冒険の旅5・6日目、北の都カトス 魔法学園と訓練迷宮 (迷宮の中で後編・新しい自分前編)
やばい雰囲気をかみしめながら俺はレーダーを見て道を示す。
冷や汗がでまくりだ。
「前方200メートルを右の通路へ」
「その先100メートルで左だ。」
フレアから撤退の指示が出てから、約20分。
現在、帰路へ向かって慎重に移動中だ。
「アイト君、例の部隊は来てる?」
「ああ、俺たちが撤退しだした後から動き出した。」
「フレア様、斥候が出ている可能性がありますわ」
「サーチが使える魔物がいる可能性は無いでしょうか?」
「ああ、リーナが言うとおりだな。」
「どうにもあいつらの動きは怪しい。」
「ミル、コブリン系以外に魔物の気配は感じないかしら?」
「フレア様。ちょっと気になる感じがある。」
「でも私の力では対象を断定できない」
「アイト様の方で何かできる手段は無いでしょうか?」
ミルちゃんは、何か感じているのかな?
「サーチの能力は俺が会った魔物系しか断定できないみたいだけど」
「何かがいる事はわかるみたいだ。断定する方法を探してみるよ。」
こういう時はチートアイテムに頼るしかない。
おっとそういえば、アイテム検索ができたな。
例えば・・・鑑定しながらサーチする機能とか。
できたら俺に代わってナビゲータしてくれるものないかな。
ないか、ないか・・・焦るな俺。
うーん、魔法の流れを読むアイテムとか?!
ひょっとして魔物同士が通信しているとかなら魔法に流れがあるのかな?
サーチを使った時、賢者様にはすぐにバレたよな。
それも魔法だからだ。
魔法探知のアイテムで検索。
それとナビが欲しいな。
俺が確認して、指示しながらでは、負担が大きいしロスが出る。
指示支援をするアイテムで検索。
これ複数項目を多重検索が出来るのは嬉しいぞ。
これだけアイテムがあるんだ、そのうち何か探してくれるだろ。
ピコンッ
おっとヒットしたあ
まずは、魔動波探知器。
見た目はメガネだなこれ。
よし出て来い。
シュッ
なんだ、装着装備なのか?!
「うわーっ、視界が」
「アイト君、どうしたの?」
「アイト様?!」
「いやフレア、リーナ驚かしてごめん」
これサーモスタッドみたいなものか
温度じゃなくて魔法の波動が見えるんだ。
光ってるこれが波長で、光の色が濃いのが魔力かな。
ピコンッ
あれっまた何かアイテム検索が反応した。
行動支援機??
なにこれ、俺がナビ欲しいからって検索したからヒットしたのか?
とにかくこれも選んでみるか
これは飾り物型のアイテムなのか?
ブローチ?
シュッ
あっこれも自動装着なんだ。
防具に勝手にくっついてるし、光ってる。
これはアレだ、〇ルトラマンのカラータイマー
・・って冗談言ってる場合じゃない。
この光ってるのが起動スイッチか、これを押せばいいんだな。
ポチッ
げっ探索装置とメガネが吸い込まれちゃった。
「あーっ なんだこれ?」
「アイト君、またなの?」
「アイト様、こんな時に何を・・って、この光の玉は何でしょうか?」
「いや、フレア、リーナたびたびごめん。」
「俺にも何がなにやらわかってない」
「アイテムが消えて、光る玉が出た。」
使用者をアイト様で登録しますか?
Y/N
は?これどこかであったパターンだな。
あー俺のアイテムを登録した時だ。
使用者認定に関係あるのか?
こんな選択ならYしかないだろ
しかし、選択式はやめてほしい、いちいちドキッとするから
「ナマエヲツケテクダサイ」
指示支援で出てきたんだから、最初から「ナビ」しか思い浮かばない
「リョウカイシマシタ、ワタシハ、ナビデス」
「わわ、光の玉から音声が・・・。」
「だけど・・片言、聞きにくいからやめてほしいんだけど
「これってララシア様の趣味なの?」
「ナビ、メイドちゃんたちみたいに普通に話せない?」
「了解です。アイト様。」
「何かご命令を」
できるんかーい!
おおっと、そうだった。
どんな機能があるのかわからないけど・・・聞いてみよう
「敵の位地確認と報告」
「それとこちらの場所を察知している者が無いか探索してくれ」
「了解、ただ今こちらに複数の魔物が向かっています。」
「いやそれは知ってた。」
「魔物のいない方向を指示してくれ。」
「それと、敵の探索者発見しました。」
「なにっ」
「極小の生物、昆虫系の魔物です。」
「こちらへの直接の危害は無いのですが」
「そこから魔動波が敵魔物群へと流れています。」
うーん、俺たちに小さな虫を見つけるのは難しいな
「ナビ、お前がそいつを攻撃できないか?」
「出来なければ、何か方法を示してくれ」
「攻撃できますが、アイテムが足りません」
アイテムがあるならなんとかなるのか?
