えるとワクワクするわ〜
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