この感情に名前はない
「まず俺は琴音とは付き合ってない」
「え……」
「私も大翔とは付き合ってないな」
「どうして!?」
「俺と」
「私には」
「「こいつがいるから」」
裕太と桜は互いを指差しながら言う。
「でも好きでもないし、付き合ってもないんだろ?」
「いや好きは好きだぞ」
「え?」
「ただ恋愛感情はないってだけ」
「俺達が言ってんのは恋愛的な意味の好きだ!」
「お互い恋愛感情がないなら何で付き合えないんですか!」
「それは今から説明する」
「これは私達の意見だけど……」
そして裕太と桜はお互いの思いを話す。
「付き合うとか、結婚するのに、そもそも恋愛感情はいるのか?」
「俺達はいらないと思う」
「え……」
「それはどういう……」
「結婚するのに最も大事なものはなんだと思う?」
「それはもちろん恋愛感情だろ!」
「私達は違うと思う」
「俺達が思うに……大事なのは、お互いのことが誰よりも大切だということだ」
「「誰よりも大切……」」
「お前たちのおかげでいろいろ考えることができた」
「んで私と裕太で考えたんだけど」
「「一番一緒にいたい人は誰か」」
裕太と桜は迷いなく続ける。
「「もちろんこいつ」」
二人は再びお互いを指差しながら言う。
「俺にとっても」
「私にとっても」
「一番大事なのは」
「一番好きなのは」
「「こいつってこと」」
「でも、私と付き合えば変わるかも」
「俺とお試しで付き合ってみない?」
「「…………」」
琴音と大翔の言葉に、裕太と桜は最初から決まっている結論を出す。
「ごめんな、俺は桜とずっと遊んでいたい」
「私も、裕太とこれからも死ぬまでくだらない話しながら遊びたい」
「「でも……」」
「……多分どんなことになっても俺の隣にいるのは桜で」
「私の隣にいるのは裕太なんだよ」
そして裕太と桜は自分達の本当の気持ちを考える。
「まだ俺達にも分かんないんだけど……」
「でも私達はお互い大好きだ」
「多分この感情は恋愛感情でもないし」
「友情とも少し違う」
「でも恋愛感情よりも友情よりももっと強い」
「どっちでもないけど、恋愛感情も友情も超えるぐらい好きなんだよね〜」
「でも多分」
裕太と桜は自分達の考えた答えを出す。
「「この感情に名前はない」」
「「…………」」
「まぁ間違いないのは……」
「私達の間に愛はあるってこと」
「もうすでに結婚してるって感じだな」
「私が結婚するなら裕太だし」
「俺も結婚するなら桜だな」
「結婚する必要ある? ってレベルだな」
「そうそう」
「「…………」」
裕太と桜の考えを聞いた二人は、この前感じた、なにかの正体が分かったような気がした。
「これは勝てないな」
「駄目ですね……」
「「でも……」」
裕太と桜には勝てないと悟った琴音と大翔は涙を流す。
「「本気で好きだった……もうだめなんだ…」」
琴音と大翔は初恋で失恋し、声を出さずに静かに泣く。
次回の最終回は本日更新予定です。