「俺が所持しているアイテムの中から何か選択できるか?」
「自動検索及びアイテム装着の許可をください」
「やるやる何でもやるから、お前の機能を最大までアップしろ!!」
「了解しました。機能を最大までアップします。」
シュッシュッ、ピコンピコン、キィーン
ピカッ!!ピカッ!!ピカッ!!
「周囲にいた昆虫系魔物を廃棄焼却。」
「敵魔物群の動きが止まりました。」
「アイト君」「アイト様」
「何ですかこれはっ!」「説明してください!!」
「ああっ ごめん俺にもよくわかってないんだけど」
「どうやら俺の支援をしてくれるアイテムらしい。」
「小さな昆虫系の魔物が俺達の場所を連中に教えていたみたいだ。」
「その辺りは、私たちにも聞こえていたのでわかります。」
「ですが、これはなんなの?」
「えっ?」
俺の隣にいるのは・・・・精霊?のような形をした何か
賢者様とララシア様の精霊術を動力としたゴーレムか?・・・
「わたしはアイト様に仕える精霊型支援アイテムのナビです。」
「と本人が言ってる様に精霊ということで・・・」
「精霊が普通に見えることはありません。」
からかったつもりじゃないけど、フレアがめちゃ怒ってる・・・
「アイト様はこのような時に冗談を言うお方なのですか?」
いや、やめてリーナ、俺そんな変な奴じゃないから
蔑んだ目で見ないで
「いや、俺にも何がなにやら・・わかんないんだよ。」
「アイト様、見た目が精霊なのは、」
「デザインしたララシア様の趣味だと思います。」
おおっサンちゃんの助け舟きたー。
賢者様はともかくとして
かなり高位の精霊術師でなければ精霊は光の玉としか認識できない
しかもその光の玉すら認識することが出来ないのが普通なのだ。
だから今、目の前で飛んでるこの精霊は紛れもなくゴーレム技術でできたものだ。
精霊AI搭載のやつに違いない。
メイドちゃんたちと似たコンセプトで作られたんだろうけど
戦闘系ではなく、俺を助ける役目をする支援ゴーレムがあるんだな。
「俺にもよくわからないが、この精霊はたぶんだけど・・」
「ゴレーム技術で作られた疑似精霊だと思うんだ。」
「なるほどですわ。」
「精霊を見たことはないですが、文献に出てくる小人に羽のある姿なので驚きました。」
さすがに頭がよさそうなリーナは納得が早い。
「ナビ、おまえ他に何が出来るの?」
「アイト様の支援です。あと魔法が少し使えます。」
「ちなみにどんな魔法なんだ?」
「光系精霊魔法でしたら可能です。」
「えっ、じゃあ回復とかもできるのか?」
「もちろん出来ます。」
「私はアイト様が困ったときに」
「お助けできるように支援を行うように作られました。」
「その中で一番優先されることは、生命の危険を回避することです。」
ここで俺は気が付いたんだが
「メルダ姉さん、これの事何か知ってたんじゃない?」
「バレちゃったか・・(てへっ)」
「困ってるアイトの顔がかわいくて、何も言わずにいたんだけどな。」
「だよねー。俺たちが切羽詰まりだしてたのにニヤニヤしてたもんな。」
「メルダ姉が強いから、いざとなったら魔物殲滅できるだろうし」
「余裕があるだけかと思ってたよ。」
「いやいや私だけじゃないでしょ、強いのはその子もでしょ」
こう言ってメルダ姉が指をさしたのは、サンちゃんだ。
「えっメルダ様、この幼いメイドが強いですって?!」
フレアが驚くのも無理はないだろ。
見た目がロリメイドでしかないからな。
「今は基本装備しか装着していないからAクラス相当だけどねっ。」
「ねーアイト。(ふふふん)」
ああ、俺の中のメルダ姉のしっかり女上司キャラが崩壊していく
しかも、肝心なことは言わないのに、なんて口が軽いんだ。
きっと俺を困らせて楽しんでるんだな。
「メルダ姉、あんまりだと、もう口きかないからね。」
「あうっ、アイトー、それはないだろ・・・許してくれ。」
うわっ抱き着いてきた。
「もう、アイト君。メルダ様とじゃれてないで撤退行動中でしょ。」
これはフレアが怒るのも無理はない。
「アイト様、私もそう思いますわ。帰還支援をお願いします。」
「先生も協力してくださいますわよね。」
リーナも語気に少しトゲがある感じになってるな。
「ああ、わかったわかった。」
「傍観するだけじゃなく、助けに入ろう。」
「これだから若い娘は・・・(ボソッ)」
今、コソッと言ったの聞こえてるよメルダ姉。
まあとにかくだ、何とかしないとな。
「ナビ、今撤退行動中なんだ。出口まで案内を頼む。」
