内定取消されたけどよく考えたら働きたくもなかった件
この度の、コロナウイルスで内定取消がどうだのと騒がれており、丁度私も今年入社予定の一人で内定が取り消されないかビクビクしております。
でも、取り消されたら取り消されたで働かなくても補償金で儲かるし、もともと、そんなに入りたい企業でもないし。まぁ、いっか。という気持ちを書きました。
2022年2/1新しく歴史に刻まれた厄災の日。
グローリーショックと呼ばれたその厄災は2008年のリーマンショック以降はじめての世界的金融危機であった。
グローリー・マックリアと呼ばれるアメリカ合衆国に本拠地をおく投資銀行がある日経営破綻を起こす。
それに、端を発した世界的大不況の波はもちろん、日本にも影響を与えていた。
「あーー、働きたくねぇ。」
それは、2021年1/31の深夜。既に今年入社予定の会社の内定をとったボクは、ダラダラとゲームをしながら呟いた。
年々続く人手不足のおかけで大学生活で小説を読んでしか来なかった底辺大学生のボクでもなんとか数社から内定をもぎ取り、その中から比較的行きたい企業を選んでいた。
売り手市場などどいっても落ちに落ちたが、内定をもっているのだ。それでいいだろう。
しかし、別に行きたい企業であった訳でもない。いや、行きたい企業なんてなかった。叶うならばひたすら布団の上でネットにゲームに惰眠の日々を。
もちろん、そんなことは叶わないから適当に就活支援サイトで出てきた会社に受けまくったわけだ。
やりたいこともない、不満が無くはないが別にそれを解消したいともおもわない。怠惰であるが、しかし、日本人なんて大抵こんな奴ばかりだろう。
少なくとも、ボクの周りではこんなやつばっかりだ。やりたいこともない、出来ることもない。そんな就活生でも内定をもぎとっている。
しかし。
そんな、奴等にモチベーションなどあるはずもなく。
今日も今日とてボクはこう呟くのだ。
「はぁーー、働きたくねぇ。」
「働けなくなった!!!」
そんなことを言っていたから神様が願いを聞き届けてくれたのか。
2/14のお昼頃、連日報道されるグローリーショックの特集を見ていた丁度その時だった。
ピピピピピ。
そんな、簡素な機械音がなりびく。
ふと、スマホのディスプレイに写し出されていたのはボクの内定先の企業だった。
「はい。もしもし。」
「ああ、宮之原くんですか?人事部の山川です。今大丈夫ですか?」
「あ、山川さん。何時もお世話になっております。宮之原です。今大丈夫です。なにかご用でしょうか。」
何時もより少し固い山川さんの声。新しい歓迎会的な奴の連絡だろうか。
「そうですか。それではですね。非常に申し上げにくいんですが、この度のグローリーショックの影響を鑑みてですね。今年度の新卒採用人数を減らすことが決定致しました。非常に申し訳ないのですが、宮之原くんの内定を取り消しさせていただきたくご連絡いたしました。」
「はぇ?」
い、いまなんて?内定を取り消し?それって、卒業できなかったり、犯罪行為を行ったらされる処置じゃないのか。ボクなにも悪くないぞ。
「ということでですね。内定取消承諾書の方にサインをお願いしたいので、先程送らせて頂きました。そちらに到着しましたら、サインして、こちらの方にご郵送ください。」
ということでですね。じゃない。お前の中じゃあもう決まったことなのかも知れないけど、ボクはなんも納得してないぞ。
「え!ちょっ、ちょっと待って!」
「それでは、失礼致します。」
き、切りやがった。
いい大人のすることかよ。せめて、ちゃんと説明してくれ。
え?これってつまり、どういうこと。これって、もしかして。
「働けなくなった!!!」
そして、ボクは内定先を失った。
その日はカオスとしかいいようがなかった。
帰ってきた両親にその事を伝えると、気の弱い母は泣き崩れ、厳格な父はボクに
しっかり会社を見て選ばないからこうなるんだ!
