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1 序章

目を開けた。




足元には小さく笑う顔とぼんやりとはっきりしない視界。


光とともに顔が砕け散り、まっくらな俺が地面に聖剣を突き立てている風景が出来上がった。



ああ、まおうを、たおしたのか。



どこからともなく、生暖かい水が聖剣に透明な線をつくった。


右腕が魔物の血みたいな朝焼けの青紫に染まった。




ごめんね と こえが した きが した




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



世界で今1番流行っている魔道具、異界水晶。


スイッチを押し、魔力をこめれば全く違う世界に飛び、全く違う自分になれる。


その世界で何をしようと勝手気まま。


どの世界に飛んでもいい。


設置方法も簡単。


コンセントにプラグをさして、魔法陣に横たわるだけ!


さあ、あなたも全く違う自分になろうよ!!


ーーーーーーーーーーーーー


全く違う自分に、ね。


気持ち悪いほどやわらかいベットに横たわり、コンセントにプラグを乱暴に差し込む。

顔の横に水晶をおき、スイッチをいれ、水晶の上に手を置いて、魔力を流し込む。

少々流し込みすぎてぴしりと音がしたきがしたが、気にしない。

ため息か深呼吸か自分でもわからないのをして。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


……



……ん、…………


青。空だ。

緑。野原だ。

白。雲だ。


包み込まれるような、圧迫感がする空には、お行儀よく整った形の入道雲が蠢いている。

気味が悪いほど草の長さが変わらない若草色の野原が地獄までもずっと広がっているみたいだ。


ちゃんと異界水晶は起動したようだ。

もらいものだったために動くか心配していたが、何事もなく良かった。


「こんにちわ!ボクはナビのスイションだよ!よろしくネ!」


目の前に急に現れたそのナビとやらは、丸くカットされた水晶の形だった。安直すぎる。


「マジックトイカンパニーの異界水晶を使ってくれてありがとう!異界水晶の使用方法について、教えるね!」


口もないのにどこから響くのか分からない音が聞こえてくるのは不快だった。全く聞かずにその場をやり過ごして10分ほど経っただろうか。






「さて、これは大切な話だから、よく聞いてね!」


スイションとやらがそう言った瞬間、




ーー紅くなった。


空、雲、野原、自分の体、全てが夕焼けが当たったかのように紅い。紅く染まったスイションが自分の回りを取り囲んでいた。


「きみはある実験に招待された」


「なぜかって」


「わからないのかい?」


「きみはいくつの命を奪った?」


「きみは何人殺した?」


「覚えてないだろ?」


「だからさ」


「きみは」


「「「「勇者だろ?」」」」







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