「安全な道を示しながら、さっきみたいに昆虫を見つけたら排除してくれ。」
「了解、では私が先行しますのでついて来てください。」
こうして俺たちは再び移動を開始した。
今までとは違ってかなり余裕が出来たのは嬉しい。
「アイト様、魔物群を回避して移動が出来ましたが」
「出口付近で待ち構える魔物群とは戦闘が必要です。」
「4階層へ上がる階段の前の大部屋か?」
「はい、分散していた魔物群がそちらに集結しているようです。」
「きっと私たちの場所がわからなくなったから、待ち伏せに変えたのね。」
「フレア様、それならその場所までは安心かと」
「それまでに相手の情報を収集して、対策を練りませんか?」
リーナって本当に同じくらいの歳なのか?冷静すぎるだろ。
まあ、俺の中身も18歳だし、実年齢は聞かないことにしておこう。
異世界の種族の年齢を気にしなくなったのは、俺が成長した証だ。
「では、部屋の中で待ち構えていると言うなら・・」
「その部屋の入口から、遠距離範囲攻撃しましょう」
うんうん、確かに狭い入口なら大軍に囲まれる危険はない。
「前衛は部屋から外に魔物を出さないようにしてください。」
なんだかんだ言っても、
フレアもこういうしっかりしているところが子供とは思えないな。
見た目と実年齢が合わないことは既に学んだ。
だって、賢者様やララシア様の例もある・・。
俺は、この手の疑問には自己完結することにしたんだ。
歳のことは考えない。
「じゃあナビ、先行を頼んだ。」
「現地に到着したら回復支援をしてくれ。」
「それとサンちゃんは、部屋前で最終装備に変更してくれ。」
「これで、リーナも攻撃に専念できるわね。」
「あら、私だけじゃなくてメルダ先生もいますから。」
「先ほど確約していただきましたしね。」
「ああ、しかたがない。今回だけだぞ。」
こうして俺たちは目指す部屋の前まで行くことになった。
「アイト様、敵魔物群まで距離100」
「周辺の魔物はすべて終結が終わったようです。」
「よしっ、ナビ、敵魔物群の構成詳細を出してくれ。」
「ホブコブリンが、280」
「コブリンナイト40、コブリンマジシャン30、コブリンアーチャー50」
「コブリンジェネラル3」
「コブリンキング1」
「えっ?!キング??」
「えええええ?」
驚くのも無理はない。
「近くまで来なければ判明できませんでしたが」
「コブリンキングで間違いないです。」
「一番悪い予感が当たったな。」
「指揮系統が無ければこんな動きは出来ないだろうと思っていたよ。」
「ただ、この浅い階層で出てくるものでは無いんだけどな。」
「しかも訓練迷宮では初めてのことだ。」
「メルダ姉さん、わかってたなら早く言ってよー。」
「いや、今までの情報を分析したら答えは出ていたのではないか?」
「そうですわね、先生のおっしゃる通りですわ。」
「これは想定出来てました。ただ、信じたくなかっただけです。」
「えーっ、リーナも、わかってたの?」
「アイト君、あなた以外は最悪を想定していたみたいね。」
従者の二人もうなずいている
フレアも従者の二人も想定してのたか・・・。
「アイト様、魔物に動きが出はじめました。」
「部屋の外に出られると面倒ですわね。行きましょう。」
「前衛は、先行して部屋の出口を死守してください。」
「ミルも前衛の支援に回って。」
「残りのメンバーで、魔物の数を減らしましょう。」
「キングと言えども率いる魔物の数が少ないところを見るとまだ若いのであろう。」
「我々全員が力を合わせれば問題は無いはずだ。」
階層が浅いというのは魔物のレベルが低いことを示す。
いくら突然変異であってもレベルが低いのであれば対処のしようがあるということだ。
とはいえキングのような特殊性がある魔物と戦った経験が誰にもない。
頼みの綱はメルダ姉くらいだ。
「メルダ姉さん・・・頼んだよ。」
「よしっ、サンちゃん最終形態だ!!」
「はい、アイト様。」
「先ほどのフレア様の作戦から防御形態で、遠距離攻撃が出来る装備に変えます。」
シュッ
「おおーっ いつみても最終形態への変身はかっこいいな。」
重装盾装備で肩に2連キャノンかー。
見た目は、アニメで見たISだな。
「もう驚きませんわ。アイト君は何でもありと言うことがわかりましたから。」
「いやいや、フレア。俺がすごいんじゃなくてこの子たちがすごいだけだから。」
これで、メルダ姉がSSクラス相当、サンちゃんがSクラス。
竜人のギルカはAクラス相当、狼娘のミルはBプラスくらい。
