翌朝
胸騒ぎがした。
身を起こす。窓の外は白く霞んで見えた。
………カタン。
表で物音。気配は感じなかった。
「誰だ…?」
あの二人ならば、わざわざ気配を消す必要は無い。
ソッ…とドアに近寄り、様子を伺う。
「………」
気配は無い。……誰もいない様だった。
ドアを開け外に出る。
エントランスは外から吹き込む風の音以外、静かなものだった。
周囲に視線を送る。
……人影は無い。
だが、ある一点に目が止まる。
………郵便受けだ。封筒らしきものの一部が窺えた。
迷わず手に取る。
「おはよ~、純能介~」
不意に背後から掛けられた声にビクリとする。
「アッハハ…驚いた~」
敷島は半分眠っているかの様な声でケラケラと笑う。
…ハッ、と気付く。
「って、アンタ大丈夫なんっ!?」
「……あぁ。見ての通りだ」
スッ、と封筒を背後に隠す。
「さよか…。良かったわ……っと。メシ用意してくるわ!ツンツンも起きる頃やしな!」
ドタドタドタ、とけたたましい足音が階上へと消えていく。
………済まんな。
布津はドアを開け、自室に籠ると封筒を開ける。
手紙の内容は、予想通りであった。
『…一週間振りですね。布津さん』
ひどく神経質で几帳面な字で綴られた文字を読み進める。
『さて、先日のお話の続きですが、強硬措置を採らせていただきます』
戦慄が走る。
『その地区のあらゆる処に爆薬を仕掛けさせて頂きました。…どうすれば良いか、お解りですね?』
目を細める。
『抵抗して貰っても構いませんよ。…それはそれでデータが取れますので。…何にせよ、その辺り一帯を瓦礫の山にしたく無ければ、今夜十時。東区の雪原へお越し下さい。』
色良いお返事を期待しております、と締めくくられていた。
「………」
無言で手紙を畳む。
「純能介~~」
遠くで自分を呼ぶ声。
…敷島か…。
ドアを開け、階上へと向かった。