と、数十分罵声をあびせていた。
いや、あんたボクの内定先を聞いて、その会社なら安定してそうだな。なんていってたじゃん。
唯一、妹だけは大爆笑していた。
しばいてやろうかと思ったけど。なんか、混乱しすぎでこっちまで面白くなってきたので許した。
あいつ、性格悪すぎだろ。
その日から、ネットで色々情報を漁ったら、色んな情報を得ることができた。
まず、どうやら内定取消になったのはボクだけじゃないみたいで、トゥイターは阿鼻叫喚の怨嗟飛び交う地獄になっていたし、ネットニュースなんかでは、現政権の対応の不味さをあげつらうコメントが目立った。
次に、内定取消承諾書はサインしてはダメでサインする前に大学のキャリアセンターとか、ハロワに駆け込んで抗議する必要があるということ。
最後に、ボクの友人は軒並み内定を取り消されていたことだった。
死にそうな顔と声で内定取消になったことを報告した友人を見たときは妹の気持ちがすこし理解できた。
というか、爆笑したら、殴りかかってきたので全力で逃げた。妹よ。ボクが優しかっただけなんだよ。もっと、お兄ちゃんをうやまってね。
さてさて、多くの大学生の抗議と、大学、ハロワ、世論の後押しもあって、大抵の企業からは補償金があり、企業は補償額などの詳細を外部に漏らさないようにと元内定者に言い含めたが、このネット社会でそんなものは意味を持たず多くの大学生が企業毎の補償額を言い合いランキングまで製作された。
こと、ボクも補償金をもらった。
その額なんと、400万円!
どうやら、補償金は税金がかからないらしく全額自分のものになった。
予想よりも遥かに大きい金額になったのは、うちの企業で同じく内定取り消しになった元内定者がナイフをもち本社に突撃したという、伝説が生まれたためであるらしい。
なお、ネット上で一瞬身バレされたその男は鈴木大輔。内定者懇親会でも結構しゃべったこともある。
ありがとう、レジェンド鈴木。永遠に。
さてさて、働くこともなく、一瞬で手元に400万もの金が残ったが、奨学金や親への借金をさっ引くと数万円しか残らない。
ただ、今回のグローリーショックのおかけで今年と来年卒業の世代は多くの学生が利用していた日本奨学金組合奨学金の全生徒無利子化が行われ、その上一定の収入を得た段階からの返済となり、昨日大学を卒業して晴れて無職プーとなったボクには現在支払いの義務はない。
なお、卒業式も阿鼻叫喚だった。
ボクもビックウェーブに乗ってモヒカンの世紀末ファッョンで卒業式に出席した動画をアイチューブにあげると一夜開けて60万再生いった。
なお。いまも、延び続けている。
さてさて、これから、どうしたものか。そう考える。
お気付きの方もいるかもしれないが実は、そんなに焦っていない。
もちろん、内定取消当初は頭が真っ白になったし、暗い室内で一日中ボーッとしていた。
しかし、そんなある日、つい口癖で、
「あー、働きたくねぇ」
って、言ったとき。ボクはおもったんだ。
「あ!働かなくていいわ。」
って。
一瞬で400万稼いだし、色々調べてたら日本ならなんとでもしていきていける。最悪生活保護ったらいいだけ。
うわ、人生楽勝じゃねぇ?
っていうか、働きたくもない会社で働けなくなったなったんだから、これは無理して働くなってことだろ。
そんな、結論に至ったボクは人生やりたいことだけして生きていく決意をしたのだ。
「まずは日本一周!」
買った単車とキャンプ用品でまず日本一周する。これまでは家でゴロゴロしてたけど、今日からボクは旅にでるぜ!!!!
「ぷはは。まじでいくつもりなんだ。お兄ちゃん。まあ、なにかあればいつでも連絡してね。ふふふ、面白すぎ。」
唯一の見送りである爆笑している妹を尻目にボクは人生の旅にでた。
お読み頂きありがとうございます。
私は、幸せとは企業に依存するものではないと考えています。それ故に、内定を取り消されても不幸であるとは限らないのではないかと思います。
幸せな人生を求め、行動することだけが私達を幸せにしてくれるのではないでしょうか。
と、綺麗事を書きながら内定取り消されないといいなぁなんてことを考えています。