フレアとリーナはCクラスはありそうだし・・・。
いくらSS級のコブリンキングでも、レベル低けりゃなんとかなるだろ。
まあ俺はザコFクラスなんだけどな。
「アイト様。」
「何だナビ。」
「アイト様の所持アイテムから」
「アイト様用の装備アイテムを出してもいいでしょうか?」
「えっ、そんな物があるの?」
「遠距離支援が出来る装備アイテムをインベントリーから呼び出します。」
シュッン
なんだこれ? まるで銃じゃないか。
「魔法弾を射出する武装アイテムです。」
「魔力が無くても魔法攻撃が可能となります。」
「アイト様の知識ならそれの使用方法は理解できると判断しました。」
「ああ、ナビありがとう。」
これはまぎれもなく銃だ。
トリガーを引けば弾が出る仕組みになってる。
「魔法弾は自動装填に切り替えました。」
「どの種類の魔法弾を使うのか指示を出せば切り替わります。」
インベントリーからの自動装填か、
これなら魔法が使えなくても全く問題はないな。
それと魔法弾の性能や効果は俺の目に写るんだな。
「これならいける。」
「フレア、頼みがある。」
「初撃は俺にやらせてくれ。」
「アイト君は何をする気なのかしら?」
「まず初弾の魔法攻撃で、周辺の魔物を氷らせる。」
「その後に雷撃を使う。」
「これで敵の動きが悪くなるはずだし、後は予定通りの作戦でいこう。」
「なるほどね、面白いわ。じゃあアイト君に任せる。」
「よし行くぞ、氷魔法レベル3(中規模範囲)へチェンジ」
「部屋の中に向けて遠距離攻撃5連発だ。発射!」
ズドン、ズズーン、ズドドン、ズドン、スドーン
「よしっ足止めは成功だ。」
「次に雷撃魔法レベル2(直線範囲)へチェンジ」
「部屋の中に向けて、無差射撃10連発。発射!」
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン・・・・。
ピカピカッ・・・、ビリビリビリィイイ
「フレア、リーナ、後の攻撃は頼んだ。」
「じゃあ私から行きます。とっておきのを出しますわ。」
「水魔法での最大範囲攻撃でいきます。」
「アイト様みたいに連射は不可能なので、広範囲に水刃を飛ばします。」
「水の刃よ邪悪なるものにその刃を向けよ。」
「水龍刃っ」
ヒューン、シュシュシュッ
おおーこんな魔法もあるのか
龍の形をした水が飛んで行って四方に破裂して水刃に変化した。
半数ぐらい倒しちゃったんじゃないか。
「おお、これはすごいなリーナ。」
「じゃあ続いて私ね。私も最大火力でいくわ。」
「私は広範囲の火炎魔法。」
「炎の壁よ我が敵を焼き尽くすまで燃え続けよ」
「炎竜壁っ」
ゴオオオオオッ、ボオオオオオッ
「これまたすごいな。」
今度は龍の形をした炎が飛んで行って、複数の炎の竜巻で壁が出来た。
それが動いて魔物を焼き尽くしていく。
「フレアがやったのは、火魔法をベースに風魔法を少し加えた混合魔法よ。」
「さすが私の教え子たち、二人とも固有最大魔法だわ。」
メルダ姉さんも感心してるくらいだし
初等部とは言え、さすがにトップの二人は、別格なんだろうな。
「アイト、あの魔法が龍になるのは私が教えたんだ。かっこいいだろ。」
「アイトも魔法が使えるようになったら教えてあげるからねー。」
メルダ姉の直伝なのか、見た目だけじゃなくて威力も相当なもんだな。
「そして、サンちゃん。後衛の魔物を全て殲滅してくれっ」
後衛のキングの周辺にいる魔物が消えたら
例えキングが生き残っても単独討伐だけになる。
「了解しました。私の最大攻撃です。」
「爆裂砲発射!」
ズドンズドン、ドッカーン!!!!
「サンちゃん、いくら迷宮は壊れないからといって」
「それは、やりすぎでしょー。」
「最大爆裂魔法ニ連射はオーバーキルになっちゃう。」
あー、あれも魔法弾なのか。
魔法弾と言うより、魔砲弾だな。
「よしっ、これで壊滅だろ。」
しかし、こんなに簡単に片付くものなのか・・・。
「いや、憤死状態とはいえキングはまだ残っておるようだの。」
「さてと、私の出番かな。」
「メルダ姉さん、僕たちで止め指すから」
「どうしようもないと見たら手を出してよ。」
「フレア君もリーナ君もさっきの魔法で魔力不足だ。」
「それと、部屋の中の雰囲気がかなり怪しい。」
「これでは残りのメンバーによる部屋の中での戦闘は難しいだろう。」
「特に、アイトは近づくことも無理だ。」
部屋の中は黒煙が上がり様子が見えにくい。
何かあるのだろうか?
