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第3話 目元

 ニット帽の男は、徐々に早歩きとなり、周辺視野を活用した尾行確認を頻繁に行いながら、大通りを避け、路地から路地へと抜けていく。


 外事2課側も応援チームを投入し、頻繁に担当を交代させ、距離をおいた慎重な尾行を継続させていく。本当は近くの距離から数名チームで完全な行動確認を行いたいところだが、尾行に気づかれてしまっては、組織を辿ることができなくなる。


 男は路地を足早に抜けながら、同時にコートを脱ぎ、裏返して、またコートを羽織る。地味な茶色のコートが、明るい赤いコート姿となる。


 男は、歩きながら頻りに顔をこすっているが、後ろからだと何をしているのかわからない。


 すると、男は、何を考えたのか、駅前の公衆トイレ、それも女子用に入っていく。


 一番怪しまれないであろう勇者が、少し時をおいてから女子用の公衆トイレに入っていくと、3か所かの個室の扉が閉まっている。手洗いでメイクを直している振りをしながら、閉まっている個室を目を配る。


 すぐに、一つの個室の扉があく。20代の女性。これは明らかに関係ないので、監視対象から外す。残りは2つ。


 次に、ほぼ同時に、二つの個室の扉があく。出てきたのは、ニット帽姿の中年女性と、大き目な旅行鞄を持つ勇者と同年代の小柄な少女。


 ニット帽姿の中年女性は、身長は尾行していた対象とほぼ同じぐらいだか、体つきがすこし細い。服のなかに綿でもいれて、これまで男性の後ろ姿のような偽装していたのであろうか。顔はおそらく特殊メイクをしていたのだろう。


 中年女性と小柄な少女が手洗いに向かうタイミングで、手早く手を洗い、怪しまれないように先にトイレから出る。


 トイレから出る瞬間、何か言い知れぬ違和感を感じる。


 目元だ。


 こまで尾行していたニット帽の男の目元に似ていたのは、中年女性ではなく、小柄の少女の方だった。







NHKの『ミアタリ』を参考にしました。


一応補足すると、大使館二等書記官の男とニット帽の男の尾行確認有無の差は、スキルの差ではなく、役割の違い。


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