猫のおいらと人間の彼女と。
野良猫が人間に転生しちゃって、ヒロイン達とキャッキャウフフなお話です。
人間のルールに戸惑っちゃったりもしちゃうけど、頑張って生活しちゃいます。
正解ばかりな人生じゃなくてもいいじゃない♪
それは大きな世界の中の小さな場所の大きな心を持った、小さな猫だった者の物語。
見上げると高い空に白い雲がぷかぷかと浮かんでいる。
「いつ見ても不思議にゃ~」
いつもの場所のいつもの【ゴミ箱?】っていう青いやつに座っているおいらはそう思う。
のんびり、ゆっくりと、その形を変えながら流れているのを眺めてから、視線を下ろし周りを眺めてみた。
「……相変わらず落ち着きの無い奴等にゃ。」
おいらの周りを忙しそうに往き来する、大きな生き物達。
人間にゃ。
全部じゃにゃいが、殆どの奴等は何時も落ち着き無く、
何処に向かって居るのか足早に移動している。
足下に居るおいらや周りの事など、まるで見えていないかの様に。
ちらりと横を見ると、そこには水溜まり。
昨日おいらが寝る頃に雨が降ってきたからできた、
水溜まり。
今日はお天気なので、お日さまがでている。
そのお日さまの光が、水溜まりに反射してきらきらしている。きらきら。きらきら。
とっても不思議。きらきら不思議できらきらきれい。
こんなに周りには不思議や綺麗でいっぱいなのに、人間は何も気にしなくて、それはとてもつまらないと思う。
「そんなに早く動きたいなら、おいら達みたいに4つの足で走ればいいのにゃ。」
そんな事を言いながら、ゴミ箱の上で立ち上がり、ひょいとゴミ箱から降りる。
「今日もまっててくれるかにゃ。」
足早にその場を去ると、駆け足で人間の沢山居る処をするすると抜け出していく。
ちょっとだけ走ると、沢山の木がある処に辿りついた。
まあるく描く様に木がいて、真ん中がごちゃごちゃしてる。
お日さまがでてる間は、ここに沢山の小さい人間が、
ウロチョロしてるのにゃ。
【公園】…読めないから知らんにゃ。
ここの真ん中辺りにさらさらの砂が、溜まってるので、
だいたいここで毎日用を足すにゃ~
さらさらだから、砂掛けが楽なのにゃ~
【砂場】だから読めないにゃ!
さらさらの砂を通り過ぎて、木の近くに向かうと、
人間が座る場所があるにゃ、
そこには、人間のメスが一匹いた。
「おはよ~、ちょっと遅いぞ、のら吉。」
人間のメスがそう言いながら立ち上がり、おいらに近付いてくる。
「うな~」
あいさつは大切、きちんとしよう。
「はい、おはよう♪」
そう言い、彼女はおいらの頭を撫ではじめた。
「朝は余り時間取れないからね~急いでね~」
彼女はおいらを撫で続けながら上着のポケットを、
ゴソゴソしてある物を取り出す。
「はい、煮干し~」
小さな袋に詰められた煮干しを、撫で続けている逆の手のひらにパラパラと乗せ、おいらに差し出した。
「うな~うな~」
食べる前には【いただきます。】これ言うのも、
超大事!
パリパリ食べ始めるおいらを優しく笑いながら、
「あ~のら吉、また結構汚れてきたね~」
ぎくっ。
この【汚れ】と言う言葉を出す時の彼女は、とても恐ろしい事を、考えている時にゃ。
「う…うなうなうな~」
おいらは言い訳を試みた。のら猫なんて、こんなもんなんだよと。
「はいはい、私が学校から帰ったら、のら吉回収するからね~。一緒にお風呂だからね~♪」
無駄だったにゃ……。
……
「…夕方ちゃんと此処にいて、呼んだら出てくる事。」
……
「返事!」
「うな~」
なんで彼女は猫と通じられるのか、いつも不思議にゃ。
「よしっ、それじゃ行って来るね。」
おいらをひと撫でした彼女は立ち上がり、小走りに去って行った。
お風呂。
あの水溜まりは危険にゃ。
大きくて、深いからおいらは溺れちゃうにゃ。
だからいつも彼女に抱き抱えられながら、
水溜まりに入るから逃げられないのにゃ~
水溜まりに浸かると、毛が全部身体にべったり張り付いて気持ち悪いし、ガリガリなおいらになっちゃうのにゃ~
それなのに、彼女はそんなおいらをみて
「ふるふるしてる、かわいい~」
…かわいくないからにゃ、死にそうだからにゃ?
あ~またあの水溜まりか~
煮干しを食べた幸せな気持ちが萎んでいくのを感じなから、夕方…お日さまが低くなった頃になるまでの、
自由な時間を満足するまで遊ぼうと思って駆けだした。
「もう今日はとことん汚れてやるにゃー!!」
つづく。
ラブコメ狙おうとしてるんですけどね~
上手くいかないものですかね。
話の都合上、のら吉に人間の知識ある様な会話とか出ちゃってますけど、お話の進行を優先の、ご都合主義で進めたいと思います~