「アイト様お気を付けください。」
「キングが進化しています。」
「えっ、ナビどういう事?」
「部下の魔物の死骸から魔素を大量に取り込んだようです。」
「憤死状態から、進化による急速回復をしています。」
「むっ、アイト。やはりこれは、私が止めを刺そう。」
「完全に回復しきる前に叩いておかねばならん。」
そう言うとメルダ姉さんは
羽を出して高速移動でキングのところへ飛んで行ってしまった。
「アイト様、メルダ様の判断は正しいです。」
「完全回復しきった状態では倒すのが大変です。」
「今の状況でもSクラス以上ではないと攻撃ダメージが通らないでしょう。」
ナビがそういうのなら、メルダ姉さんは正しい判断なのだろう。
「そうなのか・・・やっぱり、そう簡単じゃないんだ。」
「何か俺、新しい装備で強くなった気がしちゃって・・。」
とかく認識不足だな。
「アイト様、どうしてもレベル差であったり能力差というものは大きいです。」
「特に魔法であっても自分とのレベル差が大きな相手にはダメージが通りません。」
「メルダ様の支援のために、サードを装備変更して出撃させてください。」
ナビは更に危険性を察知しているみたいだ。
「なに?キングってそれほどなのか」
賢者様が簡単にかたずけてたからって安易に考えてた。
SSSクラスで英雄並みの賢者様と比べるのが間違ってたのか。
「いいえ、それだけではなく今回のは特殊変異への進化状態です。」
「場合によっては、従来の完全形態のキングより強くなると想定されます。」
「イレギュラー?なのか」
「それはまずいな、サンちゃん装備変化してメルダ姉さんの支援に行ってくれ。」
「了解です。」
「近接アタッカーモードに変更します。」
シュン
おおっ装備変更と共に目に見えない速度でキングに向かって飛んでいったぞ。
「ナビ、ちなみにあれを完全に倒す方法は?」
「魔核の破壊しかありません。」
「魔核はどこにある?」
「胸の真ん中のようです。」
「心臓や頭部ではなく、そこを攻撃しなければなりません。」
「それ以外の場所は、進化中の急回復が勝ると思われます。」
「ナビ、それを二人に伝達可能か?」
「サードには既に通信しました。」
「魔法伝達により、メルダ様にも連絡しておりますが・・・。」
「現在完全戦闘形態なので、私レベルの魔法伝達では届かない可能性があります。」
そうナビに言われてメルダ姉を見てみると
大きな光の羽を広げて空を飛んでいる姿が見えた。
美しい・・・あれが魔族の完全戦闘形態なのか・・。
戦う姿が、まるで神話の戦姫ヴァルキュリアみたいだ。
そういえば確か、あの羽は防御にも攻撃にも使うと言ってたな。
能力を飛躍的に上げているんだろう。
そのため攻撃力だけではなく防御力も高くなっているわけだ。
しかし攻撃をしても回復されてしまうのではやがてジリ貧になる。
「なら俺が近くまで行って直接話す。」
「奴を早急に、確実に倒す方法を伝えないとまずいんだろ。」
「アイト様、それは非常に危険です。」
「ナビ、戦いに巻き込まれる危険性なのか?」
「いえ、現在この部屋は魔素濃度が非常に高く、」
「合わせて混沌の力が増幅しています。」
「加護が無い今のアイト様では、精神が崩壊する可能性があります。」
「くそっ、何かいいアイテムはないか?」
「瞬間で伝えたら退避できればいいんだ。」
「一つ方法がありますが、お勧めはできません。」
「何でもいいから教えてくれ。」
「魔物を大量に倒した今、アイト様には急激なレベルアップが発生します。」
「そのレベルアップの間は、世界の理の力が働きます。」
「加護と同等の精神防御状態となることで、精神崩壊せずに済む可能性はあります。」
「その間に伝えて戻れば・・・」
「ただ・・・かなりダメージは負うことになります。」
「場合によっては、魔素濃度の高さで、魔力基幹を痛めることになります。」
「それでもいい、瞬間移動できるようなアイテムはあるか?」
「ショートワープ。」
「いわゆる瞬動に似た効果があるアイテムがあります。」
「アイト君」「アイト様」
「聞いていたのだけど、無茶はしないで欲しいわ。」
「フレア様のおっしゃる通りですわ。」
「私たちにはもう魔法力がないから、支援も無理だし」
「従者の二人を送りこんだところで、」
「先ほどのナビの話から戦闘すらできないのでしょう。」
「これは最悪、緊急退避の自動転送で帰るしかないのではないかしら。」
憤死状態一歩手前にならないと帰れないようなものには頼れない。
皆を危険にさらすなら、俺だけで・・。
「悪いな、俺は自分でやろうと思ったことに後悔はしないと決めてる。」
この頼りない俺の判断が世界に関わると女神さまに言われたんだ。
いいも悪いもその判断の結果は、すべて俺が受け止める。
「ナビ、ショートワープを装着。」
シュッン
「視線の位地に瞬間移動出来ます。ターゲットをオンしてください。」
「よし分かった。」
「メルダ姉の近くにロック。」
「動き回っておられますから自動での座標特定は無理です。」
