お祭り 後編
「冗談だって〜」
「そうそう」
「俺の名前は?」
「君の名は」
「……もちろん冗談だよね?」
「天気のやつも良かったよな」
「え…ホントに忘れてる?」
「冗談だって、大翔だろ?」
「佐藤大翔だよな?」
「良かった〜」
まだ覚えられていないと思った大翔は、それを聞き、心の底から安堵した。
「二人共、良かったら一緒にまわらない?」
「え〜どうしよっかな〜」
「私、裕太とまわりたいんだよね〜」
「ぐっ……そ、そこをなんとか……」
「冗談だって」
「そうそう、そんなに落ち込まなくてもいいって」
「……いや落ち込んだのはそこじゃないんだけど……」
「なんか言った?」
「周りうるさいから小さいと聞こえんぞ」
「な、何でもないよ」
大翔がダメージを受けたのは、桜が裕太とまわりたいと言ったことだったのだが、そんなこと裕太と桜は知る由もなかった。
「りんご飴うめ〜な〜」
「焼きそばのほうがうまい」
「りんご飴のほうがうまい」
「焼きそば!」
「なら食べ比べしてみるか?」
「それがいい。決着をつけよう」
「え? それ間接……」
大翔が言い終わる前に、二人はお互いの買った物を食べ比べる。
「「うん」」
「結論出していい?」
「俺も結論出た」
「「どっちもうまい!」」
「この二人バカップルにしか見えん」
裕太と桜が心底どうでもいいことを言っている後ろでは、一応人気ランキング上位の大翔が、悲しみと呆れの両方の感情を出していた。
そして大翔が蚊帳の外のまま、祭りは終わった。
その頃琴音は、勉強が好きすぎるあまり祭りのことを忘れ、一人で勉強をしており、今日祭りだったことに気付いたのは、翌日のことだった。




