英雄と、二人
サク、サク、サク…。
静かな道行の中、聞こえるのは雪を踏み締める音と、それを覆い隠そうとする、天からの白。
「………」
歩みが止まる。まだ目的地ではない。
「…よぉ。こんな時間に何処へ行くんだ?」
突如現われた人影が問う。
「…須藤…」
舞い降りる雪の中、須藤がそこに居た。
それよりも異様だったのが、その傍らに佇む、巨大な物体。
布が巻き付けられているが、その先には柄に見える棒が突き出していた。
「水くせぇな。…よっ、と」
須藤は傍らの巨大な物体を引き抜くと、背中に背負う。
「何の用だ」
「何の…って。……そうだなぁ。ヒーローは遅れて登場、ってな」
ニッ、と歯を見せる。
「これは俺の闘いだ。巻き込みたくない」
決意の視線を、真っ向から見据える。
「…純能介。お前の為だけじゃないさ。俺がやらなきゃならないものでもある」
「須藤…」
「行こうぜ。ヤツラをぶっ飛ばしに」
くるりと背を向ける。
「お……」
言いかけて止める。
敷島が言った言葉を思い出す。
―――仲間、か。
フ…と唇の端を吊り上げると、その後を追っていった。
--------------------------------------------------------------------------------
ザッッ。
目的地に辿り着く。
既に招待者は出迎えに出ていた。
「これはこれは。隊長さんもご一緒で」
入沢が冷笑を浮かべながら言う。
「…爆破を止めろ」
布津が殺気の籠った目で睨み付けた。
「…フッ。良いでしょう」
そう言うと無線機を手にし、何事か語る。
「約束は約束ですからね。……見た所、すんなり来ては頂けない様ですが」
おい、と背後の二人に声を掛ける。
前に出たのは案の定、先日布津達を追っていた男達。
強化兵、NO.11とNO.12である。
「へっ、ムダな闘いはしたくないんだけどなっ」
須藤が身構える。背中の物は抜かない。
「須藤……気を付けろ。アイツらは人間では無い。兵器と思え」
「あん?何言って…」
途端に強化兵二体が弾かれる様に迫るっ!
「ッッ!」
「ぬうっ!」
須藤は砲弾の様な突きを咄嗟に払い、布津は剃刀の様な蹴りを上体を反らし躱す。
「ってぇっ…いなしたのに手がシビれやがる」
「速い……」
入沢がニヤリと嗤う。
「フッフフ。…今のは挨拶代わりですよ。…さあ、存分にデータの提供をお願いします。……行けっ!」
入沢の号令に、強化兵が動き出す。
「大人しくやられるかっての!」
「…来い」
須藤が改めて構えを取り、布津が刀を抜いた。