「手動で移動開始をオンにしてください。」
「ああ、じゃあ行ってくる。」
「ロックオン!」
シュン
パッ
「メルダ姉ええええ、聞いてくれっ 胸の真ん中の魔核を壊すんだああ!!」
「えっ!?アイト??」
大声で叫んだところまで記憶にあるが、
スローモーション映像を見ている感じだった。
同時にレベルアップのコールが頭の中に、けたたましく流れ込んでいた。
レベル酔いなのか混沌による精神崩壊でなのか、魔素の影響なのか
部屋の入口まで戻るはずだった俺の意識は暗闇に消えていった。
「・・・・」
「フフフフ、ついに居場所をつかんだ。」
「やはり何か企てておったのか女神どもめ。」
「お前はこちら側に近い魂を持つ。こっちへこい。」
「そうだ、強くなりたいならこっちへ来るがいい。」
「お前の思うままのことが出来る力が与えられるぞ。」
「何だお前たちは、何故おれの頭の中で声がする。」
「人の根本は欲にあふれている。生きることで欲にまみれていく。」
「欲望があり続ける限り、これから逃れることはできない。」
「無駄なことはやめて、こっちへくるがいい。」
ピコンピコン
レベルが上がります。
「アイト目覚めなさい。」
レベルが上がります。
「かあさん?・・・」
レベルが上がります。
「ちっ邪魔が入ったか・・・」
「・・・・・」
「・・・くん」
「アイト君」「アイト様」
「アイトおおおおおっ」
「アイト様の精神状態が正常に戻りました。」
俺が気が付くと、涙を流すメルダ姉さんに抱きしめられていた。
「アイト、すまない。私のせいで無茶をさせてしまった。」
「姉さん、大丈夫。」
「俺は母さんに会うまで何にも負けない。」
「だから、泣かないで・・・」
俺は混沌に飲まれたようだった。
その瞬間にメルダ姉さんによってキングは倒され、
俺に更なる経験値が追加されたらしい。
俺の声はメルダ姉さんにちゃんと届いていた。
俺は、もうそれだけで満足だ。
レベルアップによる世界の理の力を利用した精神防御。
俺の賭けは成功した。
そしてあの時聞こえた声、本能的に母さんの声だと思った。
もちろん女神様とかメルダ姉さんとか、他の誰かだったのかもしれない。
でもあの瞬間、心に温かい何かが流れてきた。
俺は、優しい女性たちに囲まれ、
涙を流されながらも戻ってきた。
こうして初めてのダンジョン訓練は、
最初からこれかよと思うほど熾烈だったが、達成感だけはあった。
フレアとリーナとは短時間ながらも、すごく仲良くなれた気がする。
サンちゃんに背負われたまま迷宮の出口を出て
そのまま医務室行きにはなったけど・・。
まあ、アリンコの俺としては充分貢献出来て満足だ。
この日、館に帰ってサンちゃんから報告を聞いた賢者様とララシア様が
メルダ姉さんをものすごく怒った。
でも俺はメルダ姉さんに感謝している。
だから小さくなっているメルダ姉さんを今度は俺が抱きしめた。
「メルダ姉さんは悪くない、俺が俺の判断で行ったことだから・・」
「怒るなら俺を怒ってくれ」
俺がそういったら、みんな笑って解散になった。
「だれもアイトを叱ることなどできないだろ・・・」
メルダ姉さんは優しく笑った。
館のみんなは、俺と出会ってそれ程日にちが立っていないのに
どれだけ過保護なんだ。
このみんなの優しい気持ちがある限り、俺は自分の信じる道を行けるだろう。
その日の夜
いつも通り、俺は賢者様と同じベットで横になった。
賢者様はいつもより優しく俺の頭をなでてくれた。
「アイト君。一日で大きく成長したね。」
「実は帰ってきたアイト君の顔を見て」
「私たちももっとアイト君の判断で」
「自由に好きなことをさせるべきだと思ったの。」
「レベルだけじゃないよ。精神的にも大きく成長したように見える。」
「だからメルちゃんにちょっとやきもち焼いたのかもね。」
「もう、邪神側にアイト君のことを察知されてたみたいだし。」
「管理迷宮の中にまで干渉してきたみたいだから、逃げるのは無駄ね。」
「今更だけど、前世の加護の封印は戻しておくわ。」
「この知識の加護の本当の力を使えば」
「あなたの魂の記憶がよみがえるはず。」
「今日はゆっくりお休みなさい」
「明日になったら、新しいあなたの世界が広がっているはず。」
そんな賢者様の優しいささやきを聞きながら俺は安心して眠りについた。
「ほっほっほっ、異世界で何か起こったのかのう」
「お主の魂が輝き始めたようじゃ」
「あっあれ? これ夢なの? 爺さんって地球の神様じゃなかったっけ。」
「わしの加護が正常に機能しだしたみたいじゃのう」
「これはお主の過去の記憶世界じゃ」
「お主とはもう長い付き合いじゃったからのう」
「長い付き合い?」
「お主の最後の死は不幸な落石事故じゃったが、」
「他にもお主は不幸な死を何度も乗り越えてきた。」
「地球の日本では7転び八起とか七転八倒などの言葉があるじゃろ」
「これは特に日本の精神的レベルの高い風土もあるのじゃが」
