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mina視点 -恋の予感ー

mina視点


 七月のある土曜日、私は真由ちゃんと三回目のショッピングに来ていた。


 真由ちゃんとはこの三ヵ月で姉妹のように仲良くなった。真由ちゃんは自分がお姉さんみたいな風に思っているのか、よく私をリードしてくれた。


 でも、「絶対おいしいから行こうよ」と言ってたランチのお店が移転していたり、工事中の道路の穴に落ちそうになったり、迷子の小さい男の子に懐かれて困っていたりと、私がフォローする方が多かった気もする。

 

 そんなやりとりすら楽しかった。


「minaちゃんにはこっちの花柄の色が似合うよ」

「えー、ちょっと派手じゃない?」

「そんなことないって、minaちゃん可愛いから大丈夫、あっわたしこっちのオレンジのにするから、色違いでおそろいにしようよ」


 女の子同士でショッピング、なかなか決まらない。でも楽しい。いっぱい笑った。


 歩き疲れて、喫茶店に入った。

 幸い、中のお客さんは一人でスマホをいじっていたり、カップル同士の会話に夢中になっていたりと私に気づく様子はない。


 私は真由ちゃんをうらやましいと思う。

 女の子らしい体つきもそうだけど、佐伯さんと同じ職場で、毎日佐伯さんと顔を合わせられるから。


 酔っ払いから私を助けてくれた白馬の王子様。

 TV局で見かける俳優さんやモデルさんに比べると、顔立ちだって平凡だし、身長も普通だし。

 でも、時折見せる爽やかな笑顔、それに私はやられてしまう。上司の私の叔父さんや、先輩の雨宮さんを上手く立てて、後輩の田中くんや真由ちゃんにも慕われている。

 物腰も柔らかだし、ユーモアだってある。包容力のある大人の男性。


 私は恋愛は自分から攻めるタイプだ。

 佐伯さんによくメールでアプローチしているが、いまいち仲が進展しない。

 食事に誘ってもなんだかんだで、田中くんや雨宮さんも一緒になってしまう。それはそれで楽しい時間なんだけど、このままだとせいぜい仲のよい妹分どまりだ。


 佐伯さんもちゃんとメールは返信してくれるけど、やっぱり忙しいのか、時間が空いたり、次の日だったりすることも多いし。おかげで私はケータイを訳もなく眺めることが多くなってしまった。


「佐伯さんはうちの支店のエースだから」って真由ちゃんは言ってた。仕事のできる男性ってやっぱカッコいいな。きっと忙しいんだろうけど、少しでも私のことを見て欲しい。


 彼の中に私の存在が、少しでもあって欲しい。


 一回だけどうしても甘えたくなって、彼に電話をしてしまった。

 ちょうどネットで私に対する心無い人たちの書き込みに悩んでいて、平日で夜遅かったけど、彼は親身になって話を聞いてくれた。


 ひととおり話を聞いた後、彼はありきたりの励ましの言葉ではなく、違う視点から私も想像してないような、心に刺さるアドバイスをくれた。その言葉は私の心の中の宝箱に大切にしまっている。頭もいいし、でもそれを鼻にかけるところもない。


 佐伯さんはどんな服が好きなのかな?


 買い物している時もふと彼のことを考えてしまう。


 真由ちゃんとの会話の中でも、「佐伯さん」って名詞がでると、ドキッとしてしまう。

 真由ちゃんにどうかバレてませんように。


 女の勘だけど、真由ちゃんはたぶん、佐伯さんのことが好きだ。

 二人で喋っていると佐伯さんの話がよく出てくるし、何より佐伯さんのことを話す真由ちゃんは、「女性」が「喜ぶ」と書いて、「嬉しそう」でまさに恋する乙女の顔だ。


 真由ちゃんのことは大好きだ。

 ずっと親友でいたい。

 でも、佐伯さんへの思いは負けたくない。


 喫茶店での周りのカップルみたいに、彼と二人っきりで会って話せたらどんなにいいだろう。

 世間では「若い女性の思いを代弁するシンガーソングライター」なんて言われてるけど、実は恋愛経験は少なくて、想像で補っている所もあるんだ。


 私はアイドルみたいに「恋愛禁止」ってわけじゃない。けど、岡安さんからは「節度ある行動を」と常々言われている。でも、この気持ちは止められそうにない。



 私はやっぱり佐伯さんが好きなんだ。



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