表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TLS外伝 ~宿命の白い大地~  作者: 黒田純能介
2/30

到着


程なく歩き、目的地とおぼしき建物に到着する。


ビル…と言えば聞こえは良いが、全三階層程の古ぼけたビルだった。


入口から内部に入る。ポストが三つあるが、どれも表札は付いていない。


やや思案して、一階のドアをノックする。


カン、カン、カン。


凍り付いているような音を立ててドアが揺れた。


「………」


返事は無い。不在か、或いは元々誰もいないのか。


十秒待ってから、布津は二階へと向かう。


コンコンコン。


今度は乾いた音をドアが立てた。階層で温度が違うのだろうか。


しかしまたしても返事は無い。十秒程待つ。


「………」


誰も出て来ない。最上階へと向かう。


階段を登りきり、最後のドアの前に立つ。


一呼吸置き、ノックをした。


コンコンコン。


「………」


返事が無い。



…場所を間違えたのだろうか?

一度外に出ようと踵を返す。その時だった。


『はいな~~』


間延びした声がドアの向こうから響く。


どうやら人はいるようだ。布津は振り向いた。


ガチャ。


ドアが開く。中から出てきたのは、見た所少女とも取れそうな女性だった。


黒髪をやや短く切り、肌は浅黒い。そして、昼間とはいえこの寒い中、タンクトップにデニム地のホットパンツという軽装。一番印象深いのはそのいでたちであった。


「……」


流石の布津も言葉を無くしていた。


「あ~!もしかしてぇ!」


やや関西訛りのある黄色い声が響く。


「布津さん…ですかぁ?」


自分でも声が大きいと思ったのだろう、ややトーンを落とす。


「ああ…。そうだ」


やっと思考を整理した布津が答える。相手の露出の高さに、目を反らす。


「やっぱり!遠い処ご苦労様です~!ささ、入った入った!」


特有の物言いと共に、相手の女性が背後に回り布津の背中を押す。


「お、おい…」


どうやら布津の苦手なタイプの様である。



……先が思いやられる……。



布津は心の中で溜息を吐いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