「本質は7回転生をして8度目の人生が終わると魂は神界へ行く」
「世界の理そのものじゃ」
「と言うことは俺には他にも前世の記憶があると言う事?」
「そうじゃな、お主は本来8度目の死を経験して神界へ行く魂じゃった。」
「異界の神からの願いでそういう魂を送ることになったんじゃ。」
「タイミングとしては偶然じゃったが、お主を選んだのはわしじゃ。」
「今までの記憶は最後の生のものだけじゃったようじゃが」
「これからお主の過去の記憶が呼び覚まされるようじゃ。」
「それってなに、神様。 どういういこと?」
「知識の加護の本来の使い方とは、お主の8回の人生の知識を呼び覚ますという事」
「そしてそのすべての記憶が呼び覚まされたなら」
「きっと更なる知識が呼び覚まされるじゃろうな。」
「それが本来の知識の加護の力じゃ・・。」
「もう時間が来たらしい、」
「新しい自分に目覚める時が近づいておることを忘れるな。」
「記憶とは・・・魂、そのもの・・じゃ」
「えっ何が何だか」
過去の記憶が呼び覚まされると言いながら
新しい自分が目覚めるってなんか矛盾してるんだけど・・・。
なんなんだ。
うわっ周囲がぐるぐるしてきた。
うーん、なんだか頭が痛い。
二日酔い気分って、これのことなのか。
「・・・明様」
「晴明様、やっと気が付きましたか。」
えっ俺、晴明だったっけか
呼んでたのは・・・なんだ、狐系の獣人の女性か
異世界で寝ぼけたんだな。
「あなたは館の新しい客人ですか?」
「何を言っておられますか晴明様。」
「私はあなた様に召喚された白狐です。」
「もしや、どこか具合でも悪いのですか?」
「ちょっと待って、狐の獣人を召喚した?」
「俺の名前が晴明?」
「また寝ぼけてらっしゃいますのね。」
「お酒もほどほどになさった方がいいのではありませんか?」
「あなた様のお名前は、安倍晴明・・・。」
「わたくしはあなた様に仕える聖獣で、獣人ではありませんよ。」
うっ目の前が真っ暗になった。
また倒れるのか・・。
「・・・くん」
「・・アイト君」
「もう朝ですよ、起きましょうね」
うっ・・まぶしい。
「あー、あれっ賢者様?」
「何を寝ぼけてるのかしら。まあ、かわいいですけどね。」
「なんだか変な夢を見た。」
「あら知識の加護がもう目覚めたのかしら。」
「私は元に戻しただけなんですけど・・・。」
「賢者様、ちょっと待って、頭の中を整理するから。」
「なんだか記憶が増えすぎて、頭の中が混乱してるみたい。」
ほとんど覚えてないのに何故か気になることがある。
安倍晴明、白狐の聖獣、召喚・・これの意味するところが全く分からない。
これが何かのキーワードになってるみたいに感じる。
これを解く鍵がどこかにあるのかな。
「アイト君」
「今日から君は学園に行くのよ」
「えっ昨日から通ってるけど」
「編入したのは昨日だけど今日から本格的に朝から通学でしょ」
「のんびりしてると遅刻しちゃいますよ。」
「あれ?午前中は館で訓練して午後から学園じゃなかった?」
「あら~昨日の夜のこと忘れちゃったのかしら」
「学園で訓練することに決まったのよ。」
「どっちみち封印が解けないうちは基礎を自主訓練になっちゃうでしょ。」
「それなら学園にいてもいっしょだよねって自分から言いだしたんじゃない。」
「あー、学園が楽しくなってきてそんなこと言った気がする。」
「そういえば友達も出来たんだ。」
「やっと思い出したかしら?」
「学園でかわいいお友達が二人出来たって喜んでたわね。」
「アイト―っ 起きたか? 学校行くぞ!」
メルダ姉さん学校って何だよ、お子様か
隣に住んでる幼馴染みたいな感じだし・・・。
「あらあら大きなお友達ね。」
「あれは、メルダ姉さんじゃん」
俺はクスクス笑いながらベットから起きた。
「まあ、お友達みたいなものでしょ」
「メルちゃんもかわいいものね」
赤ちゃん時代から見てる賢者様から見たらそりゃあ子供なんだろうけど
「まっ、とにかく朝ごはんにしましょ」
「はい、すぐに着替えて食堂へいきます。」
いつもの楽しい朝食の時間だったけど
ララシア様だけは難しい顔をしていた。
「初級の管理迷宮の5階層レベルでキングが現れることなどはありえないわ。」
混沌の力を利用した管理迷宮への干渉がかなり堪えたらしい。
これは賢者様も同じようだった。
今までと違う何かの力が邪神側を助けている。
しかも相当な知力の持ち主がかかわっていると見たほうがいい。
これが賢者様とララシア様の見解だった。
そして、それを調べるために聖女様のところへ行くことになったらしい。
この世界で唯一、女神様と交信できる存在。
俺にとっても会っておきたい人物でもある。
「ではー、アイト君も行ってみますか?」
そんな賢者様の軽い一言で、俺が学園から帰ってきたら移動することになった。
まったく、いつもいつも大事なことなのに急に決まるんだよなー。
まあ転送装置で移動するだけだからすくに移動は出来るんだけど
俺の心がまえが出来ていないだろうがっ!
