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TLS外伝 ~宿命の白い大地~  作者: 黒田純能介
4/30

談笑


「あ、自己紹介してへんかったなぁ」


コポコポコポ…。


コーヒーをカップに注ぎながら先程の女性が言う。声の大きさは相変わらずだ。


スタスタスタ…と、盆に乗せたコーヒーカップを意識しながらソファに座る布津に近付く。


コトン。木のテーブルに置かれたカップが音を立てる。


ドッカ!と音がしそうな程勢い良く向かいのソファに腰を落とす。


「ウチ、敷島 侑子って言うねん。敷、は風呂敷の『シキ』に、島は無人島の『トウ』!侑はにんべんに『アル』って書いて、最後は子供の『コ』!」


一気にまくし立てる様に喋る。関西人特有のモノだろう。


敷島は喋り終えると、二カッと歯を見せて笑う。


「ま、『ユーコ』、って呼んでや!」


「………」


布津は暫く考えている素振りを見せたが、やがて口を開いた。


「…敷島」


その言葉に大仰にズッコケる。


「今言うたばかりやないかいっ!」


パシンっ、とソファの背もたれを叩く。


「名乗ってなかったな。布津 純能介だ。宜しく頼む」


「………」


敷島は固まっていた。

布津は首を傾げる。




「あっちゃ~」


不意に素頓狂な声。勿論敷島だ。布津にビシッ!と指を差す。


「アンタぁ!笑いのセンス全くあらへん!ウチがツッコンどるのにスルーかいっ!こーなったら徹底的に鍛えとる!」



……要らないと思うのだが。



布津は言葉に出さずぼやく。


「……プッ」


「?」


「アッハッハッ!」


突然笑い出した敷島に、布津は呆気に取られる。


「ハッハッ…いやぁゴメンなぁ!ちょっとからかってしもたわ!ハッハッハ!」


笑い転げる敷島。薄着のせいで更に露出が多くなる。


「…敷島。いい加減服をまともに着たらどうだ?」


見かねた布津が問う。敷島は布津を見やると、


「あら~ん?…こんな美少女のあられもない姿を見て、興奮したのかしらん?」


敷島は流し目で布津を見る。


「…有事の際、困るのはお前だ」


表情を変えずに返す。


「ハッハッ!ごもっとも!んじゃあウチ、着替えてくるわ。…覗いてもええで?ハッハッハ!」


そう言うと、敷島は奥のドアへと消えていった。


「………」


コーヒーを一口。布津はカップを置くとソファに沈み込み、大きく息を吐き出したのだった。


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