二人でゲーム…そして勉強
「今日は何やる?」
「とりあえずあれだろ」
「今日は勝つ」
「今のは面白かったわ」
「ボケたつもり無いぞ」
「え? あ、もしかして本気で言ってた?」
今日は土曜日、桜と裕太は裕太の家でいつも通りどうでもいい話をしていた。
「ごめんねぇ〜まさか本気で言ってるとは思わなくて」
「今日は泣かす」
「笑いすぎて涙出ちゃうわ」
桜は今まで裕太にゲームで勝ったことが一度もなかった。
それもそのはず、裕太は一日の半分以上ゲームをするのが当たり前で、もし大会に出れば日本トップクラスの実力をもっているのだ。
しかし裕太は桜と遊んでいる方が楽しいため、大会ヘの出場経験はないのだった。
「よし、かかってくるがいい若造」
「いや年同じだし、それに私女だし、まぁその偉そうな態度がいつまで持つかな」
「ちなみに若造って別に男だけ指す言葉じゃねーぞ」
「え? そうなの?」
数時間後…
「こ、今度こそ……あ……ちょま……」
「あれぇ? どうしたのかな? なんかさっき偉そうな態度がなんとかって言ってた人どこいった?」
「くっ殺せ」
「ゲームの中ではもう数えるのやめるほど死んでるけど」
今日もいつもと同じように桜は裕太に一回も勝てなかった。
「良かったな、お前の行ったとおり笑い涙が出てきたわ」
「……まぁ? こんなゲームごときに負けたところで? 大したことないし? 全然大丈夫だ……し……死……ちょっと首吊ってくる」
「おうじゃあな、また来世で会おうぜ」
「……よし、この儂を本気怒らせた褒美をくれてやろう」
「結構で〜す……」
「遠慮するなよ若造や」
確かに桜はゲームでは勝てなかったが、それはゲームでの話であり、裕太にも桜に絶対勝てないことがあった。
「今日のテストまだ見せてもらってないんだけど……」
「……さてと今日は遅いし帰っていいぞ」
「え? 今日は泊まってくけど?」
「……さぁてゲームやるか、あー忙し」
「42点……マジか…」
「おい、勝手見といてガチ引きやめろ」
それは学校の勉強である。
裕太は一日の半分以上ゲームをやっているわけで、ということは、勉強いつやってんの? ということになるわけだ。
「遠慮すんなって、今日も楽しい勉強会始めようぜ」
「……僕……もう疲れたよ……」
「さいですか、では勉強やりましょう」
「……おやすみ」
「明日遊ばんぞ」
「両方不幸になる話やめろ! 仕方ない、日曜お前と遊べんのは暇すぎて死んじゃう」
「まぁその時は私も死ぬけどな」
裕太はいつも赤点ギリギリなので、いつも桜が勉強会(二人だけだが)を開きなんとか赤点だけは回避しているのだった。