ところで昨日の訓練で俺のレベルはどこまで上がったのか
気が付いたら20レベルになっていた。
そりゃあ、きっとレベル酔いもかなりのものだったんだろう。
意識無くしてたからわかんないけどな。
そして・・・学園に行く時、転移で移動するのだが
これが通学なのかといいたい。
学園についた俺の横には、
何故かメルダ姉さん以外にサリナさんと賢者様が?!
これはメルダ姉さんのホームルームの時間で、
すべてを知ることになったのだが・・。
俺がクラスの教室に入るとフレアとリーナがやってきた。
「ああ、フレア、リーナおはよう!」
「アイト君」「アイト様」
「大丈夫でしたの?」
「心配したのですよ。」
「昨日は迷惑をかけてごめん」
「寝たらすっかり気分も良くなったから大丈夫。」
二人と話をしながら自分の席についたけど
「あら、アイト君、今日はメイドさんいないんですか?」
こんなことをフレアに聞かれてしまった。
「いやー、俺もわからないけどそのうち来るんじゃないかな」
実はこの時点で、すでにイヤーな予感がしていた。
そして朝のホームルームの時間がやってきた。
メルダ姉さんが教壇に立って話し出すのだが、
教室内は、すごくシーンとしている。
「あー、本日から授業に専門講師が2名加わる事になった。」
「講師の先生方から諸君に挨拶がある。」
「それでは、自己紹介をどうぞ」
「あー、サリナと言います。」
「主に近接戦闘訓練に関する授業を行います。」
はい、サリナさん華麗に登場!
忙しい最中に気が付いたら世界で4人目のSSクラスになっていた。
最近あまり会えてないと思ってたけど、ちゃんと冒険者の活動してたんだよな。
「みなさん、気軽にアスタルテ先生とお呼びくださいね。」
「わたくしは魔法に関する授業をさせていただきます。」
そして、賢者様が美しく輝きながら登場!
二人が同時に頭を下げた瞬間、クラスが一気に大混乱になった。
ただでさえ、メルダ姉さんが直接受け持っているクラスなのに
超有名人が二人も専任講師として来たわけだ。
これで驚かないほうが無理がある。
そして、初等部の他のクラスや
中等部、高等部の生徒から因縁をつけられそうで怖い。
もっとも直接この3人に言える人はいないだろうけど・・・。
二人の挨拶が終わると、おもむろに俺の席に座ったのだ。
あーっ、サンちゃんが来てなかったのはやっぱりこれか。
3人掛けの席に美女二人が俺の左右に座っている。
これにより一気に俺への視線が痛いことになったのは
言うまでもないだろう。
暗黙の了承で、従者もしくは護衛を兼務しているだろうと予測されるからだ。
となると・・・すべての矛先は俺のところに来るんだろうな。
・・って、一番羨ましそうな視線を向けてきたのがメルダ姉さんだった。
なんだかんだ朝からいい迷惑だったが
さすがに二人の授業はクラスで大好評となった。
俺は何故かフレアとリーナ以外の生徒からも声をかけられるようになった。
まあ理由は超有名美女二人を連れてるからなんだけどね。
うん、でも今生の学校生活でのボッチは免れたようだ。
俺の人気じゃないけどな。
そして、昨日のような事件もなく
バタバタと学園の授業も終わり、
館に戻った俺は聖女様のところへ移動することになった。
移動するメンバーにはメルダ姉さんとララシア様も加わり
メイドロイド3人も追従するということで
俺と、サリナさん、賢者様含めて8名での移動になる・・・。
と思ったら普段厨房から出てこないリアさんまでも行くらしい。
館メンバー全員での移動だった。
さて、この先になにがまっているのやら・・・




