佐藤大翔 前編
二年前、佐藤大翔は自分の人気に浮かれ少し傲慢になっていた。
それが原因で、同学年だけではなく、学校にいるほとんどの男子から嫌われていた。
「なんで俺がこんなに嫌われなきゃならねぇんだよ! あいつら俺より人気ないからって八つ当たりすんじゃねぇよ、クソが」
しかし大翔は自分にも問題があるとは思いもせず、周りが悪いと思い込んでいた。
「愚痴なら家でやれ」
「え?」
大翔は皆が下校し、誰もいなくなった教室で愚痴を言っていたのだが、そこへ今日体育の授業で使ったジャージを取りに戻った桜が来てしまう。
(まずい、聞かれたか、どうすれば……そうだ! 相手は女、なら俺に惚れさせれば口止めできる)
「えっと……君の名前はなんていうんだい?」
「別に名前言う意味ないじゃん、てか私ジャージ取りに来ただけだし、今からあいつと遊ぶから早く戻りたい…てなわけでじゃあな」
「え? あ、ちょっと……」
大翔は自分の本音を聞かれたことで、今の自分の地位がなくなることを恐れていた。
しかし、口止めしようとした時には、もう桜はジャージを手に取り教室を出ていってしまった。
大翔はサッカーのキャプテンのため足が早いのだが、桜は教室のドアを閉めてから走って行ったため、自分の話をほとんどスルーしたことに動揺し反応が遅れたのと、ドアを開ける時間に手間取ってしまったことにより、桜に追いつくことができなかった。
(終わった……俺の人生……)
大翔は自分のこれからを考え、明日の学校に怯えながら家に帰った。
その後、学校に行くのが怖くなった大翔は一週間学校を休んだが、特に女友達からも何も言われず不思議に思い、覚悟を決め学校へ向かった。
だが、学校では特に変わったことはなく、今まで通り一日が終わった。
R15は一応です。